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タイトル 抗微生物薬の適正使用の推進による医療の質改善
施策・事業名称 抗微生物薬の適正使用の推進
都道府県名 東京都
分野 健康福祉
事業実施期間 平成23年10月1日~
施策のポイント 抗微生物薬は使用すれば必ず薬剤耐性を生じ、頻度が多いと都民の健康問題となる。薬剤耐性によって効く薬がなくなることが危惧される一方、近年新薬開発がほとんど期待できない。現存する薬剤を大切に使用し、必要のない時には使わない、使う時には適切に使用する適正使用で、耐性化を防ぎ長く使用することが大事であるが、医師の処方権への介入は困難であり、長年多くの病院で適正使用を進めることができなかった。
東京都立小児総合医療センターでは、2011年より包括的な抗微生物薬適正使用プログラム(ASP,Antimicrobial Stewardship Program)を導入し、組織的対応でこれを解決した。特定抗微生物薬の電子カルテによる処方許可制と処方後の監査、最小限の採用薬、院内の治療の標準化、血中濃度測定によるコンピューターによるシミュレーション、薬剤耐性のモニタリング、抗微生物薬の使用量調査等を行ってきた。広域抗菌薬の適正使用化により使用量削減に成功したことで、耐性菌の減少、平均入院日数の減少、感染症関連入院死亡率の減少を達成した。このモデルは全国の病院の参考になり、薬剤耐性化に歯止めをかける手段となる。
内容 【背景・問題点】
抗微生物薬は使用すれば、必ず薬剤耐性を生じ、頻度が多いと都民の健康問題となる。薬剤耐性によって効く薬がなくなってしまうことが危惧される一方で、近年、新薬開発のスピードが耐性菌の台頭に追いついていない。現存する薬剤を大切に使用し、必要のないときには使わない、使うときには適切に使用する適正使用で、耐性化を防ぎ、長く使用することが大事であるが、長年、医師の処方権に介入するのは困難であり、多くの病院で適正使用を進めることができなかった。

【取組の契機・経緯】
東京都立小児総合医療センターでは、2011年より包括的な抗微生物薬適正使用プログラム(ASP,Antimicrobial Stewardship Program)を先進的に導入し、組織的対応でこれを解決した。

1.特定抗微生物薬の電子カルテによる処方許可制と処方後の監査
介入は、広域抗菌薬、通常使用しない抗ウイルス薬や抗真菌薬などを特定抗微生物薬に指定し、電子カルテで許可がないと処方できない許可制を導入した。使用する際には、感染症科医に連絡し、適正と認められると許可をして、薬剤科が電子カルテのブロックを解除するという仕組みである。特定抗微生物薬を使用した場合には、処方後も監査が行われ、必要以上の期間使用しないように主治医へ勧告を行った。

2.最小限の採用薬
細菌検査室では、感受性結果を制限つきで報告し、第一選択で使用することのない広域薬剤、自然耐性で使用すべきでない薬剤などの感受性は電子カルテで報告しないことで、主治医が本来、使用すべき第一選択の薬剤を使用しやすいようにシステムとして対応した。院内採用する薬剤も同効薬、特徴のない薬剤は採用を取り消しにし、必要最低限の採用薬リストとした。

3.院内の治療の標準化
院内の各種治療もマニュアルをすることで標準化を行い、適正な投与量、投与方法で治療されるようにした。

4.血中濃度測定によるコンピューターによるシミュレーション
薬物血中濃度の測定が必要な薬剤では、薬剤科によるコンピューターのシミュレーションによる投与設計支援をより副作用が少なく、適正な治療が行えるように、週末も含む体制で実施した。

5.薬剤耐性のモニタリング
薬剤耐性菌、抗微生物薬の使用量もモニタリングを行い、ASPの効果をリアルタイムで評価を行った。

6.抗微生物薬の使用量調査

このように、多職種が連携してチームとして協働し、従来の方法ではなし得なかった抗微生物薬の適正使用の推進を、病院のシステムとして導入を行った。

【施策の効果】
抗菌薬使用を適正化することで、広域抗菌薬の使用量を半減させ、緑膿菌などの耐性菌もメロペネム耐性を3.8%(全国平均19.9%)まで著しく減少させた。また外来でも内服広域抗菌薬を半減した。感染症治療を最適化、耐性菌を減少させたことで、平均入院日数の9.7%の減少、感染症関連死亡率も40%も減少させ、病院における患者予後を改善させた。また、病院の既存の人員、組織で行ったために経費は通常の病院運営の範囲内で行った。一方、抗菌薬の薬価換算の経費削減は、年間1200万円であり、6年間で約7000万円のコスト削減を達成した。
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本件問合先 (地独)東京都立病院機構 東京都立小児総合医療センター 計画課計画グループ(保健医療局都立病院支援部法人調整課法人調整担当)
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