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タイトル | 全国に先駆けて排出量取引制度を導入~産業・業務部門の地球温暖化対策~ |
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施策・事業名称 | 目標設定型排出量取引制度 |
都道府県名 | 埼玉県 |
分野 | 環境 |
事業実施期間 | 平成23年4月1日~ |
施策のポイント |
(1) 県が対象事業者にCO2総量削減の統一的な目標を設定し、また目標達成にあたり排出量取引を可能とすることで、CO2総量削減を効率的に進めることが可能となる。 (2) 東京都と埼玉県が都県境を超えてクレジットの相互利用を可能とすることで、広域的なCO2削減に係る取組を可能としている。 (3) 本制度は、現在国レベルでは導入されておらず、地方が先進的に導入している。 |
内容 |
【事業の趣旨】 本制度は、本県の温室効果ガス排出量の約5割を占める産業・業務部門における対策として、平成23年度に導入した制度である。県がCO2の統一的な削減目標を設定することで、事業者におけるCO2排出量の総量削減を進める。ここで、目標達成の手段として、自らの排出削減のみならず、排出量取引を含めることで、事業者の経済活動にも配慮しつつ、CO2の削減の取組を進めることができる。 【事業の仕組み】 (1)対象事業所 3か年度連続してエネルギー使用量が1,500kL以上(原油換算)となる事業所を対象とする。(対象事業所数:約600事業所) (2)計画期間 第1計画期間を除き、5年ごとに計画期間を定める。対象事業所は計画期間ごとに削減目標の達成を図る。 第1計画期間:平成23~26年度(4年間) 第2計画期間:平成27~31年度(5年間) 第3計画期間:令和2~6年度(5年間) (3)削減目標 基準排出量(※)に対して、目標削減率を設定する。 なお、目標削減率は、事業所の用途に応じて計画期間ごとに県が定める。 第1計画期間:工場等 6%、業務ビル等 8% 第2計画期間:工場等13%、業務ビル等15% 第3計画期間:工場等20%、業務ビル等22% ※基準排出量: 平成14~19年度のうち、対象事業所が選択した任意の3か年度のCO2平均排出量 【事業の成果】 (1)CO2の排出削減の状況 第1計画期間の対象大規模事業所(608事業所)には、工場が基準排出量※から6%削減、業務ビルが同8%削減という目標に対し、両者とも22%削減と目標を大きく上回った。 現在実施中の第2計画期間は、平成29年度の実績で工場29%、業務ビル28%、全体で28%の削減だった。 (2)削減目標の達成状況 第1計画期間(608事業所)は、全体の88%にあたる533 事業所が目標を上回る削減率を達成したほか、66事業所が排出量取引を活用して目標を達成した。両者を合わせ、全体の99%にあたる599 事業所が目標をクリア達成した。 (3)大規模事業所の省エネ対策 制度導入以降、CO2排出量の少ない燃料への転換、照明のLED 化、再エネ導入などが積極的に実施された。 また、本県では、特に優れた対策を実施した県内事業所を優良大規模事業所に認定しており、この認定取得に向けて、大型バイオマス発電施設やバイナリー発電機の導入などのハード面に加え、省エネ活動などのソフト面も充実が図られている。 (4)世界銀行主催会議(I4C)で成果を発信 排出量取引制度は平成17 (2005)年、EUがいち早く導入した後、各地域でも導入が進められている。また、近年ではアジア諸国でも導入の動きがみられ、中国や韓国のほか、国内では東京都と埼玉県が導入している。 こうした本県の成果が評価され、令和元年6月に開催された世界銀行主催の国際会議「Innovate 4 Climate」(シンガポール)にトップレベル事業所である関東グリコ(株)とともに招待され、本制度の成果を発表した。 【事業の特徴】 (1)東京都との連携 平成22年度から排出量取引制度を導入している東京都と、制度について連携をしている。特に制度の骨格となる、対象事業所の条件、対象ガス、基準排出量の算定方法を共通化するなど、両制度の整合を図り、都県間でクレジットの相互利用を可能としている。 (2)オフセット・クレジットの活用 本制度では、対象事業所以外でのCO2排出削減量をオフセット・クレジットとして活用することができる。具体的には、中小事業者や県外の大規模事業所の削減量、再生可能エネルギー導入によるCO2排出削減量をオフセット・クレジットとして認めている。これにより、排出量取引を円滑にするとともに、対象事業所以外の事業者も取引に参加できる。 (3)カーボンオフセットの取組 県では、ラグビーワールドカップ2019TM日本大会や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されることを契機にして、大会の開催により排出されるCO2を、本制度で創出したクレジットを活用してゼロにする取り組み(ゼロカーボン埼玉)を実施している。 大規模事業所にクレジットの提供を呼び掛け、令和2年3月までに38社、約51万トンの提供をいただいた。また、1万トン以上のクレジットを寄付いただいた企業には、令和元年11月に知事から感謝状を贈呈した。 |
関連 ホームページ |
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0502/torihikiseido.html |
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0502/sakugen.html | |
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2017/1116-01.html | |
本件問合先 | 環境部温暖化対策課 |
048-830-3044 | |
a3030@pref.saitama.lg.jp |