政策個表

タイトル 洪水被害軽減に向けた既存ダムの有効活用(佐賀県独自の事前放流運用について)
施策・事業名称 佐賀県管理ダムの事前放流「期別の貯水位低下運用」
都道府県名 佐賀県 本件問合先 佐賀県県土整備部河川砂防課
分野 防災・危機管理 0952-25-7486
事業実施期間 令和02年6月1日 ~ kasensabou@pref.saga.lg.jp
施策の
ポイント
佐賀県では洪水被害軽減に向け、佐賀県内にある13箇所の県営ダム全てにおいて「期別の水位低下運用」を併用した独自の事前放流運用を行っている。令和元年の台風19号による洪水被害を契機に、令和2年度より全国の既存ダムで「事前放流」の実施による洪水調節能力強化の取り組みが始められた。大雨による洪水発生が予測される場合にダムからの緊急放流を避けるために実施する「事前放流」に加えて、佐賀県の県営ダムにおいては、6月~9月の出水期を通して予め一定の水位を下げておく「期別の水位低下運用」により独自の2段構えの洪水調節能力強化を図っている。この「期別の水位低下運用」の実施により、出水期を通してダムの洪水調節能力が向上するほか、線状降水帯のような予測が困難で「事前放流」では対応が難しい洪水に対しても一定の効果が期待できる。一方、利水容量を減じておくことによる渇水リスクへの懸念に対しては、上水道や工業用水など多岐にわたる利水者に対し、過去の貯水率のデータや水道利用状況などの資料をもとに、丁寧な説明を行い、理解と協力を得られる水位低下量をダム毎に設定している。
内容 〇取組概要
令和元年10月の台風19号による水害を契機に「既存ダムの洪水機能強化に向けた基本方針」が策定され、全国すべてのダムで「事前放流」の運用を開始することになった。佐賀県では令和2年出水期より、大雨が予測された場合に行う「事前放流」に加え、出水期を通して、一定の水位を下げておく「期別の貯水位低下運用」により、佐賀県独自の2段構えの洪水対策強化を図っている。

〇事前放流とは
大規模な洪水をもたらすような大雨が予測された場合に、これまで洪水対策に使われていなかった利水容量(水道、農業、発電などに利用する水)の一部を放流し、一時的に洪水調節容量として活用するもの。

〇事前放流の課題
(1)近年、全国で頻発し、佐賀県にも大きな被害をもたらしている線状降水帯による豪雨は、事前の予測が難しく、降雨予測してから放流開始しても十分に水位を低下させられないことが懸念される。
(2)佐賀県が管理するダムは総じて放流能力が小さく、事前放流を要する降雨を予測してから放流を開始しても水位が十分に低下しない可能性がある。
(3)事前放流操作は、早くて3日前から行う操作となるため、職員への負担が重く、洪水発生前に職員が疲弊してしまうことが懸念される。

〇佐賀県独自の事前放流運用
(1)予め出水期間中は常に通常より水位を低下させておく「期別の貯水位低下運用」を実施(ダム毎に0.5~1.0m)。
(2)大規模な洪水をもたらすような大雨が予測される場合に、早ければ3日前からさらに利水容量の一部を放流する「事前放流」を実施。
の2段構えの運用に取組んでいる。

〇期別の貯水位低下運用の目的・効果
出水期である6月~9月の間、予め通常よりも貯水位を低下させておく「期別の貯水位低下運用」は、予測困難な降雨が発生した場合でも、常に貯水位を低下させておくことで、一定の事前放流を実施した場合と同等の洪水調節能力向上の効果が期待できる。また、事前放流操作を行う場合にも、予め水位を低下させておくことにより、事前放流の回避または事前放流量を少なく抑えることができることから、放流時間の短縮により確実な水位低下と職員の負担軽減が図られる。

〇運用に向けた利水者協議
降雨が予測される場合に実施する一時的な容量振替ではなく、出水期を通じて利水容量を治水容量として活用するものであるため、降雨による回復を前提としている事前放流操作よりも渇水リスクが高い運用となる。「期別の貯水位低下運用」を実施するためには利水者の理解と協力が不可欠であるため、利水者に対しては、過去の貯水率のデータや水道用水利用状況などの資料を使い、丁寧な説明を行った。
期別の貯水位低下運用1
期別の貯水位低下運用1
期別の貯水位低下運用2
期別の貯水位低下運用2
事前放流状況
事前放流状況