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タイトル 埼玉の川の再生 ~「清流の復活」と「安らぎと賑わいの空間創出」~
施策・事業名称 川の再生・水辺再生事業
都道府県名 埼玉県
分野 地域振興・まちづくり
事業実施期間 平成20年4月1日~
施策のポイント 埼玉県は県土面積に占める河川面積の割合が3.9%(全国第2位)、また鴻巣市・吉見町間の荒川の川幅が2,537mで、日本一である。生活の身近に川の存在がある埼玉県はまさに「川の国」である。

一方、高度経済成長期の河川改修による直壁の護岸や草木が生い茂っていることなどにより「水辺に近づけない」、或いは水質悪化や乏しい景観により「川に近づく気になれない」といった状況もあった。

そこで、このような状況を改善し、埼玉県の持つ川のポテンシャルを生かすために、平成19年度に「川の再生基本方針」を定めて、川の再生に着手した。

「川の再生」は、「県民誰もが川に愛着を持ち、ふるさとを実感できる『川の国埼玉』を実現し、川が地域の共有資産として広く県民に認識され、地域による持続的・自立的な改善行動、維持管理が行われる姿」を目標としている。

この目標を達成するため「清流の復活」(河川水質の改善)と「安らぎと賑わいの空間創出」(水辺空間の整備)を2本柱に関係部局が連携して「川の再生」を実現する取組を推進する。
内容 1 川の再生の概要
(1) 清流の復活
公共下水道、流域下水道及び農業集落排水の整備、合併処理浄化槽の普及促進、導水による河川水量の確保等、水環境の改善を実施する。
地域による持続的・自立的な環境保全、美化活動が行われるよう、地域住民等に対し、清掃用具等活動資材の提供や貸出し、情報共有の場の提供などの支援を行い、「川をきれいにしよう」といった川の浄化ムーブメントを醸成する。

(2) 安らぎと賑わいの空間創出
人々が川に近づき、集える水辺の拠点、遊歩道、アユ等が遡上できる魚道の整備等を行い自然や親水機能の保全・創出を図る。
水辺を活用したイベント、祭等の開催や河川敷地の利用促進、川の魅力情報の発信など水辺の魅力創出と情報発信を行う。

(3) 県、市町村、地域住民等による連携・協働
川の再生の実施に当たっては、県、市町村、地域住民等の連携・協働の仕組みにより進める。
県は、親水護岸、遊歩道等水辺空間の整備、流域下水道の高度処理、合併処理浄化槽の普及促進等を行う。
市町村は、公共下水道の整備、公園、駐車場、トイレなど地域振興施設の整備、イベント企画などの利活用の推進、住民等と連携した維持管理などを行う。
地域住民等は、地域振興イベントの実施、ウォーキングや散策などでの利用、清掃活動、環境学習、川遊びのイベント等を行う。
県は、これらの活動を行う団体を川の国応援団として登録し、活動資材の提供や貸出し、情報共有や情報発信などの支援を行う。


2 川の再生の主な事業
(1) 水辺空間の整備 (ハード事業)
埼玉県では、県民に劇的に変わった川の姿を見てもらい、川の再生を実感してもらうため、リーディング事業として平成20年度からの4年間でスポット的に100箇所の川の再生を行う「水辺再生100プラン」を地域の住民と協働で取り組んだ。
続いて、川の再生の取組を、線的、面的に広げる「川のまるごと再生プロジェクト」を平成24年度から市町村のまちづくりと連携しながら進めた。
更に、平成28年度からスタートした「川の国埼玉はつらつプロジェクト」では、市町村主体の地域振興の取組と連携し、県内各地の川で魅力を実感できる水辺空間の整備を進めた。
令和3年度からは、豊かな自然と共生しながら持続的に発展する埼玉の実現を目指す埼玉版SDGsの一環として、多様な主体と連携しながら「Next川の再生」に取り組んでいる。
各事業の概要は以下のとおりである。
【水辺再生100プラン】
川の再生のリーディング事業として平成20年度からの4年間で県管理河川70箇所及び農業用水30箇所の計100箇所で「川の再生」を実施した。
地域で「川をきれいにしよう」「川を活用しよう」という気運を醸成するため、最初に代表モデル5箇所を2か年で集中的に整備すると共に、現地見学会やマスコミ等への広報活動を積極的に実施し、県民に「確かに変わった」川の姿を実感してもらう取組を実施した。
また、川が地域の共有資産として活用され維持管理されるよう、地域が計画づくりから参加し、地域による維持管理活動を行うなど、県と地域が連携・協働して取り組む仕組みで事業を進めた。
【川のまるごと再生プロジェクト】
川を上流から下流まで「まるごと」対象として川の再生を行う「川のまるごと再生プロジェクト」を平成24年度からの4年間で10の河川と7の農業用水で実施した。
本事業では、市町村が行う公園、観光施設、案内板などの整備など「市町村のまちづくり」と一体となって線や面に広がりを持つ取組とし事業を実施した。
【川の国埼玉はつらつプロジェクト】
地域の特色を生かしながら人もまちも川も「はつらつ」となる水辺空間を整備・拡充する「川の国埼玉はつらつプロジェクト」を平成28年度から令和2年度まで実施した。
事業箇所は市町村提案から選定し、市町村の地方創生にかかる総合戦略や観光振興等の取組と連携した水辺づくりに取り組んだ。
従来の取組と同様に県、市町村及び地元住民や団体等が協働する仕組みとして、市町村が運営する協議会において、水辺空間の利活用、整備内容及び維持管理などを検討し、市町村の地域振興の取組と連携しながらプロジェクトを進めた。
令和2年度末までに、河川及び農業用水において23市町27箇所の水辺空間を整備・拡充した。
【Next川の再生・水辺deベンチャーチャレンジ】
「水辺deベンチャーチャレンジ」では、河川空間の利活用について、新たに企画段階から民間事業者との連携を強化し、より魅力ある水辺空間の創出を図る。
市町村が設置・運営する利用調整協議会において、地域住民や民間事業者等とともに、利活用内容や利活用に必要な河川管理施設等の検討を行い、協議会で合意した計画に基づき、整備を推進する。
令和5年3月末現在、県内13箇所を実施候補箇所として登録している。


