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タイトル | 「心のバリアフリー」を広める~共生社会の実現に向けた障害者芸術文化施策の展開~ |
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施策・事業名称 | 障害者芸術・文化活動推進事業 |
都道府県名 | 埼玉県 |
分野 | 健康福祉 |
事業実施期間 | 平成21年4月1日~ |
施策のポイント |
平成21年度から有識者、経済団体、マスコミ、障害者アート支援実践者、障害者団体、県等を構成員とする「埼玉県障害者アートフェスティバル実行委員会」を組織し、ダンス、美術等の分野で障害者の芸術文化活動を総合的に推進している。 施策の推進に当たっては、共生社会の実現に向けて「心のバリアフリー」を広めるため、障害者とその家族、福祉関係者だけでなく、障害のない人々にも深く関心をもってもらうよう特色ある事業を実施している。 (1)ダンス分野 国内外で活躍する一流ダンサーの構成・振付による障害者ダンス公演を 毎年実施。有料公演にもかかわらず一般の方々が数多く来場している。 (2)美術分野 産学官民が連携してホテルに障害者アートを展示するなど、多くの方に障 害者アートを身近に触れてもらえる取組を行っている。 これらの施策を進めることで、障害及び障害者に対する理解の醸成を図り、東京2020パラリンピックレガシーとして障害者に対する「心のバリアフリー」の浸透を図っていく。 |
内容 |
平成23年の障害者基本法改正で、地方公共団体は「障害者が文化芸術活動を行うことができるよう施策を講じなければならない」と位置づけられたことで、国の第3次障害者基本計画(平成25年~平成29年)では、文化芸術活動の振興が大きく取りあげられることとなった。 それに伴い、全国的に障害者の芸術文化活動の推進が図られるようになる中、埼玉県ではそれに先立ち、平成21年度からダンス、美術などの分野で障害者の芸術文化活動を通じた社会参加を推進するための総合的な取組を進めている。 施策の推進に当たっては、東京2020パラリンピックレガシーとして障害者に対する「心のバリアフリー」の浸透を図っていくため、新たな切り口からの取組を積極的に展開している。 (1) 主な取組 1 一流ダンサーの構成・振付による障害者ダンス公演 著名な振付家・ダンサーである近藤良平氏と埼玉県内の障害者が長期間のワークショップを経て結成したダンスカンパニー「ハンドルズ」によるダンス公演 を開催。これまで6回の有料公演を開催し、毎回ほぼ満席となっている。 近藤氏は、NHK教育番組やCMなどの振付を数多く手掛け、男性のみの学 ランダンス集団コンドルズを率いて国内外で公演を行うなどの顕著な活躍から、平成28年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した実績を持つ。 平成21年度から平成27年度までワークショップと公演を隔年で開催してい たが、平成28年度からは東京2020パラリンピック文化プログラムとして毎年開催し、高校生や中学生のダンスチームとの共演も果たしている。 また、埼玉独自の文化資源として全国にPRするため、平成29年度には初の県外派遣公演を石川県金沢市で開催。平成30年度は静岡県静岡市での公演を予定している。 これらの取組によって、障害者による舞台芸術の新たな可能性を切り拓くとともに、広く県内外の人々の障害者に対する理解醸成につなげている。 2 産学官民連携による発掘・育成・発信 ア ホテルに1枚プロジェクト 平成29年度から、県内のホテルに協力いただき、障害者アートを常時展示している。 ホテルは展示場所を無償で提供し、障害者アーティスト・障害者施設は作 品を無償で提供。展示作品の選定、作家・作品を紹介するキャプションの作成と展示作業は武蔵野美術大学の学生が担当する。学生は障害者アーテ ィストを訪問し交流することで、作品や創作に対する思いを聞き取り、キャプション作成に生かしている。 全体の調整を県が行っており、産学官民の連携で、いつでも身近なホテルで作品に触れていただく機会を提供している。 イ 障害者アートと音楽とのコラボレーション さいたまスーパーアリーナで開催される大型ロック・フェスティバル「VIVA LA ROCK」において、障害者アートグッズ販売ブースを出展。 また、大手CDショップチェーン「タワーレコード」と連携し、タワーレコード浦和店の店頭で障害者アート及びグッズを展示。 民間企業との連携により、これまで障害者アートに触れる機会が少なかった若い世代をはじめとした新たな層への積極的なアプローチを図っている。 ウ 障害者アート企画展の開催~県主体から官民協働へ~ 作品発表の機会として、県立近代美術館でこれまでに8回開催している。 平成29年度は選考による97人の障害者アーティストの作品約300点を展示。選考され出展することが自信につながることから、出版した写真集が完売したり、アパレル企業等の商品にデザインが採用されるなどの活躍を見せるアーティストを輩出している。 【アートネットワークの構築】 平成21年度、22年度は福祉や美術を学ぶ大学生が参加しての展示を実施。 24年度からは「障害者の芸術活動を支援する人材の育成」に主眼をおき、福祉の現場で表現活動を支援している事業所や施設の職員と学生が、ともに学びながら展覧会を実施する体制に変更した。 アートディレクターの指導のもと、ワークショップで展覧会のコンセプトやタ イトルを決め、美術専門家等に作品選考の助言を受けながら展示・運営を実践することで、支援する側の人材育成にもつながっている。 日頃、福祉の現場で障害者の表現活動の支援をしている担当者たちのつ ながりが深まったことを受けて新たに民間のアートネットワークが構築された。 <平成30年度現在、25の福祉事業所・施設が参加> 平成28年度には厚生労働省「障害者の芸術活動支援モデル事業」の助 成を受け、県が主体で開催していた障害者アート企画展をはじめ、支援方法や著作権保護などの相談業務や人材育成など、民間のアートネットワークが主体となる方式に変更し、現在、民間主導でアート企画展を開催している。 【障害者アーティストの発掘】 県は、毎年、障害者アート企画展の応募を兼ね、県内の障害のある方を対象として表現活動(芸術文化活動)の実施状況を調査し、障害者アーティストを発掘している。 表現活動実践者は年々増加しており、その活動も多様化している。 <27年度384人、28年度534人、29年度599人> こうして発掘した方々をアート企画展への出展につなげることで、官民が 連携してより多くのアーティストを県民に紹介する仕組みを作っている。 (2) 推進体制 1 実行委員会による施策・事業の企画運営 有識者、経済団体、マスコミ関係者、障害者アート実践施設職員等を構成員とする「埼玉県障害者アートフェスティバル実行委員会」を平成21年度から設置。平成30年度は実行委員16名により組織。 単なるイベントの実行委員会ではなく、県においてどのように障害者の芸術文化施策を進めていくべきか、また、そのためにはどのように事業展開していくべきかなど、包括的・政策的な議論を行う場となっている。 2 芸術文化専担グループを配置 事業を実施するに当たり、平成21年度から障害福祉施策担当課内に障害者の芸術文化活動を推進するための専担グループを配置。 平成30年4月1日現在、主幹1名、主査1名、主任1名の3名体制。 全国障害者芸術・文化祭の開催に合わせての一時的なものではなく、専担グループを配置している自治体は全国的にも例が少ない。 これにより、県が中心となった施策・事業の企画運営ができ、多様な連携や事業展開が可能となっている。 |
関連 ホームページ |
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0604/kenko/shogaisha/jiritsu/bunkagejutsu/index.html |
本件問合先 | 福祉部障害者福祉推進課 |
048-830-3312 | |
a3310-03@pref.saitama.lg.jp |