政策個表

タイトル テレワークが日本を変える~佐賀県から起こす!ワークスタイル変革~
施策・事業名称 テレワーク推進によるワークスタイル変革
都道府県名 佐賀県 本件問合先 佐賀県総務部情報課情報化推進室
分野 行財政改革 0952-25-7390
事業実施期間 平成26年10月1日 ~ jouhou-s@pref.saga.lg.jp
内容 【テレワーク推進の背景と狙い】
佐賀県では、今、テレワーク(在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワーク)を核としたワークスタイル変革を進めています。
ダボス会議の国際男女格差レポート(2014)によると、世界142カ国中104位と、主要7カ国中最下位であり、政治面と経済面での女性の社会進出の遅れが指摘されています。また、2050年の労働生産人口は40%減少するとも言われています。
一方、住民からはより迅速でタイムリーな行政サービスを求める声が日々高まっています。
こうした状況を乗り越え、さらに県民に対するサービスの質を高めていくために、何ができるのか。そのためには、「働き方を変えていく」こと、もちろん女性だけでなく、男性も働き方を変え、働く時間が短くても業務の効率化を通じ付加価値の高い労働を行い、その効果を住民サービスにつなげていくことが必要です。その解決策の一つがテレワークです。
【これまでの経緯】
佐賀県では、平成20年1月から全国に先駆け在宅勤務制度を導入しました。当初は育児・介護中の職員が対象でしたが、「新型インフルエンザ業務継続計画」の策定を機に、平成22年10月からその要件を撤廃し、誰でも制度の利用ができるようにしました。しかし、毎年20人前後の利用はあったものの、オフィスで働くことが当たり前という雰囲気が強く、在宅勤務が当たり前の働き方にはなりませんでした。
在宅勤務をする職員が後ろめたさを感じるような風土があったり、週一回だけ仕事を切り分けて家でできる仕事だけをやるということでは利用は進みません。在宅勤務制度を福利厚生ととらえるのではなく、経営戦略としてとらえて推進することが必要との考えにいたりました。
そこで、平成25年8月から管理職に週一回の在宅勤務を実施するように努力目標を課しました。管理職から始めることで、テレワークに対する理解を深めることが必要と考えたからです。また、総合庁舎等を活用しサテライトオフィスを県内11か所、県外2か所(東京、大阪)に設置しました。さらに平成25年12月からは本庁知事部局職員全員と現地機関の希望者にも対象を拡大して実施しました。
こうした取組みと並行して、平成25年8月から100台のタブレット端末を配布し、「モバイルワーク推進実証事業」を開始しました。同年5月にタブレット端末の配布先を取組内容とともに庁内公募したところ、予想を大幅に超える196台分の応募があり、最高情報統括監(CIO)をトップとする審査委員会で取組内容を審査し、最終的に35所属42事業で実施しました。
そして、平成26年10月から「いつもと同じ仕事を出張先でもどこでもできる環境を作っていく」ということを目指して、タブレット端末もさらに1000台増やし、テレワークの全庁展開に踏み切りました。
【職員の反応】
在宅勤務やサテライトオフィス勤務を経験した職員からは、様々な声が寄せられています。親の介護をしている職員からは、「デイサービス利用日に在宅勤務することで、送迎時の負担軽減になった。」、遠距離通勤者からは「通勤時間が縮減できて非常に助かる」といった良好な反応があり、「水防配備の際、冠水等により出勤が困難な場合も想定されるため、大変有効。」といった非常時における有効性も指摘されました。
また、モバイルワークでは、例えば、「生産者等への現地指導を行う際、専門技術員が現地に行かなくても、タブレット端末のテレビ電話機能を活用し、現場の状況の把握や(専門知識に詳しくない)普及員への助言等ができるため、効率の良い普及指導活動ができた。」といった声や、「これまで数Kgに及ぶ参考資料を持参していた現地検査業務が、タブレット端末ひとつで済むようになった。」、「業務終了後速やかに報告書が作成でき、直行直帰できるようになった。」という声がありました。
【テレワークをあたり前の働き方にしていくためには】
テレワークをあたり前の働き方にしていくためには大きく、3つのポイントがあると考えています。
(1)制度面の見直し
服務などの大きな見直しは平成20年に在宅勤務制度を導入した時に多くの部分はすでになされていました。しかし、平成26年10月からのテレワーク全庁展開に併せ、職員課と連携しさらに見直しを加えました。
対象者については、正職員はもちろんですが、臨時的任用職員、非常勤嘱託員についても、所属長が特に認める者は対象とすることができることとしました。例えば、子供がインフルエンザで看病が必要な時、テレワークによって仕事をすることは可能ですが、そうしたときは正職員だろうと、そうでない職員であろうと事情は変わらないからです。
在宅勤務の際の勤務場所としては、原則として在宅勤務者の自宅ですが、在宅勤務を行うことができる環境が整備されている場合は、自宅以外であっても所属長の判断で実施することができます。(例:介護を要する親族の家、帰省先等)
在宅勤務者の勤務時間については、原則として勤務公署勤務時と同じです。以前は在宅勤務時は出張時同様、事業場外のみなし労働時間制としていましたが、情報通信機器の発達により、時間管理ができるようになったことから、10月からはみなし労働ではなく、時間管理をすることにしました。例えば在宅勤務中に育児又は介護をする場合や、在宅勤務を行うことにより早出遅出勤務の時間に変更を要する場合などは、所属長の承認を受け、勤務時間の割振りを変更することとしました。
また、全ての職員がテレワークの目的や意義、メリットを理解し、誰もがテレワークを実施できる職場環境を作っていくことが必要です。そのため、従来必要だった職員課への届け出等の手続きを不要とし、所属長の承認だけでテレワークができる取り扱いにしました。また、全職員が実際にテレワークを経験し、そのメリットを実感するとともに、どのように今の仕事を変えていけば、テレワークが円滑に行えるかといった問題意識を持ってもらうことが何より重要となるため、現在、原則週一回以上のテレワークを呼び掛け、取組んでいます。
