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タイトル つくり育てる水産業の振興
施策・事業名称 ニゴロブナとホンモロコの栽培漁業の推進~資源回復と持続的利用をめざして~
都道府県名 滋賀県
分野 農林水産
内容 滋賀県では水産業活動による県特産水産物の安定供給を図るため、ニゴロブナ、ホンモロコ、アユなど重要な水産資源の増殖事業を実施しています。
特産品ふなずしの原料であるニゴロブナは、水田で育成した種苗や、大型種苗の放流を行っています。近年、資源に回復の兆しがうかがえていましたが、ここ数年は再び減少するなど資源量は依然として低い水準にあるため、引き続き効果的な放流に努めていきます。天然資源の遺伝的保全に留意した栽培漁業を行うため、放流種苗の遺伝的多様性の維持に配慮しています。
また、日本産コイ科魚類の中で最も美味とされているホンモロコは、水田で育成した種苗の放流と親魚の保護、外来魚駆除などの取組により、最近では、資源が回復してきており、増殖事業の効果があらわれてきています。

○ニゴロブナ関連事業概要
(1)水田中間育成(全長20㎜)種苗放流
ニゴロブナを漁獲する漁業者を中心に、水田で800万尾のニゴロブナ種苗を育て琵琶湖へ放流する事業を実施しています。
水田に放養したふ化仔魚は、水田で発生した動物プランクトンを食べて全長約20㎜の稚魚まで育ち、水田の中干し作業にあわせて、水田から琵琶湖へと流下します。流下した稚魚は、琵琶湖沿岸のヨシ帯や水草群落でさらに育ち、しだいに沖合へ出て行きます。

(2)大型(全長120㎜)種苗放流
全長20㎜の稚魚は、琵琶湖沿岸のヨシ帯などを必要としますが、これらの面積は限られており、収容量には限度があります。このため、沿岸帯に依存しない、より大型(全長120㎜)の種苗を秋季に琵琶湖の沖合へ90万尾放流しています。

(3)放流効果モニタリング
放流魚の一部には、ALCという蛍光色素で耳石標識を施しています。琵琶湖で漁獲されるニゴロブナについて、この標識を調査し、毎年のニゴロブナの資源尾数や放流効果を把握しています。

(4)栽培対象魚の遺伝的多様性の維持(水産試験場)
放流魚の遺伝的多様性の減少を避けるため、定期的に天然魚を親魚として導入し、4,000尾以上の親魚で種苗生産しています。

(5)ヨシ帯の造成・保全
ニゴロブナにとって、産卵繁殖場や稚魚期の成育場として重要な水ヨシ帯を造成するとともに、産卵期前にヨシ帯の清掃を実施して、その保全に努めています。

○ホンモロコ関連事業概要
(1)水田育成(全長20㎜)種苗放流
平成24年度から令和2年まで、水田で育成した800万尾のホンモロコ種苗を琵琶湖へ放流する事業に取り組んだ結果、5トン(H16)まで減少した漁獲量が33トン(R2)まで回復しました。また、ホンモロコの産卵が琵琶湖北湖だけでなく、かつての主な産卵場所であった琵琶湖南湖でも各所で確認されるようになり、産卵数も年々大幅に増加傾向にあります。
そのため、令和3年度からは、これまでの栽培漁業としての大量放流中心の取組みをいったん終了し、資源状況に応じて資源対策を実施する資源管理型漁業を主体とした取組みへと移行しています。

(2)放流効果モニタリング
ALCという蛍光色素で耳石に標識を施したホンモロコ種苗を放流し、漁獲量に占める割合を調査して、毎年のホンモロコの資源尾数や放流効果を把握しています。

(3)栽培対象魚の遺伝的多様性の維持(水産試験場)
放流魚の遺伝的多様性の減少を避けるため、毎年1万粒以上の天然魚由来の卵を採取して親魚の種苗生産をしています。


○今後の展望
栽培漁業を積極的に展開していくとともに、資源を効率的かつ持続的に利用していくため、資源管理に対する漁業者の理解と認識を高め、漁業者の合意に基づいた資源管理型漁業をめざしています。
関連
ホームページ
http://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/shigotosangyou/suisan
本件問合先 滋賀県農政水産部水産課
077-528-3874
gf00@pref.shiga.lg.jp