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タイトル 南葵音楽文庫利活用推進事業
施策・事業名称 南葵音楽文庫利活用推進事業
都道府県名 和歌山県
分野 教育・文化
内容 【南葵音楽文庫とは】
紀州徳川家第16代当主である徳川頼貞(1892-1954年)は、幼少の頃から音楽に興味を持ち、21歳でケンブリッジ大学に留学し、音楽を専攻。欧州の音楽文化を目の当たりにした頼貞は、帰国後、東京麻布飯倉に音楽専用ホール「南葵楽堂」(1918年落成)を建設しました。これに併設された音楽専門図書館に所蔵されていた西洋音楽関連資料コレクションが、南葵音楽文庫(なんきおんがくぶんこ)です。「南葵(なんき)」は紀州徳川を意味します。
1923年の関東大震災により建物は大きく損傷し、図書館活動は休止に追い込まれましたが、コレクションは大きな散逸を免れて継承され、現在は公益財団法人読売日本交響楽団が所有されています。
頼貞が莫大な私財を投じて蒐集した同文庫は楽譜(手書・印刷)、書簡、書籍に大別され、頼貞の没後に追加されたものも含めて全体で約2万点あり、頼貞が英国留学時代の師ネイラーを通じて1917年に一括購入した貴重な資料群「カミングス・コレクション」をはじめ、ベートーヴェンやベルリオーズといった大作曲家の自筆楽譜など世界に唯一無二の貴重資料が含まれます。その他の文献や楽譜も現在では手に入りにくいものばかりで、未だ全貌が明らかになっていない点も考慮すればその価値は計り知れません。

【南葵音楽文庫の寄託】
読売日本交響楽団は、演奏事業と並ぶ楽団の公益目的事業のひとつとして、南葵音楽文庫の活用の手立てを模索されていました。和歌山県は、その情報を得たことをきっかけに、2014年夏に同楽団を訪問。数少ない紀州徳川家ゆかりの貴重な文化遺産を和歌山県が迎え入れ、保全はもちろん資料の整理や公開、さらには世界へのアピールなど活用を図らせていただきたいとして、2015年2月に寄託に向けた協議が始まりました。そして、2016年8月に合意に至り、同年12月に和歌山県知事室において執り行った調印式で、正式に寄託契約を締結しました。
寄託契約の内容は、読売日本交響楽団が所有されている南葵音楽文庫の保管を和歌山県に移し、和歌山県の管理下で同文庫の活用を図るというものです。約2万点にのぼる資料のうち、特に貴重な資料約100点は和歌山県立博物館で保管し、特別展等で一般公開しており、その他の資料は、和歌山県立図書館で保管し、閲覧や研究等に活用しています。
本寄託契約に基づき、2017年4月から和歌山県立図書館において資料の整理と調査研究を始め、同年12月には、整理が済んだ資料の一部を南葵音楽文庫閲覧室においてプレオープンしました。その後、資料の整理と調査研究を進め結果、2020年3月には南葵音楽文庫のほぼ全ての資料が閲覧できるようになりました。

【南葵音楽文庫関連事業】
2017年から読売日本交響楽団による記念コンサートが2年に1回開催されています。
・2017年12月 「南葵音楽文庫寄託記念 読売日本交響楽団 和歌山特別公演」
・2019年9月 「南葵音楽文庫グランドオープン企画 読売日本交響楽団 和歌山公演2019」
・2021年6月 「南葵音楽文庫寄託5周年記念 読売日本交響楽団 和歌山公演」

また、これまでの南葵音楽文庫研究における成果として、2021年3月に「紀州徳川400 年南葵音楽文庫案内」、「薈庭楽話」、「徳川頼貞侯の横顔」の関連書籍3冊を刊行しました。書籍は一般販売を行うとともに、県内の中学校・高等学校、市町村教育員会、市町村立図書館・図書室、全国都道府県立図書館、国立国会図書館、音楽学科を設置する大学図書館等にも寄贈し、多くの方にその成果を御覧いただけるようにしました。「紀州徳川400年南葵音楽文庫案内」については、2022年2月に県のふるさと納税返礼品に登録しました。

【南葵音楽文庫の今後】
和歌山県では今後、南葵音楽文庫の保全・研究並びに普及・活用事業に取り組み、紀州徳川家にゆかりある西洋音楽資料の殿堂という新たな文化拠点を和歌山県に築くことで、地域文化のブランド力向上と県民の郷土愛醸成に繋げたいと考えています。また、世界的価値のある音楽の専門書、楽譜等の公開を通して国内外の音楽研究に寄与するだけでなく、南葵音楽文庫の寄託元である読売日本交響楽団と連携し、コンサートやワークショップ等を通じて良質な音楽を県民に提供することで、和歌山県の次世代育成と音楽文化の振興を図りたいと考えています。
ベートーヴェンの自筆楽譜((C)読売日本交響楽団提供)
ベートーヴェンの自筆楽譜((C)読売日本交響楽団提供)
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