(2)テレワークを円滑に行うためのICT環境やツールの整備
平成26年10月からは、出張時のモバイルワークに加えて、在宅勤務時にも自宅PCでより快適かつ安全に仕事ができる環境を確保する目的で、仮想デスクトップを拡張し、ほぼ全職員がテレワークを実施できるようにしました。また、タブレット端末を1,000台規模で導入し、ほぼ全部門に配布するなど、迅速で機動性のある働き方を実現できるようにモバイルワーク環境を大幅に強化しました。
さらに、テレワークを円滑に行うためには、コミュニケーションをWEB上のテレビ会議などで行うことや、庁外から庁内の各システムを安全に利用できるよう、ICTツールを自在に駆使できるだけのスキルアップが必要となります。
コミュニケーションは、WEBコミュニケーションツールの活用で、かなり解決可能ですが、平成27年1月からは、全職員に対し、カメラ付きマイクを配布し、自宅-職場間、出張先―職場間など、場所にとらわれないコミュニケーションをもっと活発にしていこうとしているところです。このことにより、出張中のテレワーカーをバックオフィスで支援することも可能ですし、災害時の対応等もより円滑にできるものと考えています。すでに庁内では、出張先からタブレット端末を活用して会議に参加するなどの動きも出てきています。会議のために重要な出張をあきらめる必要もなくなるわけです。
(3)組織風土の変革
テレワークを行うには業務のペーパーレス化をはじめ、情報共有や、コミュニケーションの円滑化等、現在の働き方を見直していくことが不可欠です。そのため、これらを実現するICTの環境整備と併せ、職員との対話を行いながら業務改革を進めていくことが重要です。
テレワークの全庁展開の前に、平成25年8月から管理職に週1回のサテライトオフィスもしくは自宅での勤務を要請しました。まず管理職にテレワークを体感してもらうことに加え、実際に体験した上での意見を集めるためです。
そして、平成26年10月からの全庁展開からは、管理職を集めてのスタートアップ研修をはじめ、本庁のみならず現地機関にも出向き、職員向け研修を繰り返し開催し、ICTツールの使い方のみならず、テレワークの意義やメリットの共有を図りながら、どのように働き方や組織風土を変えてていくかについて丁寧に伝えているところです。
また、これらの研修の様子を収録した動画や研修資料等のコンテンツはイントラネットにテレワーク専用サイトを開設して、全職員がいつでも見ることができるようにしています。
テレワークをより有効に機能させるためには、業務のペーパーレス化が重要です。紙に依存する業務は、物理的な紙のある場所に体の存在も縛られるため、テレワークに向かない業務となるためです。そこで、会議資料や予算資料等の電子化に着手しました。
会議資料についてはペーパーレス会議システムを導入し、様々な会議の場での活用を進めています。また、各所属にモニターと軽量薄型PCを配布し、打合せ時のペーパーレス化の徹底を図っています。財政部局とも連携し、予算資料のペーパーレス化も行い、予算ヒアリング等の際は分厚い資料をめくりながらではなく、モニターやタブレット端末を見ながら・・といった具合に、予算査定の風景も一変しました。
こうした取組みも功を奏し、平成26年度のコピー用紙使用量はテレワークを本格展開する前の平成24年度実績に対し14.4%の削減を達成できました。
【技術的な課題】
モバイルワークを実際に行ってみると、現場からは、「電波状況の悪いところでは仕事が中断してしまう。」「タブレット端末では細かな入力作業は困難。」といったモバイルワーク特有のいくつかの新しい課題が寄せられました。電波状況は、年々改善されているので、通信キャリアの更なる努力に期待しつつ個別地区の改善要望を入れています。また、細かな入力作業が必要という点については、軽量薄型のノートPCを活用する等により解決を図っています。
【今後の取組み】
これからはテレワークのメリットを最大限に活かすべく、さらにワークスタイル変革を図っていきます。
在宅勤務やサテライト勤務、モバイルワークを組み合わせ、場所にとらわれない柔軟な働き方を実現し、もっと現場に行ったり、庁内外の人たちとつながったりすることで、付加価値の高い創造的な仕事に取り組めるようにしていきたいと思います。
そして、営業活動や各種検査業務、訪問指導など、県庁の多岐にわたる業務の現場において、それぞれの業務効率を向上させるモバイル端末の利用法や業務を大きく改善させるアプリケーションの導入など、担当部門それぞれが創意工夫を行っていくことにも大いに期待しています。これらの現場での業務改善は、行政サービスの質と量、スピードの改善に直結していきます。
例えば、これまでなかなか共有できていなかった人脈や顧客情報を、瞬時に検索して確認するといったことが可能になったり、これまで白黒の紙の資料を印刷して県民の方々に説明していたような資料も、タブレット端末を使うことにより、美しいカラーの写真や動画を活用して説明できたり、その場で経営シミュレーションを行ったりすることができるようになります。
「特定の誰かのためのものではなく、ふつうのワークスタイルへ」。この取組みを拡げていくことで、女性も男性も、また、何らかの事情がある人も、その事情に合った働き方が出来る社会を実現することにもつなげていければと考えています。まず県庁が取組み、それが市町や民間企業にも伝わっていき、それぞれの人の事情に合った働き方が浸透していくことで、暮らしやすさ・働きやすさを実感する人がどんどん増えていく社会を目指します。
どうぞ、これからの佐賀県の取組みにご注目ください
在宅勤務の様子
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タブレットを用いた会議の様子
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