政策個表

タイトル 社会資本再生・復興計画
施策・事業名称 「宮城県社会資本再生・復興計画」は,新しい視点での社会資本整備のあり方や復興に向けた取組みを盛り込み,県民との協働や関係機関等との連携のもとで震災前にも増して豊かさと安全・安心が実感できる宮城県を目指すため策定する行政運営計画である。
都道府県名 宮城県 本件問合先 土木部 土木総務課 企画調整班
分野 地域振興・まちづくり 022-211-3108
事業実施期間 ~ 令和03年3月31日 dobokgk1@pref.miyagi.lg.jp
施策の
ポイント
基本方針:「県民の命と生活を守り,震災を乗り越え,宮城の更なる発展に繋げる土木・建築行政の推進」

(基本目標1)壊滅的な被害を回避する粘り強い県土構造への転換
1)被災した公共土木・建築施設の早期復旧
2)多重防御などによる総合的な防災力の強化
3)耐震強化対策の加速的推進
4)被災経験を踏まえた防災体制の再構築

(基本目標2)いつまでも安心して快適に暮らすことができる生活基盤の整備
1)快適で安心して暮らせるまちづくりの推進
2)快適で安心できる住まいづくりの推進
3)環境に優しい社会資本整備の推進
4)多様な分野との連携による社会資本整備の推進

(基本目標3)かつてない賑わいや活力に満ちた東北の発展と宮城の躍進を支える交流産業基盤の整備
1)東北の発展を支える基幹的社会資本整備の加速的推進
2)地域の発展を支える核となる社会資本整備の推進
3)地域間連携の強化
4)社会資源を活用した社会資本整備の推進
内容 1.今回計画の特徴
(1) 震災からの教訓を踏まえた復興
1)第一線の海岸堤防に過度に依存した津波防災対策からの脱却
今回の大津波は,第一線の海岸堤防をはるかに超え,恐るべき破壊力で構造物,家屋,自動車などを破壊し,あたり一面をがれきの海にした。河川を遡上した津波は,橋梁を落橋させ,リアス式海岸での大津波は,すさまじい破壊力で家屋はもとより,RC構造のビルを基礎杭諸共に倒壊させ,沿岸部の施設を壊滅的に破壊した。
大津波の場合には,海岸堤防を越流したとしても,安全で確実に避難できる避難路や避難施設を設置するにより,命を守ることを最優先にした対策が重要であることから,各種施設に一層の耐災性を具備することはもとより,土地利用計画による誘導を図るなど,様々な施策を組み合わせて,被害を最小限に抑えるような総合的な大津波対策を講じることが必要である。

2)防災情報・避難行動の課題
大規模災害では,予め想定した災害対策だけでは対処が困難であり,非常時には確かな危険予知力と臨機応変な避難行動力が求められることから,一定の災害を想定し,対策がなされていても,さらに想定外の大災害があり得ることを念頭においた避難行動がとれるような取組みの強化が求められる。

3)被災経験の伝承と防災教育の重要性の再認識
津波に関しての正しい知識を身につけることが前提であるが,伝承の継承は,常に自然の脅威にさらされていた時代から,施設整備がなされた現在に至っても,その必要性は全く変わらないことを今回の震災は示唆している。集落や自治会の単位に限らず,様々な主体の参画・協働により,防災教育を継続することが重要である。

4)食料・エネルギー供給基地の被災に伴う県民生活の混乱
今回の震災では,道路や港湾などの広域物流網も大きな被災を受け,各種の物資輸送が大きく滞った。食料や燃料が長い期間にわたり供給不足となり,日常生活への障害はもとより,地域の産業経済活動の停滞をもたらした。
エネルギー基地が集中する沿岸域では,これまで以上に防災機能を向上させるとともに,内陸など他のエネルギー基地との災害時の相互補完機能の充実が必要である。

5)大規模地震対策の妥当性の再確認
内陸部の橋梁は,震度7という国内外最大の大きな揺れであったにもかかわらず,一つとして落橋しなかったことから,我が国の耐震対策が妥当性が裏付けされた。現行の耐震基準は今回クラスの大地震においても必要な耐災性を有しているものと思量するが,今後,技術的な検証が必要である。

