政策個表

タイトル 豊かで美しい里海としての瀬戸内海の再生
施策・事業名称 豊かで美しい里海としての瀬戸内海再生に向けた兵庫県の取組み
都道府県名 兵庫県 本件問合先 農政環境部環境管理局水大気課
分野 環境
事業実施期間 平成27年12月1日 ~ tomoko_katou@pref.hyogo.lg.jp
施策の
ポイント
瀬戸内海は、世界においても比類のない美しさを誇り、かつ、その自然と人々の生活・生業及び地域のにぎわいとが調和した自然景観と文化的景観を併せ有する景勝の地である。
一方、近年、漁獲量の減少等、瀬戸内海の生物多様性・生産性の低下が大きな問題となっており、生物生息域の再生・創出に資する「沿岸域の環境の保全、再生及び創出」と、食物連鎖の基礎となる植物プランクトンの生長に不可欠な栄養塩(窒素・りん)の供給等に資する「瀬戸内海における栄養塩管理」は車の両輪として取り組むことが特に重要である。
県では、瀬戸内海環境保全特別措置法の基本理念を踏まえ、瀬戸内海を水質が良好な状態で維持されるとともに、生物の多様性及び生産性が確保される等、その価値及び機能が最大限に発揮された豊かで美しい瀬戸内海を再生するため、各種事業を展開している。
内容 1 瀬戸内海の環境の保全に関する兵庫県計画の策定
平成27年に改正された瀬戸内海環境保全特別措置法では、「瀬戸内海の環境の保全」について、水質が良好な状態で保全されるとともに、生物の多様性及び生産性が確保されるなど、瀬戸内海の有する価値や機能が最大限に発揮された「豊かな海」とする考え方が明確にされた。改正瀬戸内海環境保全特別措置法に基づき、県の区域において、瀬戸内海を豊かで美しい「里海」として再生するため実施すべき施策について定めた「瀬戸内海の環境の保全に関する兵庫県計画」を平成28年10月に策定した。
同計画に掲げる施策を着実かつ効果的に進めるため、平成29年2月に県が実施する各種事業に目標値を盛り込んだ「実施計画」を策定し、毎年度、湾灘協議会及び県環境審議会で点検・ 評価を実施している。

2 兵庫県条例の改正
海域の豊かな生態系の維持のためには、食物連鎖の底辺を支える植物プランクトンの栄養として、窒素やりんが不可欠である。
瀬戸内海(兵庫県)の全窒素及び全りん濃度は、高度成長期から大幅に改善し、全ての水域において環境基準達成率は100%となっているが、中でも、2類型指定水域の全窒素濃度は、漁船漁業に適さないとされる0.2mg/Lを下回っている。
このため、「環境の保全と創造に関する条例」を令和元年10月に改正し、海域における良好な水質を保全し、かつ、豊かな生態系を確保する上で望ましい栄養塩類の濃度(下限値)を定めた。
下限値 全窒素0.2mg/L
全りん0.02mg/L

3 沿岸域の環境の保全、再生及び創出

(1) ひょうごの水辺魅力再発見!支援事業
都市河川でのコンクリート三面張り護岸や海での直立護岸は、動植物の多様性に乏しく、人も近づきにくい構造になっている。生物生息域の再生・創出に資する沿岸域の環境の保全、再生及び創出を図るため、水辺環境の保全や再生に関する新しい知見を収集・蓄積・共有するとともに、これら水辺をフィールドとしてヨシ原の復元や、河口干潟の保全等の活動等、水辺環境の保全に資する取組を推進するため、地域団体等が行う実践活動に対して助成等を行っている。

(2)漁業者等による取組の支援
海底耕うんなどの藻場や浅場の機能を維持・回復する取組のほか、農業者や消費者と協働して行うため池のかいぼりや漁業者の森づくり、海浜清掃など漁業者等による取組を支援している。

(3)民間事業者による沿岸海域の環境改善への取組促進
県環境審議会の答申(H30.3)を踏まえ、民間事業者が自らが所有する護岸等を生物が生息しやすい形状に整備することを推進するため、勉強会を開催している。

4 瀬戸内海における栄養塩管理

(1) 工場・事業場における栄養塩類供給に係るガイドライン(ナレッジ集)の作成(図1)
民間の工場・事業場にも自主的な栄養塩類供給を促すため、令和2年3月に栄養塩類供給のための基本的な考え方やその実施手法、事例、留意点をとりまとめた「ナレッジ集」を策定した。
【基本的な考え方】
対象工場等 窒素濃度の低い播磨灘及び大阪湾西部の海域に排水を排出する工場等
実施時期 赤潮や海水浴場など、環境影響に配慮し、実施時期は、11月~4月が望ましい
窒素・りん以外の項目の負荷量の等の増加
ア有害物質については、濃度及び負荷量が増加しないこと
イ有害物質以外の項目については、濃度・負荷量が増加しないよう努めること

(2) 下水処理場における季節別運転※の実施(図2)
平成27年に改正された瀬戸内海環境保全特別措置法の趣旨を踏まえ「播磨灘流域別下水道整備総合計画(平成30年9月)」に、環境基準の達成・維持以外の目標のひとつとして「豊かな海の実現」を設定するとともに、全国で初めて全窒素の季節別の処理水質を設定し、加古川流域下水道加古川下流浄化センター等3処理場において、季節別運転の本運用を開始している。
※ 冬期(11月~4月)に下水処理放流水の全窒素濃度を引き上げるもの

(3) 下水処理場に係るBOD上乗せ排水基準の改正(図3)
季節別運転は通常とは異なる運転であるため、微生物の状態が不安定になりBODが一時的に上昇する傾向にある。
県条例で定めたBOD上乗せ排水基準が、季節別運転の推進の支障となる懸念があるため、令和元年12月に県条例を改正し、播磨灘及び大阪湾西部の海域等に排水を放流する下水処理場について同排水基準を撤廃した。

【知事が定める(BOD上乗せ排水基準を適用しない)水域】
ア 播磨灘及び大阪湾西部の海域
イ 播磨灘及び大阪湾西部へ流入する河川域について、
・環境基準点を有する河川においては、その最も下流に位置する環境基準点より下流
・環境基準点を有しない河川

5 これからの取組み
(1) 栄養塩類供給のための取組み促進
ア 水質目標値(下限値)の達成のためには栄養塩供給量の増加が必要であることから、工場・事業場、下水処理場及びその他の発生源ごとの取組みを促進する。
イ 漁業者等による施肥試験や海底の堆積物を摂餌して分解する「豊かな海再生種苗」(ナマコ、アシアカエビ)の生産・放流を進める。

(2) 栄養塩循環メカニズムの解明のための調査及び研究
瀬戸内海の海域における栄養塩類の実態の調査、生物に与 える影響に関する研究、その他海域における栄養塩類の供給や分布、偏在、望ましい栄養塩濃度など、適切な管理に関する調査及び研究を行い、適切な管理を維持する。
(図1)民間の工事・事業場の取組例
(図1)民間の工事・事業場の取組例
(図2)季節別運転イメージ図
(図2)季節別運転イメージ図
(図3)BOD上乗せ排水基準改正概念図
(図3)BOD上乗せ排水基準改正概念図
関連
ホームページ
https://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/jp/info_list/leg_7080
https://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/application/files/4915/7743/1021/906606a2a32b408a5767d08c6b889d98.pdf
http://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/jp/mizu_dojo/leg_249/leg_8335