政策個表

タイトル 官民挙げた児童養護施設退所者のアフターケア
施策・事業名称 (1)児童養護施設退所児童 希望の家事業 (2)児童養護施設退所児童 未来へのスタート応援事業 (3)児童養護施設等サポーター制度
都道府県名 埼玉県 本件問合先 福祉部 こども安全課
分野 健康福祉 048-830-3331
事業実施期間 平成26年4月1日 ~ a3340-05@pref.saitama.lg.jp
施策の
ポイント
埼玉県では、平成26年度から全国に先駆けて「官民挙げた児童養護施設退所者のアフターケア」のプロジェクトを推進、2年間で進学・就職・資格取得の各分野で成果を上げている。

●大学等進学率が大幅増(13.9%→25.0%)
[事業名] 児童養護施設退所児童 希望の家事業
[内 容]大学・専門学校等の進学者に低額で利用できるアパートを提供するとともに、学生生活をサポートする社会福祉士を配置し生活相談を実施。

●3年連続就職率98%以上
[事業名] 児童養護施設退所児童 未来へのスタート応援事業
[内 容]就職希望者に職業人講話や面接指導、就労体験や失業時の就職あっせん等を通じたマンツーマンの就労支援を実施。

●2人に1人が退所時に運転免許を取得
[事業名] 児童養護施設等サポーター制度
[内 容]運転免許取得費用の支援や給付奨学金制度を創設した民間企業等を、県が「児童養護施設等サポーター」として登録。
内容 6人に1人の子どもが貧困状態にある日本。その中でも、最も厳しい状況にあるのが、虐待などの理由で親と離れ児童養護施設で暮らす子供達である。厚生労働省は、平成28年2月補正予算で「児童虐待防止プロジェクト」を発足。児童養護施設で暮らす子供達の自立支援に本格的に乗り出すことを決めた。
こうした国の動きに先立ち、埼玉県では、いち早く児童養護施設で暮らす子供達の自立支援に重要性に注目、平成26年度から全国に先駆けて「官民挙げた児童養護施設退所者のアフターケア」のプロジェクトに着手している。
抱いた夢を諦めさせない――民間企業を巻き込んだ取組は、2年間で進学・就職・資格取得の各分野で大きな成果を上げている。

●大学等進学率が大幅増(13.9%→25.0%)
[事業名] 児童養護施設退所児童 希望の家事業
[開 始] 平成27年4月1日から
[内 容]
本県では、県内の児童養護施設を出て大学や専門学校等に進学する若者への支援策として、県が借り上げた賃貸アパートの部屋を格安で提供している。取組は全国初となる。
本県の高等学校全体の進学率(平成25年度)は81.0%だったのに対し、児童養護施設出身者の高卒進学率は13.9%(同)。平成25年度の本県独自調査では、施設で暮らす子供達のうち、実に4人に1人(27.5%)が、自立後の住居の確保ができず、進学を諦めているという実態が明らかになった。
国の制度による大学入学の支度金として最大約27万円の支給があり、学生支援機構などの奨学金制度を組み合わせて学費を賄うことはできる。しかし、住居費は月々の家賃に加えて敷金や礼金などの初期費用もかかる。こうした重い経済的負担を少しでも軽減するのが本事業である。
具体的には、県内のターミナル駅に近い立地のアパートの一部を借上げ、6畳に台所とトイレ・風呂のついた1K程度の部屋を光熱水費込み月1万円程度で提供する。さらに福祉専門職によるサポートを提供することで、大学等への進学率を向上させ、更に一般に比べ約2倍と高くなっている中退の予防にも力を入れている。
平成29年4月に1か所拡充し全県3か所に「希望の家」を設置。合計12人の若者が利用している。児童養護施設では、「先輩が行った大学に、自分も進学したい」と夢を語る子供が増え、荒れていた施設内の雰囲気が変わってきたという声が聞かれるようになった。進学率も2年間で13.9%から25.0%(平成28年度、速報値)と倍増している。

