政策個表

タイトル 舞台芸術の振興 〜自治体初の文化政策的取組〜
施策・事業名称 舞台芸術の振興
都道府県名 静岡県 本件問合先 スポーツ・文化観光部文化政策課
分野 教育・文化 054-221-2857
arts@pref.shizuoka.lg.jp
内容 1要旨
<平成9年8月、静岡県舞台芸術公園での柿落とし公演「リア王」から始まった静岡県舞台芸術センターの歩み。>

(公財)静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center、以下SPAC)は、平成7年、日本で初めて文化政策的に作られた劇団です。
静岡県出身で、世界的な演劇人である鈴木忠志氏を芸術総監督に迎え、鈴木氏の演劇の理念を具現化すべく、欧米並みの専属劇団、専用の舞台芸術施設を整備し、国際的な演劇活動を展開してきました。SPACの23年の活動は、東京を中心とした一極集中的なわが国の演劇状況への、地方からの挑戦であります。
平成19年度から、宮城聰氏が新しく芸術総監督に就任し、舞台芸術の振興のための活動をさらに積極的に展開しています。

2概要
(1)先進性
専用の舞台施設を有し、事業予算の執行権とスタッフの人事権を有する欧米型の芸術総監督の下に活動を展開しているSPACはわが国において、ほとんど唯一という先進的な舞台芸術集団です。

ア、活動拠点
SPACの活動拠点は、静岡市です。風光明媚な日本平の山麓、遠く富士山を望む緑豊かな地に野外劇場、稽古場棟、屋内ホール「楕円堂」、宿泊棟などが点在する舞台芸術公園。
また、東静岡駅に隣接する静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」の中には、専用劇場「静岡芸術劇場」があります。

イ、SPAC演劇の特色
SPACの演劇は日本を代表する現代演劇です。
初代芸術総監督鈴木忠志氏が考案した身体訓練法“スズキ・メソッド”をベースにし、宮城聰氏の指導のもと、生身のエネルギーを鍛錬し、昇華させて固有の様式美を形づくっています。
そして、独特の照明、音楽、衣装とあいまって、重厚で美しい上質な総合芸術となっています。

(2)SPACの活動
ア、海外公演
SPACは、設立当初から、シアター・オリンピックスへの参加など毎年、海外で積極的に活動を展開し、過去24年間で16カ国300回の公演を行っています。
毎年、SPAC芸術総監督宮城聰の演出作品をはじめ、国内外の演出家を招いてSPACが創造した舞台作品が海外の演劇祭に招聘されています。
平成24年度は、『マハーバーラタ』(宮城聰演出)のフランスツアーをパリほかフランス3都市で上演しました。
平成25年度は、“世界中の子どもたちが未来への希望を取り戻すことができるダンス”をコンセプトに県内の中高生が出演するスパカンファンプロジェクトの『タカセの夢』の韓国密陽公演や『ロミオとジュリエット』のスイス・フランスツアーを計9都市で上演しました。
平成26年度は、宮城聰演出の祝祭音楽劇『マハーバーラタ』と、フランスの巨匠クロード・レジ氏演出による『室内』が世界最高峰の演劇祭であるアヴィニョン演劇祭に公式プログラムとして招聘され、国内外の演劇界で大きな話題となりました。
平成29年度は、宮城聰演出の『アンティゴネ~時を超える送り火~』が、再びアヴィニョン演劇祭に招聘され、アジアの劇団で初めてメイン会場「法王庁中庭」にて演劇祭のオープニングを飾るという快挙を達成しました。
平成30年度は、日仏友好160周年を記念してパリで開催された「ジャポニスム2018」において、公式企画として日本の現代演劇を代表して『マハーバーラタ』(宮城聰演出)を上演しました。

令和元年度は、6月にフランス国立ケ・ブランリー美術館の招聘を受け『イナバとナバホの白兎』を再演、9月には国際交流基金主催の「Japan2019」の公式企画としてニューヨークで『アンディゴネ』を上演し、タイム誌で「2019年ベスト演劇10」に選出されるなど高い評価を得ました。

