平成26年09月02日 第28回人間力大賞 全国知事会会長奨励賞について

   公益社団法人日本青年会議所主催の第28回人間力大賞において、毛利公一 氏が本会会長奨励賞を受賞しましたので、紹介します。

第28回人間力大賞 準グランプリ   全国知事会会長奨励賞受賞者  毛利公一

   「人間力大賞」は、公益社団法人日本青年会議所が、環境、国際協力、医療・福祉、文化・芸術、スポーツ、その他の分野で積極果敢な活動・挑戦を続けている人間力あふれる若者を発掘し、更なる活躍を期待して国民全体で応援する、青年版国民栄誉賞として展開している歴史ある賞である。

   第28回となった今回の人間力大賞では、香川県在住で自由に動くのは首から上だけという体にもかかわらず、「当事者」として、「支援者」として、そして「経営者」としての三つの側面を駆使しながら活動する毛利公一氏が、準グランプリと全国知事会会長奨励賞を受賞した。障がいを壁ととらえ、壁に挑む者「挑壁者」として様々な事に挑戦している。(以下 障がい者のことを「挑壁者」と記載する。)

経歴

2000年3月

観音寺第一高校普通科卒業

2000年4月

早稲田大学人間科学部スポーツ科学科に入学

2004年4月

アメリカ カリフォルニア州の語学学校に入学

2004年7月17日

C3レベル頸髄損傷を受傷

2005年 3月

早稲田大学卒業

2007年10月

講演活動を始める。テーマ「よく生きる」

2008年2月

NPO法人ラーフ設立

2009年4月

日本福祉大学福祉経営学部医療・福祉マネジメント学科に入学

2013年3月

社会福祉士、精神保健福祉士の国家試験合格、日本福祉大学卒業

2014年7月

人間力大賞準グランプリ、全国知事会会長奨励賞、

衆議院議員議長奨励賞を受賞

活動の概要

 「当事者として」

  • 全国脊髄損傷者連合会香川県支部・香川頸髄損傷者連絡会

 両当事者団体の支部長を務める。県や市への要望書の提出活動、当事者勉強会、ピアカウンセリング、挑戦旅行の企画、その他交流活動をコーディネートする。

  • 香川障がいフォーラム

 各種障がい者団体が集まる香川障がいフォーラムの副代表を務める。障がい者福祉の課題や問題点を検討、香川県障がい者差別禁止条例制定に向けての活動を行う。

 「支援者」として

  • 講演活動

 学校、企業、各種団体で、障がい者福祉や地域福祉・ノーマライゼーション・生きること等のテーマで年間20~30件程回っている。平成26年8月現在、講演実績168回となった。

  • 香川県ソーシャルワーカー協会

 社会福祉士、精神保健福祉士の国家資格を取得後、理事に就任する。香川県内ソーシャルワーカーのスキルアップのため、シンポジウムや勉強会を企画する。自分自身も自己研鑽場所として勉強に励んでいる。

 「経営者」として

 福祉系のNPO法人として、平成20年に設立。理事長を務める。様々な居宅訪問サービス、就労支援、居場所づくり等の事業や、福祉色を出さない福祉イベントを展開する。

  • ふれあい夜市

 昔地域にあった夜市での「交流の場の復活」と、「地域と障がい者をつなぐこと」を目的に、企画書を市長へ提出し、行政・市内福祉団体・市内文化団体・市内スポーツ団体等から組織される実行委員会の実行委員長として、年1回開催している。平成22年から始める。

  • いきいき生活ヘアーファッションショー

 実行委員会を立ち上げ、実行委員長として、美容師やパフォーマンス団体やデザイン関係の学校と連携し、障がい者をモデルとしたファッションショーを開催している。平成21年から始め、現在4回開催している。

ラーフを立ち上げた思い ~当事者からの目~

   2004年7月17日。アメリカのカリフォルニア州へ語学・スポーツ留学をした私は、アメリカ人コーチから初めてもらえた休日に、語学学校の友人達と遊びに行ったラグナビーチで首の骨を折る大怪我をした。診断名は、C3レベル頸髄損傷。けが当時は呼吸中枢も損傷していたせいで、呼吸すらできない身体だった。約2年をかけて奇跡的に呼吸だけは取り戻したものの、24時間介護が必要な首から上が動くだけの身体になってしまった。

