政策個表

タイトル 「埼玉県方式」による糖尿病重症化予防
施策・事業名称 糖尿病重症化予防対策事業
都道府県名 埼玉県 本件問合先 保健医療部 保健医療政策課
分野 健康福祉 048-830-2407
事業実施期間 平成26年4月1日 ~ a3510-16@pref.saitama.lg.jp
施策の
ポイント
糖尿病は自覚症状が出にくく、本人が気づかないうちに進行する。重症化すると腎不全につながったり、脳卒中や心筋梗塞の引き金になる。
腎不全の発症により人工透析へ移行すると、週3回程度の通院が必要になり、日常生活が大きく制限される。
一方、医療費の面では、人工透析導入前のインスリン治療の段階であれば年間約50万円であるが、人工透析導入後は年間約500万円と10倍になってしまう。
さらに人工透析は大量の水を必要とするため、災害発生時には治療に困難が生じる。
そこで、県民のQOL(生活の質)の維持と医療費適正化を目的に、糖尿病の重症化を予防して人工透析への移行防止する施策を実施した。
<施策のポイント>
(1)三者連携
埼玉県医師会・埼玉糖尿病対策推進会議・埼玉県で「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を作成し、対策の枠組みを定めた。
(2)市町村広域展開
40市町が埼玉県国民健康保険団体連合会と共同で、糖尿病重症化予防対策に 取り組んでいる。
内容 1.現状と課題
平成25年の埼玉県内の糖尿病患者数は、31万8千人で、12年前(平成13年)の2.1倍となっている。このうち、10万6千人は医療機関に通院していない。
平成25年の埼玉県内の人工透析患者数は、16,753人で、12年前(平成13年)の1.7倍となっている。このうち、6,742人は糖尿病の重症化が原因である。
人工透析に移行すると、日常生活が大きく制限され、医療費も高騰する。

2.取組の内容
(1)市町村を支援する仕組みの構築
市町村は、従来あまり医師会と連携した取組を行っておらず、「ノウハウ」が不足していた。また、新たな事業を行うための「人材(専門職)」と「財源」が不足していた。
<1>埼玉県医師会・埼玉糖尿病対策推進会議・埼玉県が対象者の選定基準や受診勧奨、保健指導の方法等を定めた「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を作成した。
(ノウハウの支援)
<2>市町村と埼玉県国民健康保険団体連合会との共同事業とし、同連合会が契約主体となって民間事業者に委託し事業を実施した。(人材の支援)
<3>市町村が、事業を実施する上で必要となる経費について、県が国民健康保険財政調整交付金により支援した。(財源の支援)


(2)具体的な取組内容(平成26~27年度)
市町村が国民健康保険の被保険者を対象に次の取組を実施した。
<1>健康診断の結果やレセプトデータから、重症化リスクの高い方をピンポイントで抽出
<2>医療機関に通院していない方には、通知や専門職による電話で重症化するリスク を伝え受診を勧奨 (実施件数5,622件)
<3>通院している方には、かかりつけ医の指示の下、専門職が6か月間マンツーマンで保健指導を実施し、食事や運動など生活習慣を改善 (実施者数1,195人)

3.取組の効果(平成26~27年度)
<受診勧奨>
効果を勧奨実施前後の5か月間に、新たに医療機関を受診した人数で測定した。
受診勧奨2.5か月前の未受診者は4,896人、うち受診勧奨までの新規受診者は491人(10.0%)であった。
受診勧奨時点の未受診者は4,405人、うち受診勧奨後2.5か月間の新規受診者は807人(18.3%)で、勧奨前の約1.8倍となった。
<保健指導>
効果を保健指導の前後で、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の値を取得できた
279人の値の変化で測定した。
279人のうち205人(73.5%)が指導後の値が改善、維持した。279人の平均値は、指導前7.1%から指導後6.8%へと0.3ポイント改善し、「合併症予防のための目標値7.0%未満」(日本糖尿病学会)を達成した。
一方、保健指導の対象者として選定されたが参加しなかった方のうち、比較のため条件を揃えて抽出した272人では、112人(41.2%)が改善・維持したものの、平均値は7.0%から7.1%へ悪化した。

4.今後の展開
<全県展開>
平成28年度は県内63市町村のうち40市町で国保連合会との共同事業を実施している。
今後、他の23市町村を含め全63市町村での重症化予防対策の取組拡大を目指す。
さらに保険者協議会を通じて、健保組合など国民健康保険以外の保険者にも糖尿重症化予防対策の普及を図る。
<全国展開>
日本健康会議(平成27年7月10日設立)では、「重症化予防に取り組む市町村を
800以上とする」との宣言を行った。また同会議のホームページで、埼玉県の「市町村広域展開」の取組を好事例として紹介している。
平成28年3月24日には、日本医師会・日本糖尿病対策推進会議・厚生労働省が、埼玉県の「三者連携」方式を踏まえた重症化予防に係る連携協定を締結し、平成28年4月20日に重症化予防プログラムを策定した。
埼玉県は、日本健康会議重症化予防グループの構成員となっており、本県の経験を生かして宣言の実現に貢献していく。
関連
ホームページ
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0701/tounyoubyoutaisaku.html