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タイトル 安全・安心で魅力ある県土の実現に向けて〜「防災・減災対策と地域成長の両立」と「多彩なライフスタイルの実現」を目指して〜
施策・事業名称 ”ふじのくに”のフロンティアを拓く取組
都道府県名 静岡県
分野 地域振興・まちづくり
内容 【取組概要】
1 取組の背景
・静岡県は、東⽇本⼤震災に⾒舞われた地域の条件をすべて備えている。三陸に似たリアス式海岸が伊⾖半島にあり、津波の遡上した北上川に匹敵する狩野川、富⼠川、安倍川、⼤井川、天⻯川があり、福島第⼀原発に匹敵する浜岡原⼦⼒発電所がある。加えて、南海トラフ巨⼤地震は想定内となり、太平洋⼯業ベルト地帯の真ん中の静岡県が被災すれば、⽇本が分断される。それゆえ、⼈⼝が集中する沿岸・都市部を再生し、事前復興としての防災施策を講じることは最優先の事案である。

・平成24年4⽉、新東名⾼速道路の静岡県内区間162kmが1年前倒しで開通した。新東名は現東名より平均10kmほど内陸にある。⾼い耐震性を有し、SA (サービスエリア)・PA (パーキングエリア)13か所のうち12か所にヘリポートを備えている。地震・津波の発⽣時には、現東名や国道1号の代替路・緊急輸送路として機能する「命の道」である。

・新東名のリダンダンシー機能を活⽤し、沿岸・都市部と内陸・⾼台部の在り⽅を⾒直し、内陸・⾼台部を多⾃然居住地域とし、沿岸・都市部の刷新をして、両者のネットワークを深め、危機に備える。さらに、人・モノ・情報が双方向で行き交う対流を発生させ、活力ある広域的な圏域づくりを推進し、誰もが望むライフスタイルを選択できる環境を創出する。加えて、人・モノ・情報の流れをより高次元で促進する対流型の都市圏の形成をベースに、官民が連携して脱炭素社会とSDGsの実現を目指す「地域循環共生圏」の形成へと発展的に進化させていく。本県はこれを 『“ふじのくに”のフロンティア」を拓く取組』と名付け、県・市町・⺠間が⼀丸となってその実現を⽬指す。

2 取組の概要
・本県を東⻄に⾛る新東名、南北に⾛る中部横断⾃動⾞道・三遠南信⾃動⾞道・伊⾖縦貫⾃動⾞道の周辺地域は、県内陸部の中⼭間・過疎地域である。この内陸部に新たに多⾃然居住地域づくりを進め、県⼟の安全地帯を活⽤して、沿岸部の津波被害の減災を図る。安全を確保し安⼼感を⾼める魅⼒的な地域づくりの実現のために、以下の四つの基本戦略を展開する。

(1) 沿岸・都市部のリノベーション:巨大地震がもたらす津波被害等の自然災害から県民の生命と財産、産業を守るための防災・減災対策を最優先に実施しながら、地域産業の活性化やゆとりある住空間の整備等を促進し、沿岸地域や既存の都市を再生する。

(2) 内陸・⾼台部のイノベーション:内陸・高台部では、高規格幹線道路のIC(インターチェンジ)やSIC(スマートインターチェンジ)の周辺地域等において、豊富な地域固有の資源を活用した、新しい産業の創出・集積や、豊かな自然と調和したゆとりある暮らし空間の整備等を促進し、美しさと品格を備えた活力ある地域に革新する。

(3)対流型都市圏から「地域循環共生圏」への発展的展開:地域固有の資源が循環する自立・分散型社会を形成しつつ、地域の共生と対流により、さらに広域的なネットワーク(自然や経済的つながり)を構築する。また、大量生産・消費・廃棄の経済モデルから、ストックを有効活用し、サービス化等により付加価値の最大化を図る経済モデルへの転換を図る。このことにより、新たな循環経済への移行の鍵となる「技術革新」と「環境配慮への社会的要請」を踏まえたSDGsの先駆的な地域を形成する。

