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タイトル | 県立静岡がんセンターの取組について |
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施策・事業名称 | がんセンター事業 |
都道府県名 | 静岡県 |
分野 | 健康福祉 |
内容 |
1 要旨 がんは、静岡県民の死亡原因の第1位を占め、超高齢化社会の中、今後も患者数の増加が予想されています。静岡県では、がん克服を21世紀における県民的課題とし、平成14年9月にがん対策の拠点として県立静岡がんセンターを開設し、運営しています。 2 特色 (1)全国トップクラスの高度がん専門医療機関 がん診療連携拠点病院院内がん登録(全国集計)において、全国トップクラスの実績を誇っています。 (2) 基本理念、患者さんへの約束(理念)の下での全人的医療の実践 基本理念、患者さんへの約束(理念)(※図1)の下、全人的医療の実践に取り組んでいます。 (3) 「ファルマバレープロジェクト」の中核施設 「富士山麓先端健康産業集積(ファルマバレー)プロジェクト」の中核施設として、先端医療分野で地域活性化に取り組む「ふじのくに先端医療総合特区」の指定(平成23年12月指定)を受け、大学や地域の企業、研究機関等と共同研究を進めるとともに、平成28年9月に整備された静岡県医療健康産業研究開発センターとともに、地域の産官学の交流を活発化させ、県内医療・健康産業の活性化に寄与します。 3 県立静岡がんセンターの特徴 (1)病院 ・診療実績(令和3年度) 病床数 615床 (2022.3.31現在) 入 院 延べ患者数 193,222人(1日あたり 529.3人) 外 来 延べ患者数 312,175人(1日あたり1,289.3人) 手 術 延べ件数 4,690人(1日あたり 19.3人) ア 最善のがん医療の提供 患者さんや家族を治療の中心に位置づけ、医師、看護師をはじめとする医療従事者が、チームを組んでサポートする多職種チーム医療を実践し、その円滑な運用のために、部門統合型の病院情報システムを構築しています。 イ 多職種がん専門レジデント制度の実施 従来の医師・歯科医師レジデント制度に加え、全国に先駆けて導入した、看護師、薬剤師、各種技師等全13職種の医療従事者を対象とした多職種がん専門レジデント制度を実施しています。 ウ がん看護分野の認定看護師の養成 平成20年に病院立で全国初となる皮膚・排泄ケア分野における認定看護師教育機関の認定を日本看護協会から受け、平成21年度以降、5分野の認定看護師教育課程(※1)を開講し、県立静岡がんセンターの高水準の看護力と実践力を備えた講師陣の講義と演習・実習により、質の高いがん看護分野の認定看護師の養成に取り組んでいます。また、令和元年8月22日付けで、厚生労働省より、3区分について(※2)特定行為研修指定研修機関に指定され、令和2年度から特定行為を組み込んだ認定看護課程を開講しています。 ※1 5分野の認定看護師教育課程 皮膚・排泄ケア分野、緩和ケア分野、がん薬物療法看護分野、がん放射線療法看護分野、乳がん看護分野 ※2 3区分の特定行為 創傷管理関連、創部ドレーン管理関連、栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 エ 先進医療機器、施設の整備 陽子線治療装置、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」、放射線治療装置「トゥルービーム」などの医療機器、基礎疾患や合併症等を有するがん患者のための総合診療部門、全国最大規模となる緩和ケア病棟(2棟50床)、外来患者さんに対して抗がん剤治療を行う化学療法センター、15-40歳程度の年齢層であるAYA世代のがん患者を同じ病棟に集めた国内初となるAYA世代病棟などを整備しています。 オ 患者家族支援センターの設置 平成24年4月に設置し、県立静岡がんセンターでがん患者が安心して治療を受け療養生活を送れるよう、患者及びそのご家族に専任の看護師が話を伺い、初診や入院(入院前)に関する支援、通院治療や療養生活(通院患者)に関する支援、心身の痛みや治療の継続(緩和ケア)に関する支援を行っています。 カ 支持療法センターの設置 平成28年8月に院内の様々な部門で実施されている支持療法を統括するため、支持療法センターを立ち上げました。ここでは「からだの苦痛」の軽減に焦点をあて、がんと共生する暮らしをサポートしていきます。 キ がん遺伝外来の設置 平成28年10月に「がん遺伝外来」を本格的稼働(受け付け開始)させ、がんの遺伝に関するあらゆる相談や遺伝子検査を希望される方にも広くご利用いただけるようにしました。ご家族を含めたがんリスク評価を行い、早期診断と治療に向けた正しい知識と情報を提供し、様々なアドバイスを行っています。 