   けがから約3年が経った頃、ある大手介護サービス会社が不正請求を行っていたことから倒産に追い込まれるという事件があった。その時テレビでは、介護難民が沢山出ること、介護の担い手が少ないこと、地域の受け皿が少ないこと等の福祉問題が取り上げられていた。このニュースを見たとき、介護を受ける当事者として、大きな憤りを感じ、当事者である自分の経験を生かして何かできないかと思った。そこで改めて私の地域にも目をやった。見えてきたのは居宅サービス、通所サービスの絶対数の少なさ。交通機関、福祉コミュニティの乏しさだった。障がいがある人にとってこの地域はまだ住みにくい…。

   そこで、私自身も訪問介護を必要とする挑壁者の目線を武器に、挑壁者が地域や家庭で、普通に笑って生活できるよう支援をするNPO法人を作ろうと決意した。介護を受ける側の気持ちはよくわかる。そこで、私達ラーフ(Laugh:声を上げて笑う)は、外に出たくても出られない人達(障がい者、高齢者、介護をしているご家族など)の為に「こんなのあったらええな。」というサービスを充実させていくという決意を持って立ち上がった。

活動の詳細 ~3つの拠点~

  • 居宅訪問サービス事業所:訪問介護以外にも、訪問カット(美容師)、訪問鍼灸(鍼灸師)、訪問整体(整体師)、訪問リラクゼーション(アロママッサージ師)、訪問パソコン教室等の訪問サービスを実施。美容師、整体師は、それぞれ自分のお仕事を持っている。居宅まで行ってもいいという人達を私たちが中心に連携をとり、居宅で生活する人たちへ繋げる。これからも様々な専門職との連携を広げていきたい。
  • 就労支援事業 障がい福祉サービス事業所やまもも:平成24年度より就労継続支援B型事業を実施。ワッフル、パウンドケーキを中心としたスイーツの製造・販売、季節や地域の特性を活かした農園を利用した野菜作りと販売、企業等との契約による施設内外就労、各種イベントや地域の協力企業等での販売活動など、利用される方の障がい特性や能力に応じた作業提供、生活支援を行っている。地域のなかで自己を表現しながら生きていく力をつけていただけるような指導や支援を心がけてサービスの提供にあたっている。当施設がある一ノ谷地区の社会福祉協議会からの人力的協力や、観音寺市からの販売場所の提供等を受けており、地域団体や行政との連携が綿密に取られている施設である。
  • 発達障がい者居場所作り事業 支援センターウィズ:発達障がい者に居場所スペースを提供。平成23年12月に香川県のモデル事業として始まった。主な利用者との活動内容は、パソコン教室、家事活動(調理実習)、社会交流、野外活動(カラオケ・バーベキュ・外食)、グループ活動(ベートの会)である。その他、センター内の一部に就労体験・社会との交わりの場として販売スペースを設け、ワッフル・手作り菓子・ソフトクリーム等を販売している。さらに、発達障がい者の家族に対して、悩みを相談し合える場所・意見交流の場所も提供している。

活動の詳細 ~ふれあい夜市~

   私たちの市にはかつて、夏休みの毎週土曜日にアーケード付きの商店街で土曜夜市が行われていた。そこでは世代を超えて、地域のおじいちゃんおばあちゃんとの触れ合いや、住民同士の会話が溢れていた。しかし私が小学校高学年頃になると、露天商の減少、参加者の減少から徐々に衰退していき、平成10年に土曜夜市は無くなった。その後道路工事によりアーケードは取り外され、商店はほとんどなくなり、通りは綺麗にバリアフリー化されたものの、人があまり歩いていない通りになった。夜市のにぎわいや、そこでの交流や笑顔の人々を知っている私にとって、非常に寂しい思いがしていた。

   そこで私は、昔の夜市を復活させ「交流の場の再生」、さらに「地域と挑壁者をつなぐこと」を目的に、新しい形で、「福祉を前面に出さない福祉イベント」、ふれあい夜市の企画書を作成し、市長へ提出した。企画書に盛り込んだ構造は、「福祉」「スポーツ」「文化」のコラボレーション。構成する実行委員会組織には、福祉団体として観音寺市内の福祉系NPO法人や社会福祉法人、スポーツ団体として三観陸協やスポーツ少年団、文化団体としてみとよ青年会議所や市社会福祉協議会やボランティア協会等の協力を依頼した。そして行政には、社会福祉課を中心に後方支援と資金援助(地域生活支援事業より)の協力をお願いした。各団体と行政職員から1名~2名実行委員を選出してもらい、実行委員会を組織した。「行政」「地域民間団体」「福祉団体」の連携という構成を作り、平成22年から始めている。

