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タイトル | 災害にそなえ、防災を学ぶ。「信州防災アプリ」で、住民の適時適切な避難行動を支援 |
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施策・事業名称 | 「信州防災アプリ」構築事業 |
都道府県名 | 長野県 |
分野 | 防災・危機管理 |
事業実施期間 | 令和3年1月1日~ |
施策のポイント |
●過去の災害の経験・教訓を基に「自らの命は自らが守る」という意識を醸成し、大雨災害時の「逃げ遅れゼロ」を目指して、災害時も平時もスマートフォンやタブレット端末で必要な情報を確認できる「信州防災アプリ」を開発。 ●他自治体でも防災アプリがリリースされているが、TOP画面の情報集約と直感的操作など、独自性を追求。 |
内容 |
【1.概要(「信州防災アプリ」の特徴)】 (1)TOP画面に情報を集約し、直感的に操作可能 ⇒ ハザードマップ・避難先等を、画面切替えせずに即表示。 ・地図機能は県内全域の洪水・土砂災害ハザードマップや避難先を、現在地(GPSを使った自分の位置情報)とともに表示。 ・地図上から国・県が県内河川に設置する河川カメラ画像(271か所)や水位計(410か所)の情報等にアクセスし、リアルタイムで近くの河川の状況等を確認できる。 ・その他、避難先の詳細(前後60分)の雨雲の動きや現在地から避難先への参考ルートも表示可能。 (2) 「私の避難計画」(マイ・タイムライン)を簡単に作ることが可能 ⇒誰でも簡単にマイ・タイムラインを作成。 ・作成ガイドに従い、7つのステップで、マイ・タイムラインを家族の分も含め簡単に作成(タブで切り替え可能)することができる。 ・LINEやメールで家族と共有することも可能。 (3)位置情報に応じて避難情報をプッシュ通知、避難計画を自動表示 ⇒避難先、やるべきことを確認し、逃げ遅れゼロへ! ・避難情報をスマートフォンやタブレット端末にプッシュ通知するとともに、警戒レベルに応じて「私の避難計画(マイ・タイムライン)」等をTOP画面にポップアップ。 ・位置情報に応じて、避難情報や気象情報、「私の避難計画」をワンタップで表示・確認することが可能。 (4)その他の機能 ⇒学習コンテンツや防災手帳機能等で、防災知識を気軽に学べる! ・災害リスクや日常・災害時に注意すべきこと、避難所生活で気を付けることなどが学べる「信州防災手帳(R4.1リリース)」 ・「入道雲の正体」「震度とマグニチュード」などの防災コラムや風水害、地震をはじめとした防災に関するクイズで、楽しみながら防災意識を向上 ・道路情報や防災ツイッターへのリンク集を掲載し、各種情報に簡単にアクセス 【2.職員又はグループがソリューション開発に着手した経緯・動機】 ・気候変動などを背景に、各地で大雨災害が頻発化、激甚化。 ・令和元年東日本台風(令和元年10月12~13日、台風第19号)では、長野県内に初めて大雨特別警報が発表される記録的な大雨となり、千曲川流域を中心に、県内各地で河川の氾濫や土砂災害等が発生し、広範囲にわたる大規模災害となった。河川氾濫が夜間だったこともあり、1,700名を超える方が浸水域から救助された。 ・その後の住民アンケート調査結果から、正常性バイアスにより避難行動を起こせないこと(避難しなかった理由として「被害に合うと思わなかった」との回答が7割弱)、ハザードマップの理解度が低く災害時において取るべき行動が理解されていない等の課題が浮き彫りになった。 ・県は市町村と協力し、「逃げ遅れゼロ」プロジェクトや、避難所の環境改善の取組を実施。しかし、これらだけでなく、県民自らが「身近な災害リスクをあらかじめ確認」「いざという時に備えマイ・タイムラインを準備」など、「自らの命は自らが守る」意識を持ち、自らの判断で避難行動をとることが、逃げ遅れをゼロにするために重要と認識。 ・こうした経験・教訓を基に、平時から災害にそなえ、防災を学び、適時適切な避難行動を支援するための「信州防災アプリ」を開発。 【3.ソリューション開発の過程】 (1)仕様の検討~リリースまで ・令和3年1月からアプリの仕様や広報の検討を開始。市町村、河川事務所、高等教育機関、研究機関等に意見照会し、他県の例も参考にしながら検討を進めた。 ・令和3年5月からアプリの制作を開始。令和元年東日本台風の発災日である10月12日までに間に合うよう、スケジュール感を重視。 ・令和3年10月8日アプリをリリース (2)「リアルタイム」の実現に向けて ・最新の情報をリアルタイムで得られるよう、Lアラートや気象庁の雨雲レーダー等との連携を行った。 (3)操作の快適性を徹底して重視 ・行政のアプリにありがちな、情報過多、それに伴う不安定な動作(固まる、動きが遅い等)が生じないよう、掲載する情報の取捨選択を徹底した他、スマートフォンでの使用に特化したシステム設計を行った。 (4)信州防災手帳機能の追加 ・アプリリリース後に「信州防災手帳」の機能を追加実装。 ・同手帳は県公式HPでもPDF版を掲載しているが、そのままアプリに掲載するのではなく、アプリのレイアウトや使い方に合わせ、一からシステム構築を行った。 ・具体的には、避難行動判定フロー操作方法の工夫やWEBサイトやツイッター(長野県防災アカウント)へのリンク設定など、アプリ利用者に寄り添った細かな工夫。 【4.完成に至るまでに直面した問題・課題、その解決方法】 (1)TOP画面に情報を集約し、直感的操作を可能とすることへの「こだわり」 ・他の防災アプリでは、機能ごとに個別のページが設けられており、各情報を並列で確認することが困難なものが多い。 ・信州防災アプリは、特別な操作を行わなくても各情報をTOP画面に同時に表示できるようにすることで、一括して状況を把握できるものとした。 (2)避難の基礎情報の精査、修正作業 ・約7,000箇所に及ぶ避難場所・避難所の詳細な情報を、TOP画面上でアイコンのタップのみで確認できるようにした。 ・そのためには、マップ上で正確に避難先の位置、概要が表示される必要があるが、基礎情報(緯度経度、GoogleMapストリートビュー等)との連動設定が難しく、多大な労力を費やした。 【5. ソリューション完成後の成果や効果】 ・令和3年度の目標「1万ダウンロード」をリリースから3ヶ月間で達成。令和3年度末で約15,200ダウンロード。 ・住民の「自らの命は自らが守る」という意識醸成をより一層図るため、令和4年度は、信州防災アプリをさらに周知しインストールを促す。(web広告やTV、情報誌への掲載等、幅広く広報を実施) 【6.横展開に当たってのアドバイス・今後の発展等】 ・県内在住者だけでなく、観光等で来訪される方にもアプリを利用いただくことで、慣れない土地での災害対策につながる。 |
関連 ホームページ |
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本件問合先 | 危機管理部危機管理防災課 |
026-235-7184 | |
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