政策個表

タイトル 全国初!救急現場の“見える化”で医療崩壊を防げ!
施策・事業名称 佐賀県医療機関情報・救急医療情報システム(愛称:99さがネット)
都道府県名 佐賀県 本件問合先 佐賀県健康福祉部医務課
分野 健康福祉 0952-25-7033
imu@pref.saga.lg.jp
内容 1.医療崩壊!瀕死の救急医療現場
我が国の救急医療は抜本的な改革・改善が未だ十分であるとは言えず、「救急搬送のたらい回し」「救急車のタクシー利用」「救急医療機関のコンビニ受診」「救急医師の不足」等に伴い、119番通報から病院搬送までの時間は毎年のように過去最悪を更新しており、救急医療の現場は疲弊しまさに崩壊の危機を迎えている。

2.政策立案のきっかけ
国において救急医師の確保や診療報酬の増額などの政策に取り組まれているが、実際の救急現場はどのような状態なのか、なにが課題となっているのかを当県の担当者が実際に自分の目で見て、肌で感じるために救急現場に同行させてもらった。
119番通報をうけて出動する救急車に同乗をさせてもらい、また、救命救急センターでの救急医師への密着同行をさせてもらいながら、実際の現場に立ち会い、県内各地の救急隊員や救急医師の話を聞いて回ったところ、医師不足だけでなく、救急現場において医療機関と消防機関の情報共有が十分ではないことが課題であるとわかった。

3.先端タブレット型端末を採用
当県ではこの危機的な状況を打開すべく、関係者での情報共有や連携強化を推し進めることとした。しかしながら、救急車には車載の携帯電話しか通信手段はなく、現場では電話をかけまくるしか方法がないという状況であった。
そこで当県が目を付けたのは、平成22年5月に発売されたばかりのタブレット型端末米アップル社のiPadであった。大画面でタッチパネル式、なによりも使い勝手の良いこのタブレット型端末を県内全ての救急車に配備し、救急現場にインターネット環境を構築することで、リアルタイムに救急現場の情報を医療機関と消防機関が共有し、連携を強化する取組みをわずか1年後の平成23年4月から稼働させた。

4.“救急現場の見える化”が実現するもの
リアルタイムに救急現場の情報が収集できるようになったことから、「現在どの医療機関が受け入れ可能であるのか」「他の救急隊はどのような搬送を行っているのか」「どの医療機関に搬送が集中しているのか」といった情報が関係機関で共有されることになり、現場の救急搬送を支援することが可能になった。
また、救急搬送の支援だけでなく、データベースには「どの地域でどのような救急搬送が生じているのか」「患者はどの病院に運ばれ、どのような傷病であったのか」といった情報が蓄積されることから、そのデータを活用し、事後的に医療機関と消防機関が情報を共有し、ともに検証し議論できるような場を設け、議論の結果を今後のよりよい救急医療体制づくりにフィードバックする仕組を併せて構築している。

5.国の縦割りも解消
この取組により、医療機関(厚生労働省所管)と消防機関(総務省消防庁所管)との間でデータが共有できていないという、国における縦割り状態を解消することが可能となった。これにより「搬送から治療まで」の救急医療情報を関係者で共有し、その問題点や課題をその都度洗い出せるような、効率的・効果的な救急医療体制を整備することも可能になった。

6.運用成果 ~現場の声から~
運用を開始して1年。救急現場からは「救急車の中からインターネットを使って受入先の医療機関を検索できるようになり、使い勝手が良い」「受入可否情報が更新日時順に表示されるため、情報の信ぴょう性が高い」「医療機関の直近の受入可否情報を共有できるようになったため搬送先医療機関が選定しやすくなった」などの声が聞こえてきている。

7.運用成果 ~搬送時間の短縮、救命救急センターへの搬送の分散化~
導入した年のデータを分析すると、前年の平均搬送時間から0.3分搬送時間は短縮した。救急医療の現場では、1分が生死を分けることもあるため、これは大きな一歩だといえる。
また、本システムはクラウドシステムを採用しており、内容が充実したにもかかわらず年間運用コストは前システムを導入時に比べ、約4000万円引き下げることに成功している。

8.最後に・・
平成24年4月には、東京で開催された「MCPCアワード2012」で、本システムはグランプリ・総務大臣賞を受賞した。MCPCアワードは、モバイルコンピューティングの導入により業務効率化や社会貢献推進などの成果をあげている企業や団体等の事例を顕彰するもので、2003年度より毎年開催されているが、地方自治体としては当県が史上初の受賞となった。

今後も救急医療情報の一層の共有化と関係機関の連携を強化することで医療崩壊を防ぐ取組を続けていくとともに、蓄積した救急医療情報データを分析することで、今まで見えてこなかった課題を抽出し、その課題を関係者で共有することで新しい政策を立案し実行していきたい。
iPadで救急医療情報を入力・確認する救急隊員
iPadで救急医療情報を入力・確認する救急隊員
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