●3年連続就職率98%以上
[事業名] 児童養護施設退所児童 未来へのスタート応援事業
[開 始] 平成26年4月1日から
[内 容]
本県では、就職を希望する子供達に対して、職業人講話や面接指導、就労体験や失業時の就職あっせんまで、マンツーマンの就労支援を実施している。
平成23年度の本県独自調査では、高校卒業後に児童養護施設を出て就職した者の3年以内離職率は74.4%と全国平均の倍以上となっている。また、退所直後に困ったことの第1位は「精神的不安(44.1%)」であった。十分な職業知識もなく、退所後も十分なサポートを受けられないまま、職を転々とせざるを得ない姿が浮かび上がってきた。
こうした課題に対して、県では、(1)高校2年生を対象とした職業人講話(ゲストスピーカーによる講演)、(2)高校3年生を対象とした面接指導や就労体験などの実施、(3)退所者を対象とした支援員による職場訪問や失業時の再就職先のあっせんなどのアフターケアの3本柱で就労支援を行っている。
本事業の特色は、相談機関への来所を待つのではなく、児童養護施設や退所者の自宅を訪問する「アウトリーチ」型の支援手法を採用している点にある。支援員が各施設を回り個別のニーズを聞き取ったうえでプログラムを提案する。
動物園の飼育員になりたいという希望があれば、動物園で働く飼育員から仕事の大変さを聞き、餌やりを手伝う(埼玉県こども動物自然公園が協力)。美容師になりたいという希望があれば、カリスマ美容師を施設に招き、施設の子供をカットモデルとして実演を行う(株式会社美髪堂が協力)。児童の興味関心に沿ったプログラムを提供することで、参加意識や満足度も高くなっている。
また、失業した退所者に対する職業斡旋を始め、建築業や飲食業など幅広い民間企業等26社が登録している。こうした取組の結果、事業開始から2年間、就職希望者の就職率98%以上となっている。

●2人に1人が退所時に運転免許を取得
[事業名] 児童養護施設等サポーター制度
[開 始] 平成27年10月1日から
[内 容]
本県では、運転免許取得費用の支援や給付奨学金制度を創設した民間企業等を、「児童養護施設等サポーター」として登録している。また、本県と一般社団法人埼玉県指定自動車教習所協会で協定を結び、児童養護施設で暮らす子供達の運転免許取得を支援している。
教習所の費用は30万円近くかかり、親からの援助が期待できない児童養護施設の児童にとっては、高いハードルとなっていた。にもかかわらず、平成25年度の本県独自調査では、県内の施設児童の運転免許取得率は36.4%(平成25年度)と、全国の18歳時点の免許取得率14.3%(同)と比べて高かった。自動車運転免許の取得が就職の条件になっていることも多く、運転免許が「就職のためのパスポート」として必要不可欠だったからである。
そこで、より多くの子供達が運転免許を取得できるよう、本県では平成27年度から県独自の補助制度を創設し、積極的に支援に取り組む民間団体を「児童養護施設等サポーター」として登録し、本県のホームページで紹介することとした。施設で暮らす子供達は経済的な負担なく自動車運転免許が取得できるようになり、施設退所時の運転免許取得率は36.4%(平成25年度)から、56.0%(平成27年度)と約20ポイント向上した。
このほか、児童養護施設等サポーターとして登録した民間企業が給付奨学金制度を創設、大学4年間で最大750万円を奨学金として支給するなど、民間による支援の動きが広がりつつある。

(1)本県と一般社団法人埼玉県指定自動車教習所協会との協定締結
一般社団法人埼玉県指定自動車教習所協会は、県内48か所すべての教習所が加入する団体である。平成27年11月、同団体は本県と協定を締結し、児童養護施設の子供達が県内の指定教習所を利用する場合に、5万円を限度に支援する制度を創設した。
本県も、国の補助金「資格取得特別加算費」56,570円に加え、県独自の補助金「子どもの暮らし応援事業運転免許取得補助」として、就職に当たり必要となる場合には18万5千円を補助することにした。
これらの制度を組み合わせることで、事実上、児童養護施設で高校を卒業する子供たちが自己負担をしないで、就職で必要な運転免許を取得できるスキームが出来上がった。平成28年度は、9人の子供達が制度を利用している。

(2)一般社団法人自助自立支援機構による合宿免許費用の支援
合宿免許紹介業の株式会社インター・アート・コミッティーズと連携し、同社が扱う合宿免許を利用した場合に、国からの補助金を除いた費用全額を支援している。平成27年度は県内児童養護施設施設で暮らす子供達49人が制度を利用。同団体は、埼玉県での取組をモデルとし、全国に広げていきたいと意気込んでいる。

(3)株式会社ハーベスによる給付奨学金制度の創設
化学製品・販売会社の株式会社ハーベスは、県内施設や里親のもとで暮らす子供達を対象とした「ハーベス育英奨学金」を創設した。学力や向上心を考慮して年1人を選考し、学費全額(授業料は年間最大120万円)を給付する。自宅以外からの通学者には、年間60万円の生活援助金も用意しており、奨学金は4年間で最大700万円になる。平成27年度の第1号の給付奨学生が保育士を目指しており、平成28年度は第2号の給付奨学生が、県内の4年制大学に通いながら看護士を目指している。
関連
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