(2) 従来計画よりも豊かさや安全・安心を実感できる復興
1)災害に強い県土構造への転換
〔空間的で多面的な県土利用の推進〕
仙台南部低平地においては,大津波対策として,幹線道路や鉄道などの交通インフラを高盛土構造にして,津波減災機能と土地利用計画を合わせた「多重防御」により,防災・減災を目指す。
また,居住地は安全な内陸に配置する他,沿岸部の工業や農業・漁業など産業エリアは,確実に命を守る避難体制を構築する。
リアス式海岸地域においては,安全な居住地を確保するため,高台移転を進める他,水産業関連施設や観光施設などは水際への配置し,職住分離を進める。

〔安全・安心が確保される復興まちづくり〕
新たに形成される市街地は,高齢化や人口減少に対応するため,コンパクトな街づくり,公共交通の確保充実,最先端の情報通信網の構築,暮らしやすさや防犯・環境などに配慮した新しいまちづくりを進める。
単にハード整備を中心とする「まちづくり」でなく,保健・医療,介護・福祉,教育等をはじめ,雇用や地域経済の再生,伝統文化の再生など,街の賑わいの原動力となる仕組みを中心に据えた「復興まちづくり」に取り組む。

〔沿岸防災軸,防災ラダーなど道路ネットワークの整備促進〕
救急救命活動や緊急物資輸送などに重要な役割を果たした三陸縦貫自動車道や常磐自動車道は,防災道路としての位置づけを一層明確にし,早期の全線供用を目指す。
大規模災害では,広域連携が必要なことから,東西軸を形成する,みやぎ県北高速幹線道路や石巻新庄道路の整備促進により,早期に複数の迂回ルートが確保される防災ネットワークを形成する。
また,半島部などを連絡する国・県道の防災機能の強化や大島架橋の整備により,集落の孤立化を防止し,災害時の連携強化が図られる県土構造を構築する。

〔防災体制の強化〕
防災体制の再構築や広域的な防災拠点の整備に加え,防災情報システムの充実や避難道路,避難誘導施設を整備する。また,港湾・空港・道路などの基幹的な交通インフラは,耐災性を一層向上するとともに,被災後に社会経済活動の大混乱や大停滞を招くことなく,速やかに復旧活動を行えるよう態勢を整える。
さらに,配備体制や設備,関係機関との連携,資機材の保管等の再構築を行うとともに,消防団員や水門の操作員が安全に活動できるよう,必要な措置を行う。

〔超過外力への対応〕
河川,海岸などの堤防や,海岸の陸閘や水門などの国土保全にかかる施設に加え,下水道処理場のように,臨海部に設置される施設は,早期復旧が困難であることや二次災害,複合災害を防止する観点から超過外力を受けても容易に施設機能が停止したり滅失したりしない構造とする。

〔建築物・宅地の耐震強化対策の推進〕
建築物の耐震化対策を進めるとともに,被災宅地については,既存制度を活用し,市町村を最大限支援する。
また,被災者には,災害公営住宅を中心に住宅供給を行うとともに,復興関連住宅の建設に当たっては,コミュニティの維持や高齢社会に対応するとともに,再生エネルギーの採用など,社会的なニーズを取り入れた新たな住環境の形成を図る。

2)復興を支える産業の集積,経済活動の活性化
〔物流・交流基盤の強化〕
高速道路や港湾・空港などの広域交通拠点は,物流や観光交流などの社会経済活動がいかなる場合でも継続できるよう防災機能を強化する。
また,東北の発展と宮城の飛躍を支える重要な社会交通基盤である高速道路や港湾・空港の着実な整備と利活用を促進し,更なる産業集積や観光誘客につなげ,東北の「にぎわい」と富の集積を目指す。

〔新たな産業創出を誘発する取り組み〕
住宅や業務施設などの再建需要は膨大な量に及ぶことから,県産資材の使用を推奨する他,エネルギー効率に配慮した次世代型設備を設置するなどの施策誘導により,既存産業の活性化はもとより,新産業の育 成と新たな雇用の創出につなげ,ひいては東北における次世代産業の新たな拠点形成を図る取り組みを支援する。

2.復旧・再生・発展に向けて必要な投資額
(1)予算の考え方
本計画には,国へ新たな制度創設等の提案を行っている事業も含まれている。復興施策を実現するためには,国庫補助率の嵩上げをはじめ,災害復興交付金や地方交付税交付金の増額配分など,国による強力な財源措置が必要不可欠である。そのため,必要予算の確保に向けた国への要望活動を積極的に行うとともに,利用可能なあらゆる財源確保策を最大限に取組み財源の確保に努める。

