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タイトル 健全な水環境の確保
施策・事業名称 琵琶湖流域下水道における高度処理の展開
都道府県名 滋賀県
分野 環境
内容 1 はじめに
本県の下水道は、琵琶湖流域下水道と5箇所の単独公共下水道により整備が行われており、令和元度末の下水道普及率は全国第7位の91.1%に到達している。このうち、県が事業主体となる琵琶湖流域下水道は、本県全体の下水道計画において人口、処理水量等の計画諸元で90%以上を占め、琵琶湖の水質保全施策の重要な役割を担っている。

2 高度処理導入の経緯
2-1 概要
琵琶湖流域下水道の最大の特徴は、処理水の放流先が琵琶湖であることから、昭和57年4月の湖南中部浄化センターの供用開始以降、4処理区の浄化センターすべてにおいて窒素、りんを除去するための高度処理を実施し、また、他の5つの単独公共下水道でも高度処理を導入している。
従来の標準活性汚泥法を主体とする下水処理方式は、BOD除去を主たる目的としており、窒素やりんは十分取り除くことができず、湖沼等の富栄養化防止を目的とする下水道の処理方式としては不十分である。県では、昭和54年に施行された「富栄養化防止条例」を契機として全国ではじめて窒素、りん除去のための本格的高度処理の導入に踏み切ることとなった。

2-2 初期の高度処理方式
初期の高度処理方式は、凝集剤添加循環式硝化脱窒法+砂ろ過法が採用された。この方式では、従来の処理方式に比べて特にBOD、窒素、リン等について高度な処理が実現できた。

2-3 COD、窒素、リンの処理レベルのさらなる高度化
初期の方式において、効率的運転をめざした調査検討を行いつつ、生物学的脱リン方式(A2O法)としての運用による凝集剤添加の削減努力等を行ってきた。
しかしながら、従来の高度処理では琵琶湖の環境基準を達成することが困難と予測されるため、COD、窒素、リン、のさらなる高度な処理技術の導入や技術開発を行っている。

3 高度処理のさらなる技術開発
従来の単段式硝化脱窒法での除去率は80%程度が限界であったが、処理レベルのさらなる高度化に向け調査研究を行ってきたステップ流入式多段硝化脱窒法の完成により、除去率90%程度まで高め、窒素の目標処理水質3mg/lまで低減している。
ステップ流入式多段硝化脱窒法については、平成13年度以降の新規増設、改築更新施設について導入をすすめてきており、令和2年度末において、琵琶湖流域下水道全体の現有処理能力約48万m3/日に対し、約29万m3/日の施設で稼働し、窒素除去の高度化を図っている。

4 汚泥有効利用の経緯
 本県は過去には汚泥溶融設備により生成した溶融スラグを建設資材として有効利用してきたが、溶融は多くのエネルギーが必要で炉の損耗も激しいため、溶融を順次休止して焼却炉のみの運転に切り替え、焼却灰を産廃処分するという方向に転換してきた。
 汚泥の有効利用が求められる中、湖西浄化センターにおいて平成28年より固形燃料化施設を導入し、汚泥を炭化して製造した燃料化物を外部工場で石炭代替燃料として利用することで、温暖化防止に貢献している。
 また、令和5年現在では高島浄化センターにおいてコンポスト化施設による汚泥の力のうち利用、湖南中部浄化センターにおいて汚泥消化+固形燃料化によるバイオガスおよび燃料化物として有効利用を図ることとし、それぞれ共用開始に向け建設を進めている。

5 まとめ
琵琶湖流域下水道は、生活環境の改善と同時に琵琶湖の水質保全を重要な使命としており、当初から高度処理を導入するとともに、その効率化、レベルアップにむけた努力を一貫して取り組んできており、貴重な成果をあげている。汚泥処理においても、地域特性や施設規模、時代背景などを考慮しながら、その施設に最適な方式を採用してきたところである。
関連
ホームページ
http://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kendoseibi/suido/316845.html
本件問合先 滋賀県琵琶湖環境部下水道課
077-528-4221
dd00@pref.shiga.lg.jp