平成28年04月 平井伸治鳥取県知事

障がいを知りともに生きる~鳥取から全国へ、世界へ~

   “The full and equal enjoyment of all human rights and fundamental freedoms by all persons with disabilities”.....

   平成18年、国際連合において障害者権利条約が締結され、「全ての障がい者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」を目指すと宣言されました。そして条約に基づく障害者差別解消法が、今年4月1日に施行の時を迎えました。この国が真の絆社会を築けるのか、が問われます。

 

   鳥取県では、平成21年から、障害者権利条約の理念を実現するため、「障がいを知りともに生きる」をモットーに、一人一人が学び行動する「あいサポート運動」をスタートしました。ともに生きる住民が多様な障がいの特性を理解し、身近にできる手助けや配慮を実践する「あいサポーター」となり、これを支える企業や団体なども参画する草の根運動です。人口最少の鳥取県で始まったあいサポート運動の輪は、島根県、広島県、長野県、奈良県、埼玉県、山口県、岡山県へ、更には韓国の江原道へと拡大し、あいサポーターは29万人に、あいサポート企業・団体も1千まで増え、賛同が広がっています。

   そして、全国のろう者が願い続けた「手話を言語として認めて」という声に応えて、鳥取県で全国初の手話言語条例を提出し、平成25年10月に可決されました。正直当時は様々な議論がありましたが、決然と突破口を開く自治体がなければと、信念を持って挑戦。その決意と努力は、採決の議場に全国から集まった方々の祝福で報われました。条例制定をバネに、タブレット端末による遠隔手話通訳を始め、全校に独自手話教材を配布し手話を学んだ未来世代を育成するなど、地域社会の改革が一気に進み、「手話が認められたことは、ろう者が認められたこと」と喜ぶろう者の皆様の笑顔が広がりました。

    条例制定1周年から始めた「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」では、手話で表現する心の叫びを爆発させる青春の舞台に、聞こえる、聞こえないを越えた感動が躍ります。鳥取県の条例が呼び水となって、同様の条例が全国各地で制定されるようになり、ついには手話言語法制定を求める決議は全国全ての自治体で可決されるに至りました。

 

   リオデジャネイロのオリンピックイヤーとなり、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、3月30日に、東京都など13都県知事で「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障がい者の芸術文化活動推進知事連盟」を結成し、地域から障がい者芸術文化を振興する活動の火ぶたを切り、鳥取県もその一翼を担うこととなりました。

   また、鳥取県の熱意と行動に共鳴して下さった日本財団の支援を受け、リオ予選となる「日本パラ陸上競技選手権大会」が地方で初めて今月末から開催される陸上競技場のバリアフリー化が進み、県内小型タクシーの3分の2もの車椅子対応も実施することとなっています。

「若人が力を合はせ創りだす舞台の上から思ひ伝はる」

   第2回手話パフォーマンス甲子園を御高覧いただいた佳子内親王殿下が、今年の歌会始に寄せられた御歌です。

   障がいのある・なしに関わらず、互いを認め合い支え合う、誰もが暮らしやすい社会を築く。そのために、鳥取から、全国へ、世界へ、「障がいを知りともに生きる」地域づくりを広げていきます。心と心が真の絆で結ばれる未来を目指して。人口最少県だからこそできる地方創生の形があるはずです。