イ、ふじのくに⇔せかい演劇祭
平成11年度に実施された第二回シアター・オリンピックスの成功を受け、平成12年度より毎年国際演劇祭「Shizuoka春の芸術祭」を実施してきましたが、平成23年度より、独自のアイデンティティを持った地域(ふじのくに・静岡県)とせかいが、直接つながり交流する演劇祭としてより一層の充実を図り、「ふじのくに⇔せかい演劇祭」と名称を改め開催しています。
現代のせかいを切り取る舞台が上演される演劇祭として、静岡だけでなく、日本全国、世界の演劇人からも高い評価と注目を集めています。また、路上パフォーマンスやフェスティバル・バーなど、観客とアーティストが直接交流する多彩な関連企画を展開しています。

令和3年度は海外招聘公演は行わず、2作品5公演を実施しました。

3SPACは今
(1)宮城総監督の就任
SPACを産み育てた鈴木前総監督は、平成19年3月31日をもって芸術総監督を退任し、平成19年度からは、宮城聰氏が芸術総監督となりました。
宮城氏は、鈴木前総監督の路線を継承発展させるとともに、舞台芸術のすそ野をひろげるため人材育成事業に強い意欲を有しています。また、鈴木忠志氏は、現在もSPACの顧問として、SPACを支えていただいております。

(2)中高生舞台芸術鑑賞事業の拡充
県内の中高生に、本格的な劇場での優れた舞台芸術鑑賞(鑑賞料無料)の機会を提供する中高生舞台芸術鑑賞事業は、若年層に一流の舞台芸術作品の魅力を伝えるための取り組みです。宮城聰氏は「劇場は教育機関である」という考えから、この事業に特に力を入れています。
平日に中高生舞台芸術鑑賞事業、週末に一般公演を実施し、令和2年度は、年間で15,000人を超える学生がSPACの舞台を鑑賞しました。
SPACでは、中高6年間のうちに一度はSPACの舞台を鑑賞する機会を持てるよう、静岡県の1学年の生徒人数にあたる35,000人が鑑賞出来る、年間100ステージの実施を目指してさらに規模を拡大していく予定です。

(3)その他の人材育成事業の拡充
SPACでは、優れた舞台芸術作品を世界に発信するとともに、舞台芸術のすそ野を広げるために人材育成事業の拡充に取り組んでいます。
夏休みを利用して実施される「SPACシアター・スクール」は、実技と講義により、演劇の魅力、奥深さを県内の中高生とその保護者に伝えることを目的とした事業です。
また、人材育成事業に参加した県民が組織する劇団を「県民劇団」として認定、「県民劇団」の行う自主的な舞台芸術活動を支援し、地元静岡の演劇人育成に寄与してきました。
さらに、こうした人材育成事業に参加した中高生からオーディションで選抜された出演者とともに、より完成度の高い舞台作品を創造し、世界に向けて発信しています。平成19年度に製作された「転校生」は、平成21年3月、国際演劇祭であるフェスティバル/トーキョーに招聘されました。また、平成22年度には、カメルーン出身の世界的な振付家・ダンサーであるメルラン・ニヤカム氏を迎え、選抜された10名の中高生とともにダンス作品を上演し、平成23年度には、さらにブラッシュアップし、「ふじのくに⇔せかい演劇祭」で上演したほか、東京でも上演しました。この「スパカンファンプロジェクト」は24年度以降参加メンバーを変更しながら継続し、25年度は大阪、韓国で、26年度はメルラン・ニヤカム氏の故郷であるカメルーンで上演するなど、SPACの人材育成の成果を世界に向けて発信しています。また、令和3年度には、<世界で活躍できる演劇人>を目指す若者の感性を育むことを目的とした高校生対象の1年制の演劇学校である「SPAC演劇アカデミー」を開設し、将来の“「演劇の都」静岡”を担う人材の育成につなげていきます。このように、多様な事業に積極的に取り組み、静岡県の香り高い文化創出に貢献しています。
静岡県舞台芸術センター(SPAC)
静岡県舞台芸術センター(SPAC)
関連
ホームページ
http://www.spac.or.jp