政策個表

タイトル 「働き方改革」型の予算編成 ~業務カイゼンで時間外勤務3割減~
施策・事業名称 予算編成における働き方改革 ~「早める」「変える」「なくす」をキーワードに~
都道府県名 鳥取県 本件問合先 鳥取県総務部財政課
分野 行財政改革 0857-26-7043
事業実施期間 令和01年10月1日 ~ zaisei@pref.tottori.lg.jp
施策の
ポイント
財政課は自治体において最も多忙な部署の一つであり、特に冬の時期に業務が集中しているが、令和2年度当初予算編成において、「早める」「変える」「なくす」をキーワードに、予算編成プロセスのカイゼンを行い、全庁的な業務の効率化を図った。
具体的には、「夏からの予算検討」による業務の平準化、議案説明資料のオートメーション作成(データベースを活用しワンクリックで転記)、財政課長聞き取りの廃止(一律の聞取を廃止し、個別協議としたことで丸4日半の時間を削減し、政策立案に特化)、年末年始9日間・土日祝日の協議取りやめ等の抜本的な見直しを行い、予算編成時期の時間外勤務は前年比で約3割(27%)の減となった。
内容 1.現状
財政課は、自治体において最も多忙な部署の一つであり、多くの自治体職員が、冬の当初予算編成時期には長時間勤務に頭を悩まされているのが実情である。一方、昨今の「働き方改革」の流れは、財政課においても例外ではなく、予算編成業務を効率化することで、時間外勤務の縮減を図ることが求められている。また、予算編成は全庁に及ぼす影響が大きい業務であることから、予算編成プロセスの「カイゼン」は、財政課のみならず、予算要求を行う部署も含めて全庁的な業務効率化につながり、行政サービスの向上にも資することが期待される。

2.取組内容(一部、効果も含む)
令和2年度の当初予算の編成作業にあたり、「早める」「変える」「なくす」の3つのキーワードに沿って、夏からの予算検討、議案説明資料作成のオートメーション化、財政課長聞取の廃止、年末年始の協議取りやめ等を行い、予算編成作業の手法について抜本的な見直しを行った。

A.「早める」
〇夏からの予算検討
財政課の業務は、冬の当初予算編成時期に集中しており、時間外勤務も冬の繁忙期に多くなっていたが、「夏からの予算検討」として、経常的な事業で、例年同様の要求がある事業については、部局からの要求を待つことなく、夏の時期に財政課内で方向性を検討・整理し、冬の予算編成時期の負担軽減を図ることとした。
時間に余裕のある夏の時期に検討を行うことで、担当部局と密に意見交換を行い、関係団体とも調整を図ることができる。冬の当初予算編成時期には、非常に多くの事業の査定案作成等を行う必要があり、一事業の検討にかけられる時間は限られている。経常的な事業については夏に見直しを検討し、政策的な事業や新規事業については年度後半の冬に検討することで、年間の業務の平準化を図った。


〇予算編成データベースの早期配布
要求部局の担当者が、早い時期から準備に取りかかることができれば、業務の平準化につながることから、令和2年度予算編成においては、10月13日の予算編成会議(予算編成のキックオフ)の1ヶ月近く前である9月20日に、予算要求データベース(予算要求書の入力フォーム)を配布した。これを受けて、各部局の担当者が早い段階で要求書の作成などの準備作業に取りかかることができ、予算要求業務の平準化につながった。

B.「変える」
〇議案説明資料作成のオートメーション化
要求部局が財政課・県幹部へ説明や、ホームページでの公開用に予算要求書をデータベース上で作成するとともに、議会への提出・説明用に「議案説明資料」を作成していたが、両者は項目や様式が異なっており、作成・確認作業が二度手間となっていた。
そこで、事務負担を軽減するため、予算要求書と議案説明資料の記載項目を統一し、データベースを活用して、予算要求書の内容をワンクリックで議案説明資料に転記できるようにした。記載する項目を、要求書、議案説明資料ともに「事業の目的・概要」「主な事業内容」「取組状況・改善点」に揃えた。
これまで議案説明資料の作成にあたっては、「要求部局の担当者が作成→上司(課長補佐、課長等)が確認→財政課へ提出→財政課が確認」と多くのプロセスがあったが、データベースを活用して転記することで、「わずか1秒」で議案説明資料を作成することができるようになった。作成した議案説明資料は、データベース上に保存されることから、キーワードによる検索も可能となり、後年度になって同様の事業がないか調べる際にも、瞬時に検索することが可能となった。更に、項目を統一したことで、ホームページで要求書を見る県民にとってのわかりやすさも向上するという効果もあった。

〇査定本数の削減による省力化(B事業の拡大)
本県では、比較的に政策判断が不要で、終了することができないといった一定の基準を満たした事業を「B事業」として、予算編成時期における財政課とのやりとりは原則行わない。具体的には、「B事業」については、前年度の予算額(一般財源ベース)を上回らず、制度や事業内容の変更がないといった条件のもとで、部局が要求した場合には、原則として要求どおり計上することとし、要求側・査定側の双方における作業の省力化を図っている。
令和2年度当初予算編成においては、このB事業を468事業(全体の約3~4割の事業)まで拡大した。これによって冬の繁忙期における査定本数が大幅に減少し、労力の削減につながった。B事業については、夏の時期に「サマーレビュー」として内容の点検・見直しを行うとともに、A事業(B事業以外の一般事業)との入れ替えも行うことで、事業のマンネリ化を防ぐとともに、より効果的な実施手法を検討することとしている。

