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タイトル ふくしまHACCPアプリを活用した県産加工食品の安全確保
施策・事業名称 ふくしまHACCPの導入推進事業
都道府県名 福島県
分野 健康福祉
事業実施期間 平成31年4月1日~
施策のポイント 本事業は、食品衛生法により義務化されたHACCP(ハサップ)に放射性物質対策を組み合わせた福島県独自の衛生管理手法「ふくしまHACCP」の導入普及を図ることで、福島県産加工食品の安全確保につなげることを目的としている。これまで、ふくしまHACCPの普及推進と事業者の負担を軽減するため、スマートフォンやパソコンで手軽にHACCPによる衛生管理に取り組める専用アプリ「ふくしまHACCPアプリ」を開発し、無料で公開するとともに、アプリを活用した導入研修会を開催する等、導入支援事業を実施してきた。アプリを活用することで、小規模な食品事業者でも自主的に導入が図れるとともに、効率的な計画作成や記録のペーパーレス化による事業者の負担軽減が見込まれるなど、コロナ禍で様々な行政施策が制限される中にあっても効果的な事業推進が図られている。また、アプリとポータルサイトの自動連携機能により、アプリを用いて衛生管理を実施する食品事業者の取組みを情報発信することが可能となっており、県産加工食品の安全確保に向けた取組が広く周知されることが見込まれている。さらには、他自治体や全国規模の業界団体から本アプリを活用した導入推進に関して要望が寄せられており、令和4年度から岐阜県との間で共同運用を開始している。
内容 (1)背景
食品衛生法が改正され、令和3年6月から原則全ての食品事業者に対し、国際的な食品衛生管理手法であるHACCP(ハサップ)の導入が義務化された。これまでのHACCPは、一部の大規模製造施設がより高いレベルの衛生管理を実施するために導入するものであったが、今後は中小規模事業者も例外なくHACCPの導入が必要となるため、コロナ禍で対面での研修会や指導助言が大きく制限される中での効果的な導入支援が課題となっている。
さらに福島県では、東日本大震災に伴う原子力災害により、県産食品に対する信頼が大きく損なわれ、事故から12年が経過した現在も、風評を払拭するための科学的根拠に基づく食の安全確保が課題となっている。

(2)事業概要
福島県が独自に開発した専用アプリを活用した「ふくしまHACCP」の導入推進、消費者向けの情報発信により、義務化されたHACCPへの対応と共に、県産加工食品の安全確保に向けた取組を実施している。

(3)事業内容
ア ふくしまHACCPの構築
食品衛生法で義務化されたHACCPに、食品の放射性物質管理を組み合わせた福島県独自の衛生管理手法「ふくしまHACCP」を構築した。
HACCPは、原材料から製造・加工、出荷・販売に至る全ての工程で危害発生を防止する国際的な衛生管理手法であるが、ふくしまHACCPでは、放射性物質汚染を原材料管理や製造加工時の危害として予め想定し、これを防止するための計画を各食品事業者が実施することで、基準値を超過する加工食品の出荷を防止している。

イ ふくしまHACCPアプリの開発
食品事業者が手軽にふくしまHACCPに取り組めるよう、スマートフォンやパソコンを用いて衛生管理計画の作成及び記録を行うための専用アプリを開発※し、AppleStore・GooglePlayに無料で公開した。
本アプリの主な対象となる中小規模の食品事業者は高齢者が多く、そもそもスマートフォンでの操作に強い拒否反応を示すことが想定されたため、普段スマートフォンをあまり使用しない者でも理解しやすく、継続的に利用してもらうため、以下のコンセプトで開発を行った。令和5年3月末時点で12,479施設(うち福島県外の施設は567施設)が本アプリを利用している。
・文字は大きく、専門用語の仕様を極力控える
・視覚的にもわかりやすくするため、操作内容に応じたキャラクターや色調を統一する
・学びながら計画を作成できるよう、各所にチュートリアルを挿入する
・ユーザー情報の登録を簡素化するため、保健所が保有する許可情報との連携を図るなど、極力手入力が必要となる項目を削減する
・多様な業態に対応するため、食品群毎にひな形を設定し、事業者の計画作成の負担を軽減する
※ 厚生労働省の委託事業「令和元年度ふくしま食品衛生管理モデル等推進事業」として本アプリを開発した。

ウ アプリを活用した導入支援
中小規模の食品事業者はHACCP導入に必要となる人材やノウハウが限られる等の要因により、大規模製造施設に比べ導入の遅れが課題となっている。福島県では、自主的な導入が困難と思われる食品事業者を対象に、本アプリの利用方法や計画の作成方法を保健所職員等が直接支援する導入研修会を開催している。ユーザー登録の簡素化や製造する食品群に応じた衛生管理計画のひな型を本アプリに組み込むことで、2時間程度でHACCPの導入が完結するカリキュラムを構築し、速やかな導入推進につなげている。

エ アプリによる効果
以上のことから、新型コロナウイルス感染症の影響により対面式の研修会の開催が大きく制限される中、本アプリがコロナ禍においても有効な導入促進ツールとして機能したものと分析している。また、利用者の中には県外の食品事業者も含まれており(約5%)、ふくしまHACCPアプリを介して、福島県産食品の安全確保に向けた取組をPRする媒体としての間接的な効果が認められている。
また、通常の導入研修会は紙ベースで行われるため、研修時間内に計画作成が完了しない場合や計画作成後の管理状況が確認できないなどの課題が想定されるが、本アプリを活用することで、短時間かつ確実な導入が可能となり、HACCP導入状況の把握が容易になるなど、計画的な導入普及が可能となっている。

オ 消費者への情報発信
本アプリを利用してふくしまHACCPに取り組む食品事業者の情報は、ふくしまHACCPポータルサイトから一覧で確認することが可能となっており、消費者が自主的な衛生管理に取り組む食品事業者を検索・把握するためのツールとなっている。
特に、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出が今後想定されており、風評の再燃が強く懸念される現状においては、食品事業者の取組を正しく消費者に伝えることが益々重要となっている。ポータルサイトでは、食品事業者の検索機能の他に、動画やマンガでふくしまHACCPの取組を紹介するコンテンツを整備し情報発信を行っている。
ふくしまHACCPのロゴマーク
ふくしまHACCPのロゴマーク
ふくしまHACCPアプリの画面
ふくしまHACCPアプリの画面
アプリを活用した研修会
アプリを活用した研修会
ふくしまHACCPアプリの画面
ふくしまHACCPアプリの画面
関連
ホームページ
https://fukushima-haccp.com/
本件問合先 福島県保健福祉部食品生活衛生課
024-521-7245
shokuseiei@pref.fukushima.lg.jp