ク 静岡都道府県がん診療連携拠点病院の指定 平成18年8月に厚生労働大臣から都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受け、県民が県内のどの地域に住んでいてもがんの標準的な専門医療を受けられるよう、がん医療の均てん化を図るとともに、県内がん診療連携拠点病院間の連携体制の強化を図っています。 ケ 病院機能評価の更新 (公財)日本医療機能評価機構により行われる学術的、中立的視点から行う医療機関の機能評価の認定を平成15年10月に受けています(平成30年12に更新)。 コ 特定機能病院の承認 平成25年4月に厚生労働大臣から特定機能病院の承認を受け、大学医学部附属病院や国立高度専門医療研究センターと同等の高機能病院として、高度医療の提供、高度の医療技術の開発とともに、医療従事者の育成・研修等を通じて地域医療の質の底上げへ寄与しています。 サ がんゲノム医療中核病院の指定 令和2年3月30日付けで、厚生労働省からがんゲノム医療をけん引する高度な機能を有する医療機関として「がんゲノム医療中核拠点病院」の指定を受けました。引き続き遺伝子パネル検査・専門会議の開催等がんゲノム医療の提供を推進するとともに、治験・臨床試験、研究の推進やゲノム医療に関わる人材育成、がんゲノム医療拠点病院・連携病院との連携をさらに推進していきます。 (2)疾病管理センター 県立静岡がんセンターと「患者・家族」「地域の関係機関」「県民」との連携・対話の窓口としての役割を担っており、県民の健康期から終末期の各段階に応じたがんに関する総合的な支援を行っています。 ア よろず相談 患者・家族の徹底支援のために、総合相談窓口「よろず相談」を設置して、患者家族支援センターと連携し、広く県内外からの様々な相談に応じ、支援・情報提供を行っています。また、県立静岡がんセンターに対する意見や苦情を受け止めるなど、利用者の満足度の向上に努めています。 イ 患者さんへの就労支援 県立静岡がんセンターと公益社団法人沼津法人会とが協働し、就労希望者へ就職情報を提供しています。また、就労支援の一環として県社会保険労務士会と協働し、年4回障害年金相談会を開催しています。更に、長期療養者就職支援事業としてハローワークの就職支援ナビゲーターによる出張相談の開催、治療と仕事の両立支援として両立支援コーディネーター・主治医、会社・産業医間のトライアングル型サポート体制を導入した復職支援も行っています。 また、令和3年1月1日に静岡産業保健総合支援センターと「治療と仕事の両立支援事業実施に係る協定」を締結し、相談対応、個別調整支援等へ専門家の派遣を受けることができる体制も整備しました。 ウ 県内がん患者の不安や悩みの緩和 がん患者の悩みや負担に関する研究成果などに基づき、がん体験者の悩みの解決法をまとめ、インターネット上に公開するとともに、県内のがん患者の不安や悩みを緩和できるよう患者勉強会等を開催しています。 (3)研究所 県立静岡がんセンターの研究活動の中心部門として、「がんを上手に治すための医療技術の開発」、「患者家族の支援技術の開発」、「富士山麓先端健康産業集積(ファルマバレー)プロジェクトの推進」、という三つの使命の実現に向けて活動し、静岡県内はもとより、世界のがん医療水準の引き上げ、静岡県の健康・医療産業の更なる活性化に取り組んでいます。 ア 3つの方針 研究所の運営では次の3つの方針を重視している。 (ア) 病院や疾病管理センターと協働した“患者さんの視点を重視した研究”の実践 (イ) プロジェクト指向型の研究 議論を尽くした上で、医療技術者や患者さんに役立つ研究テーマを選び、職員、提携大学の研究者、企業研究者の三者が協働した研究の推進、得られた成果の検証(病院部門) (ウ) 県立静岡がんセンター、大学、企業の研究者が対等の立場で研究を進めるという姿勢“イコール・パートナーシップ” イ 主要な研究課題 ベッドサイドのニーズに基づく“逆”トランスレーショナルリサーチなどを重視しながら、臨床支援(応用研究)等を中心に、次の主要研究課題に取り組んでいます。 (ア) 個別化医療と未病医学の実践を目指す臨床研究(プロジェクトHOPE) (イ) 診断新技術(新しい腫瘍マーカー等)の開発 (ウ) 高度医療に関する技術(免疫細胞療法、新しい放射線治療等の開発) (エ) 患者と家族支援のための支援ツールの開発 (オ) 新しい看護技術の開発 (カ) 病院医師等の臨床研究の支援等 ウ 研究成果・実績 本県の支援機関「ファルマバレーセンター」の支援を受けながら、静岡がんセンターの存する静岡県東部地域の企業とともに医療や療養環境を高める取り組みを行い、「看護師さんのハンドクリーム」、「病臭対策のデオドラント“ケア”シリーズ」、「がん治療中に“ホッ”とした時間を提供する清拭タオル用香り剤「緑茶香」」を開発しました。 また、令和3年3月31日現在、特許の出願件数は延べ144件、登録件数は81件となっています。 |
関連 ホームページ |
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本件問合先 | がんセンター局県庁駐在 |
054-221-2983 | |
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