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タイトル 飲食店等の感染症対策を現地調査により公的認証する「やまなしグリーン・ゾーン認証制度」
施策・事業名称 やまなしグリーン・ゾーン認証制度事業
都道府県名 山梨県
分野 商工・労働
事業実施期間 令和2年5月9日~
施策のポイント 山梨全体が県内外の消費者の「安心・安全」という新たな付加価値を獲得するため、県が施設の感染症対策を現地調査し、認証する制度。
県が認証することで、社会全体が感染下でも、事業者は感染症対策に自信を持ってお店を営業することができるとともに、利用者も安心なお店を把握・利用することができ、感染症対策と経済活動の両立を実現。
公的認証の先駆けとして、全国の自治体に導入されることとなった。
内容 1.背景
日本全体を襲った災害級の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、山梨県においても生活や経済に大きな打撃を受けた。特に、飲食業・宿泊業の落ち込みが激しく、早急に対策を講じる必要があった。
そのため県では、事業者の感染症対策を後押しすると同時に、県内経済の再生を図るため、未知の感染症にも対応する「超感染症社会」への移行を目指す「やまなしグリーン・ゾーン構想」を策定。
その一環として、従来の休業要請という規制的な手法ではなく、施設の感染症対策を公的に認証する山梨県独自の制度「やまなしグリーン・ゾーン認証」を令和2年5月に公表。施設を実際に現地調査し、県が定めた感染症対策の基準に沿った対策がされていることを確認できた場合に、県がリスクを取って認証することで、感染症対策という新たな付加価値を提供。
県・県民・事業者が三位一体となって、感染症の予防対策を実施することで、安心して暮らせる山梨県、また国内外の多くの人から選ばれる社会の実現を目指している。


2.グリーン・ゾーン認証の4大要素
グリーン・ゾーン認証では、大きく分けて以下の4つの柱を構築。
(1)基準
業界ガイドラインをベースとし、専門家委員会による意見を踏まえ、県独自の「やまなしグリーン・ゾーン認証基準」を作成。施設から濃厚接触者を出さないという基本的な考えに基づき、対象業種毎に約40~60項目の基準を設け、数値等による明確化を行った。

(2)現地調査
基準に沿った対策を実施した事業者からの申請により、調査員が施設を訪問。事業者とFace to Faceで感染症対策を現地確認することにより、リスクコミュニケーションを図った。また、対策の不備や不明な点があれば、その場で指導・改善を促すオーダーメイドのような方式により、各施設の実情に沿った感染症対策の実施を支援した。

(3)県による認証
現地確認を行った施設に対し、県がリスクをとり、公的な認証を行った。行政の最大のリソースである「信用」により、安心・安全のお墨付きを与え、認証のブランド価値を高めた。

(4)質の担保
一度認証して終わりではなく、認証後も、県・県民・事業者がそれぞれの役割を担い、認証の質を担保するための取り組みを行った。

a.感染症対策の「見える化」
認証ステッカーに各店舗の感染症対策ページにリンクするQRコードを埋め込み、施設の感染症対策を事前確認できる仕組みを構築。また、施設ページ内に「ご意見フォーム」を作成。お店を利用し、対策の不備を感じた場合、県に直接意見をすることができる。県は利用者からの意見を踏まえ、施設を訪問し、感染症対策を再度指導。

b.感染者来店の判明時の調査
福祉衛生関係部署と連携をし、感染者が発症日前後の期間に認証施設を利用していた場合の施設情報等を共有。その施設を訪問し、感染者来店時の状況などを聞き取り、感染連鎖に繋がらなかった要因の検証を実施。また、今後も感染者が来店する可能性があるため、注意喚起・対策の徹底を呼びかけ。

c.緊急点検による抜き打ちチェック
感染状況を踏まえ、認証施設に対して緊急点検を実施。アポイントなしの抜き打ちで施設を訪問することで、実際の運用を確認し、その場で指導・改善を実施。


3.普及への道程
【事業者向け】
・各市町村や商工会と連携し、事業者を集めた説明会を開催。5ヶ月間で、計28回約665事業者に対し、制度の狙いや申請の促進を行った。
・認証取得のために購入する備品や消耗品、また感染症対策に係る工事を伴う改修費用等を支援。一時的な金銭による給付支援ではなく、後に財産として残る物品や必要な取り組みに対し支援することで、未来への投資に繋げた。
・GoToEatキャンペーンに参加するために、認証取得を条件化したことにより、飲食店からの申請が増加。また、営業時間短縮要請に伴う協力金の受給でも、認証取得を条件化するなど、様々なインセンティブによる感染症対策の後押しを実施。感染症対策をしている施設とそうでない施設の差別化を図った。