C.なくす
〇財政課長聞き取りの廃止
これまで多くの事業について財政課長が要求部局の担当課長から聞き取りを行っていたが、財政課長は別に財政課内の各担当者からも事業内容の説明を受けており、説明内容が重複していた。特に、冬の当初予算編成時期には、約220もの事業を丸5日間かけて、財政課長が担当課長から聞き取っており、その間は財政課長が拘束されることから、繁忙期に財政課内の協議がストップしていた。また、多くの事業を聞き取る関係で、1事業の聞き取りにかけられる時間は10分未満と短く、事業の目的や概要の説明に終始し、質問のやりとりや政策的な議論まで進まないのも実態であった。
そこで、一律の財政課長聞き取りは廃止し、真に課長レベルで政策的な議論が必要な事業について、案件を厳選した上で、財政課長と要求部局の担当課長との個別協議を行うこととした。これにより、約9割もの事業が聞き取り不要となり、丸5日間かかっていた課長聞き取りも半日間(個別協議)に減少して、予算編成の日程に大幅な余裕ができたのである。
また、個別協議にしたことで、担当課長と財政課長の間で膝を突き合わせて、事業の方向性や効果的な実施方法等について、政策的・大局的な議論を行うことができるようになった。課長同士で「どのような政策が効果的か」と意見を交わしたり、「こうすれば良いのでは」とアイデアを出し合ったりすることで、財政課と要求部局が力を合わせて政策を練り上げる仕組みが構築され、県庁全体の政策立案機能の強化にもつながった。単に事業内容を把握することは、担当職員に任せた上で、財政課長はより重要な「施策の方向性の決定、政策立案、事業のブラッシュアップ」の業務に特化することとした。
要求部局側としても、これまで財政課長聞き取りの準備のために、資料作成など多くの時間を費やしており、当日も課長のみならず多数の担当職員が聞き取りに同席していたことから、業務の省力化につながったとの意見が多くあった。

〇予算要求資料の削減
これまで、要求部局が多くの資料を予算要求書に添付しており、資料の作成や確認に多くの時間を費やしていたことから、資料を簡素化するという方針のもと、要求書への資料添付は「原則5枚以内」とすることとした。また、多くの資料が添付されていた中で、実際に財政課が予算編成に活用する資料はわずかであり、使用されない資料が大半であったことから、財政課から要求部局に対して、「事業概要、積算、事例」などと必要な添付資料の例を示すこととした。当初から添付する資料は絞った上で、追加で必要な資料については、財政課の担当者から各部局に個別に作成を依頼することで、作っても使用されない「無駄な資料」の作成を減らすこととしたのである。

〇年末年始9日間・土日祝日の財政課内協議の取りやめ
財政課における予算編成の最繁忙期は年末年始であるが、本県財政課では、令和元年10月の予算編成会議において、「年末年始の課内協議取りやめ」を宣言した。協議取りやめの期間は、当初は6日間の予定であったが、予算編成作業が順調に進んだ結果、結果として9日間(12月28日から1月5日まで)に拡大した。予め秋の時点で「年末年始は絶対に協議を行わない」ことを宣言することで、余裕を持った予算編成のスケジュールを組むことができた。更に、結果的には年末年始に加え、土日祝日についても、課内協議を一切行わずに令和2年度の当初予算編成を行うことができた。

〇その他
他にも、前年の3月の当初予算成立前に仮配当を行う仕組みを導入し、翌年度の予算執行の準備に早期に取りかかれるようにした。これにより、翌年度の契約準備にかけられる期間が約1週間から約3週間に長くなり、余裕をもった事務手続きが可能となった。年度末に集中する契約などの業務を平準化するとともに、早期執行のために取得していた債務負担行為の設定に係る事務作業も減少した。
更には、財政課内の役割分担の強化として、冬の繁忙期に開催される会議への財政課長の出席を取りやめ、代理出席とすることなどにより、課長不在による課内協議の停滞を解消した。また、財政課長がどうしても出席する必要がある会議等の時間帯には、並行して、課長補佐主導による協議(例えば、2月補正予算の減額項目に係る協議など)を設定し、限りある時間を有効に使うようにした。

3.効果
「早める」「変える」「なくす」をキーワードに、一連の予算編成の省力化の取組を行った結果、本県財政課職員の令和2年度当初予算編成時期(11月~1月)の時間外勤務は前年比で27%の減少と、大幅に削減することができた。また、上述したように年末年始9日間と土日祝日に課内協議を一切行わずに当初予算編成ができたことも、働き方改革の取組の成果であると言えよう。
具体の取組の効果は上述したとおりであるが、財政課長聞き取りの廃止により、丸5日間の課長聞き取りがなくなり、半日間の個別協議のみとなったことで、冬の繁忙期における4日半の時間削減を図ることができたのは、特筆すべき点である。
議案説明資料作成のオートメーション化
議案説明資料作成のオートメーション化
財政課長聞取の廃止
財政課長聞取の廃止