(4)多彩なライフスタイルの実現(コロナ禍で変化するライフスタイル):コロナ禍により東京一極集中の是正が不可避となり、劇的に変化した人々の「暮らし方」や「働き方」に対応し、誰もが価値観やライフステージに応じ、望むライフスタイルを選択できる環境を創出する。

【取組のポイント】
○多様な主体との連携強化
・ “ふじのくに”のフロンティア」を拓く取組は広範多岐な政策分野にわたるので、全庁横断の推進会議を設置し、県庁の全組織を挙げて推進している。

・取組の推進には、地域づくりの主体である県内全市町との協働が不可⽋である。そのため「県と市町の企画政策会議」を設置し、理念や⽬標を共有し、全県が⼀丸となって施策を展開している。

・官⺠の連携として、県内の経済団体が発起⼈となり、⺠間の視点から地域づくりの提案を⾏う「“ふじのくに”のフロンティア推進コンソーシアム(旧内陸フロンティア推進コンソーシアム)」が平成25年5⽉に設⽴された。セミナーの開催により市町の取組を⺠間企業に紹介するなど、地域づくりにおけるビジネスチャンスを知る場を提供している。

○国の総合特区の活⽤や県で指定する推進区域への⽀援

・取組の実現を図る⽅策として、国の地域活性化総合特区による規制緩和や、金融上の支援措置を活用するほか、県独自の財政支援措置を講じ、取組をより一層促進している。

・平成26年度には、取組の県内全域への拡⼤に向け、新たに「ふじのくにフロンティア推進区域」制度を創設し、市町の取組や事業の具体化強化のため、県独⾃の技術・財政・⾦融⾯での重点的な⽀援を⾏い、県内34市町で取組が展開されている。

○新たな時代を拓く地域づくり

・“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組は、東⽇本⼤震災の教訓を踏まえ、防災・減災を最優先にした地域づくりである。すなわち、内陸・⾼台部への移転を進めながら、平時においては予防防災対策の実施や地域資源を活⽤した産業の振興を図り、有事においては防災拠点機能と域内⾃給⼒を併せ持つ防災減災と地域成長を両立させた地域づくりである。

・本取組は、太平洋ベルト地帯を中⼼とした⼀極⼀軸型の国⼟構造から、内陸・⾼台部も含めた多軸型への転換を⽬指すものである。この新しい国⼟軸を形成する取組は、内陸・⾼台部がもつ⾃然環境・資源・伝統⽂化等を活⽤して新しい産業やライフスタイルの創出を⽬指す地域づくりであり、東京⼀極集中の時代を脱し、地域⾃⽴の新しい時代を象徴するモデルをも⽬指している。

○広域的な圏域づくり

・今後の人口減少の進行を見据え、それまでの新しい拠点形成を推進する段階から、拠点間の連携等、面としての圏域づくりに取り組むべく、令和元年度に「ふじのくにフロンティア推進エリア」制度を創設した。

・革新的技術等を活用し、利便性が高く快適に暮らすことができる広域的な圏域づくりに、推進区域制度と同様、県独自の重点的な支援を行い、取組を展開している。

○地域循環共生圏の形成

・2020年初頭から世界に猛威をふるった新型コロナウイルス感染症は、社会経済に大きな打撃を与え、人々の生活様式は大きな変化を余儀なくされた。深刻化する地球規模の環境危機を背景に、世界は脱炭素社会に向け大きく舵を切っている。

・『“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組』が目指す「防災・減災と地域成長の両立」をより実効的に推進するため、伊豆、東部、中部、西部の各圏域で地域特性を活かした「地域循環共生圏」を形成する。各圏域では、「新しい静岡時代」を牽引する「地域循環共生圏(水・エネルギー・経済)」を形成し、SDGsのモデルエリアとなる環境と社会経済が両立する地域づくりを目指す。
【“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組のロゴ】
【“ふじのくに”のフロンティアを拓く取組のロゴ】
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