【利用者向け】
・やまなしグリーン・ゾーン認証専用websiteを構築。地図上での認証施設の検索機能や、各施設の個別ページによる感染症対策の「見える化」、ご意見フォームによる通報制度を構築。利用者の利便性の向上を実施。
・テレビやCM、ラジオ、広報誌、首都圏への広告等により、県内外の方に積極的なアピールを実施。


4.成果
・令和2年6月から申請受付を開始。当該年度中に宿泊業・飲食業からの申請が計5,400件を超え、県内94%以上の申請があった。1件1件現地調査を積み重ねたことで、県全体の感染症対策のボトムアップに繋がった。
・事業者情報の集約によりダイレクトな連絡体制が構築。今まで関係性が薄かった飲食店などに対し、直接県から連絡が取れる体制が整った。感染拡大時の注意喚起や通知の発送など、迅速にコミュニケーションを図ることができた。
・認証データの蓄積により、5,000件以上の認証施設の感染症対策のデジタルプラットフォームを構築。対象業種や、感染症対策の項目別の分析ができ、エビデンスに基づく効果的な施策立案に繋がった。


5.感染抑制及び経済効果
【感染抑制効果】
・感染者が発症日前後に認証施設を利用していた事例が5月20日現在で73件あった。そのうち、認証施設内において、感染連鎖(1人の陽性者から他の1人以上への感染)に繋がったのは、2件(※1)のみ。割合として、2.74%と低く、認証施設内における感染抑制に一定の効果があることが判明。
・他グループへの感染連鎖や、不特定多数への感染連鎖は発生していない状況。認証施設では、同じグループ内はもちろん、他のグループに対しても感染抑制対策を実施した実績。
(※1.感染連鎖に繋がった2件のうち、1件については、施設側の注意勧告を無視した利用者側の過失によるもの。もう1件については変異株による感染連鎖。またこのほか、前後の行動歴があるため、認証施設内での感染連鎖とは断定できないものが9件。)

【経済効果】
・v-resusによる飲食店閲覧数(※2)では、飲食店を利用する人々の動向として、1都3県が▲29.4%~▲45.0%(21.4月第1週・19.4月同週比較)という減少率であり、感染下における飲食店を利用する総量の低下が顕著である。しかし、山梨県の減少率は▲15.5%と減少幅が低かった。つまり、2年前(コロナ前)と比べ、飲食店を利用する減少率が抑えられていることが判明した。
(※2.V-RESASは、新型コロナウイルス感染症が、地域経済に与える影響の把握及び地域再活性化施策の検討におけるデータの活用を目的とした見える化を行っているサイト)


6.全国への普及
・認証施設の増加に伴い、県内外の認知度が向上。また、感染抑制の効果が出てきたことで、感染対策と経済活動の両立ができている「山梨モデル」として注目されている。
・令和3年4月30日の国の通知「飲食店における感染防止対策を徹底するための第三者認証制度の導入について」により、各都道府県に認証制度を導入するよう呼びかけが行われた。


7.今後の展開
・令和3年4月下旬、認証施設において、変異株によるクラスターが発生。従来型より感染力が1.3倍程度強いとされる変異株に対応するため、基準の改正に踏み切った。特に、飛沫・エアロゾル対策を中心に接触感染対策も盛り込む形で基準を強化。今後も感染状況に応じて、不断の見直しを行う。
・令和3年4月以降、飲食業・宿泊業・ワイナリー・酒蔵に加え、特措法に定める休業要請施設をグリーン・ゾーン認証の業種として追加。バーやスナック、カラオケ等の施設を認証していくことで、県全体の施設の感染症対策を進めていく。
・やまなしグリーン・ゾーン認証を国際的に評価される認証とするため、グリーン・ゾーン認証宿泊施設において、感染症対策に関する新技術・新製品の実証事業を実施。更なる認証の高度化を図る。

→常に先手対応・事前主義の考えの下、感染拡大の防止と経済の両立のため、県・県民・事業者が三位一体となって前進していく。
関連
ホームページ
http://greenzone-ninsho.jp
本件問合先 県民生活部グリーン・ゾーン推進課
055-223-1318
green-zone@pref.yamanashi.lg.jp