(2) ソフト事業
水辺空間整備等のハード事業と共に、賑わいの創出や県民活動を活性化するためのソフト事業を合わせて進めた。主な取組の概要は以下のとおりである。
【水辺空間とことん活用プロジェクト】
平成23年4月に河川敷地占用許可に係る規制が緩和され、地域振興に資することを目的として民間事業者が河川敷地を商業利用することが可能となったため、川の再生事業箇所で整備した箇所を中心に民間活用を進める取組を推進している。
令和5年3月末現在、埼玉県内では15箇所16施設(イベント広場4箇所、バーベキュー場9箇所、キャンプ場・カフェ等複合施設1箇所、アクティビティ施設1箇所、オープンカフェ1箇所)が開業している。
【里川つくり県民運動】
河川の汚濁原因の約7割を占める家庭からの生活排水を改善するため、水辺再生100プラン事業と連携し、平成20年度からの4年間で人との関わりを通して、水や生き物の豊かさが育まれる水辺の再生を目指す取組を行った。
実践的な生活排水対策などを自治会単位で啓発し、子どもたちを対象に環境学習や啓発イベントを行うなどにより次世代の育成を行った。
【川の国応援団】
川を活動の場として清掃活動、環境学習、川遊びや生き物調査などを行う団体を「川の国応援団」として登録し、活動資材の提供や貸出し、情報共有や情報発信など支援を行う取組を実施している。


3 川の再生の成果
(1) 清流の復活
公共下水道の普及、流域下水道処理施設での高度処理の導入、浄化槽整備補助金による合併処理浄化槽の普及促進、農協集落排水施設の整備、改築等水環境の改善を行った結果、河川水質が大きく改善した。
◆ アユが棲める水質(BODの年度平均値が3㎎/L以下) の河川の割合
平成17年度(2005):52% ⇒ 平成30年度(2018):82%

(2) 安らぎと賑わいの空間創出
人々が水に近づき集える「水辺の拠点」を整備し、祭、川遊び、イベントなどに利活用されている。
川沿いを歩きやすく、快適性を向上させた遊歩道や水辺拠点間を結ぶ遊歩道を整備するとともに、既設の遊歩道との連続化により観光拠点の回遊性を向上させた結果、ウォーキングや散策などに活用されている。
川の再生の取組を市町村のまちづくり政策と連携させることにより、「まちなかの散策路」を始め「下水道」、「川と一体となった公園」の整備、更には「合併処理浄化槽への転換促進」などの「まちづくり」を推進した。
現在進めている「川の国埼玉はつらつプロジェクト」(実施期間H28~R2)では、さらに市町村主体の地域振興施策と連携し、県内各地の川で川の魅力を実感できる水辺空間の整備・拡充を進めた。

(3) 県、市町村、地域住民等による連携・協働
地域による積極的な利活用と維持管理を進めた結果、川の清掃活動など水辺再生箇所を中心として川を守る活動が広がり、県、市町村、地域住民と協働する仕組みが定着してきた。また、事業箇所を中心に川への関心が高まり、水辺空間が県民の憩いの場として利用されるようになった。
特に子どもたちに川にふれる体験をさせる事業は、毎年3千名以上が参加している。
◆ 川の国応援団登録数
平成19年度(2007) 104団体 ⇒ 令和4年度(2022) 764団体 (7.3倍)
◆ 川の国応援団美化活動団体
登録数:平成19年度(2007) 98団体 ⇒ 令和4年度(2022) 476団体 (4.9倍)
活動延長:平成19年度(2007) 97㎞ ⇒ 令和4年度(2022) 567㎞ (5.8倍)
こうした川の再生の取組により地域による水辺空間の利活用が積極的に行われ、良好な維持管理が行われる好循環を生み出す。川の再生の効果が地域住民の生活や地域経済など様々な分野に波及し、川が地域の共有資産としてさらに発展する。
川の再生は、このような「川の国埼玉」を実現する。
関連
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本件問合先 県土整備部河川環境課
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