   夜市と言えば屋台。屋台を並べるのは福祉団体だが、それぞれの団体の商品を前面に出さないという決まりを設け、工夫して露天商のように焼きそばやフライドポテト、綿菓子等を売ってもらった。そしてその傍らで各団体の商品を置くという形をとった。買った商品を通りで食べられるように、通りの各所に昔懐かしの床机を設置し、交流の場所を沢山設けている。各団体の売上はもちろん各団体の障がいがある人達の工賃となる。

   また、私たちの地域は、昔から「ポール王国」と呼ばれ、棒高跳びのオリンピック選手を2名、そして毎年全国大会入賞者を輩出しているという地域特性があることを取り入れた。全国トップレベルの県内選手の跳躍を間近で見られるということもあり、子供達からは「将来やってみたい。」、地域の人達からは「◯◯さんの所の息子やなあ。新聞だけでなく、間近で見られて興奮したわ。」という言葉が飛び交っていた。地域特性を生かし、地域スポーツの伝統を後世に引き継いでいく効果もあると考えている。

   さらに文化ステージを設け、小・中学生が楽器演奏。市民がコーラスやフラダンス等を披露した。日頃取り組んでいる市民活動を市民に発表して、それぞれの団体の活性化や意欲に繋がるステージとなっている。

   なぜ福祉を前面に出さないのか。その答えは私自身の講演活動での反響から来るところが大きい。小中高生に「福祉に興味ありますか?」と質問をすると、興味があると手を上げる人は1割に満たない。将来を担っていく子供たちには、福祉という言葉は興味がないもので、ある意味ではハードルが高いものとなっている。福祉◯◯というイベント名にすると、福祉に興味がない人、そして子供達は集まってくれないという答えが導きだされた。

   そこで私たちは門戸を広げた。ストリート棒高跳びに来る人、音楽ステージ、芸能ステージを見に来る人、どのような入口からでもまずこのイベントに足を運んでもらい、屋台の福祉団体や障がいがある人達と場を共有してもらうという仕掛け作りである。自然に触れ合い、障がいがある人たちの強さ(ストレングス)を見つけ、正しく理解し、個人として尊重する目線を持つには、同じ場所で普通に過ごし普通に楽しむことが一番である。

活動の詳細 ~いきいき生活ヘアーファッションショー~

   いきいき生活ヘアーファッションショーは、美容師やパフォーマンス団体や学校と連携し、挑壁者をモデルとしたファッションショーである。現状、挑壁者が結婚する機会は一般と比べて非常に低い割合で、結婚する機会、ドレスを着る機会を、当事者も親も諦めている人が多い。

   そこで、「前向きで活力あふれ明るく元気に」日々の生活を送る事を目的にファッションショーを考えた。ショーでは、ブライダル部門とカジュアル部門の2部構成で行った。ブライダル部門では貸衣装のウエディングドレスやカクテルドレスを身にまとい、演出はケーキカット、鏡開き等結婚式披露宴の雰囲気をつくり出した。カジュアル部門では、県内のファッション、デザイン科も持つ学校3校に依頼し、総合コーディネートもしくは体に合った服の制作を行った。挑壁者モデルを約60人のスタッフ(美容師、メイクアップアーティスト、カメラマン、介護福祉士、一般・学生ボランティア)、パフォーマンススタッフ50人(オーケストラ、ダンサー、DJ等)で盛り上げた。

 参加したモデルさんの変化について、家族や施設の支援員から意見が寄せられている。精神障がい者のAさんは、イベント前は笑う等の表情がなかったが、イベント以後明るく笑って話す姿が見られるようになった。同じく身体障がい者のBさんは、当日ステージを歩くため、歩行リハビリに力を入れた。そして、家族の皆さんからも、娘にドレスを着せてあげられたことで一生の思い出になったと、喜びの声が多数届けられた。

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