平成27年05月 仁坂吉伸和歌山県知事

開創1200年 永遠の聖地 高野山

   「高野山」は、弘法大師空海によって開かれた、真言密教の根本道場であり、日本を代表する仏教の聖地です。

   本年、開山から1200年という大きな節目の年を迎え、現在、大師の遺徳への感謝を込めて、絢爛壮麗な記念大法会(4月2日~5月21日)が執り行われています。

   当代きっての文化人であり博学多才であった大師は、唐で習得した技術をもって、多くの治水事業にあたるとともに、我が国最初の庶民のための教育機関である綜藝種智院(しゅげいしゅちいん)を開くなど、優れた才能を発揮し、人々のために広く社会に貢献されました。

   また大師は、現世のみならず来世も含めた真の救済を行うため、大自然の力が凝縮された「平原の幽地」ともいうべきこの地を開き、国家社会の安泰を祈るとともに、人々の幸福のために活躍する人材の育成も行いました。そして、全てのものを永遠に救いたいとの強い願いから「御入定(ごにゅうじょう)」され、今も深い祈りに入られています。山内は隅々まで大師の深く慈愛のある祈りが満ちあふれ、開創当時のまま、その精神が失われることはありません。

   「高野山」には、「一度参詣高野山(いちどさんけいこうやさん) 無始罪障道中滅(むしざいしょうどうちゅうめつ)」という言葉があります。一度この山に登れば、生前から蓄積された罪も全て消滅する、という意味です。信仰の原点は、自らの業による苦しみ・悩みから救われ、心の安寧を得ることであり、これが一度訪ねるだけで可能となる場所、それが「高野山」なのです。

   「高野山」は、世界に類のない信仰の地としての価値を認められ、平成16年に、同じく本県にある「熊野三山」などともに、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。

   本県では、世界遺産を観光振興施策の中心と位置づけ、積極的なプロモーション活動を展開し、その魅力を国内外に広く発信しています。訪れた方々には、世界遺産を見て回るだけでなく、写経、阿字観(あじかん)(注:真言宗における呼吸法・瞑想法)、精進料理といった独特の伝統文化の体験など、「高野山」の神髄を感じていただける旅を提案しているところです。

   高野山は、ミシュラン・グリーンガイドで最高の三ツ星評価を受け、海外旅行誌の観光地20選では国内で唯一選定されるなど、国内はもとより世界的にも注目を集め、フランスをはじめとする欧米からの観光客も増加し、中には、僧侶として定住している方もいらっしゃいます。

   今回の記念大法会では、江戸時代に焼失した中門が再建され、秘宝の公開や特別展なども開催されています。ぜひこの機会に、次の100年に向け新たな扉が開かれる永遠の聖地「高野山」を、世界中の方々に訪れていただきたいと思います。