(2)必要投資額
本計画では10箇年(平成23年~平成32年)の計画期間において,県と市町村分を合わせ総額約12兆8千億円が必要とされる復興関連事業費のうち,土木部が所管する公共土木施設及び住宅関連の復興関係事業費の総額約2兆6千億円を必要投資額と見込む。
施策の実効性を上げるため,提案事業の制度設計の動向や国・県それぞれの財政事情など,変化する状況に適時適切に対応することが必要であり,適宜,柔軟に必要投資額の見直しを行う。

3.計画の確実な歩みに向けて
(1) 県民一人ひとりが復興の主体・総力を結集した復興を推進するための取組
復興を実現するための連携体制の構築や県民参画,防災教育や出前講座により被災経験を語り継ぐことなど,一人ひとりが主体となって復興を進める。
復興事業の推進に当たっては,地域協働の視点での取り組みをさらに拡大すると共に民間活力の導入や学識経験者及び専門家の参画など,多様な活動主体との連携を積極的に実施する。
また,行政に代わる新しい担い手として,PFIやPPPの活用など,「新たな公」といった概念についても視野に入れながら施策を展開する。

(2) 地域の理解と合意に基づき復興を促進する取組
復興事業に関する説明責任の向上と広報広聴の改善を図るために,様々な媒体での情報提供を図ると共に,伝える情報内容の充実や積極的なPRなどにより情報提供を一層充実させ,リアルタイムな情報提供に努める。

(3) 的確な復興事業のマネジメントの推進
本計画を行政マネジメントの指針として活用していくため,県の行政評価制度などを活用しながら,施策や事業の妥当性について評価し,効果的で効率的な行政運営を図ると共に,県民への説明責任と透明性の向上を図る。
毎年の予算編成については,本計画に記載されている基本目標が早期に達成されるよう,土木部の予算編成方針の作成時に十分配慮する。
なお,毎年度の投資実績については「進行管理の概要」を作成し,施策の実施効果について明らかにする。

(4) 組織力・技術力を強化して復興を推進する取組
大震災からの復興に当たり,全国の様々な機関から人的支援を受け,復旧業務に取り組んでいる。今回の震災を教訓に平時から災害発生時からの時間軸を意識した人的支援の体制づくりを進めると共に,今回の復興に向けたノウハウを全国で共有化し,今回の支援を契機に各自治体との人的ネットワークや情報ネットワークを構築する。
今回の復旧業務を実施するに当たり,組織的な技術支援を行うため,様々な人材がもつ技術力の情報を一元的に管理できる仕組みを構築し,技術面をサポートする。

(5) 将来にわたり施設機能が適切に維持できる社会資本整備の推進
「みやぎ型ストックマネジメント」を基に建設段階から,ライフサイクルコスト(LCC)が低減されるよう,計画段階からコスト縮減を意識し,将来需要や維持管理費も見据えた事業展開を図る。
社会資本の維持管理については,震災により被災した施設の復旧状況を踏まえ,目指すべき維持管理目標を定める。

(6) 津波被災地における適正で円滑な土地利用調整について
被害を受けた沿岸部では限られた可住地の中で防災に配慮した適正な土地利用への転換が必要となることから,居住系の土地利用は,津波リスクの最も低いエリアへ誘導するとともに,業務系の土地利用については,津波に対する安全度の観点のみならず,津波リスク対策を講じることを条件に地域産業の早期再建と被災地の復興を加速するために,開発の促進や土地利用の集約化を誘導する。

(7) 県内建設企業の健全な育成と建設産業の振興
今後,復旧・復興のための建設需要が増加するものと予想されるが,復旧・復興需要が一巡した後は,建設投資が大きく減少することは予想されるため,技術力を持った人材の育成・確保や技術の伝承・向上,さらには建設企業の経営力強化につながる施策を展開するとともに,建設需要が増大する中で適正な元請・下請関係を確保するため,不良・不適格業者の排除に努めることなどを通じて,建設産業の振興を推進する。

(8) 入札及び契約制度の適確な運用に向けた取組
計画期間の全体を通じて,地域経済情勢の変化や建設投資の動向,地域における建設企業の役割,さらには建設技術の向上といった様々な状況変化を的確に把握するとともに,公共工事の入札及び契約制度に求められる役割を見極め,より一層の透明性・競争性が確保出来るよう適確な運用に向けて取り組む。