令和3年9月2日 会長メッセージ(退任の御挨拶)

 

 令和元年9月3日、第13代全国知事会会長に選任いただきました。
 当時、我が国が「人口減少」と「災害列島」二つの国難に直面する中、人口100万人以下の都道府県及び、四国から初選出いただき、大変栄誉であると同時に、その重責に身が引き締まる思いであったことを、今も克明に覚えております。
 就任に際し、従来の常識が全く通用しない「未知の世界」が眼前に広がる中、羅針盤なき世の「羅針盤」を、47都道府県知事一致結束の下、ともに創り出すべく、「3つの公約」を掲げさせていただきました。
 1つ目は「大都市部と地方部の連携・融和」です。
 全国知事会はともすれば、地方部の声を取りまとめる場、大都市部との対立の場と捉えられがちでした。これを「連携・融和の場」とし、47都道府県がその立場に応じて能力を最大限発揮いただける組織へと改編しました。
 これが活かされたのが、就任直後の令和元年9月9日、千葉県を襲った「台風第15号」、そして翌月の「台風第19号」でありました。大都市部の代表、黒岩神奈川県知事に「危機管理・防災特別委員会委員長」に就任いただき、東日本大震災を契機に制度化以降、初となる「全国知事会緊急広域災害対策本部」を迅速に立ち上げました。私自身も現地を視察するとともに、被災地に9,600人を超える都道府県や知事会職員を派遣。この体制が、翌年の7月豪雨以降における対応に繋がりました。
 さらに、全国を未曾有の災害が襲う中、「事前復興」「再度災害防止」の観点こそが必要とし、国に対し、「災害予防」の観点に立った、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の後継を求め、「3か年・7兆円」を大きく上回る
「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策・15兆円」の創設を導きました。
 2つ目は「政策形成・提言機能の強化」です。
 地方部は課題先進地域として、少子高齢化をはじめ多くの課題が真っ先に訪れる一方、それを解決する「課題解決先進地域」でもあります。そして、地方部に訪れる人口減少などの課題は、いずれ大都市部にも、より大きな課題として訪れます。
 このため、課題解決に率先して取り組む地方はじめ47都道府県知事が一致結束の下、課題解決に向けた「政策の形成」と、取りまとめた政策の「国への提言」が必須となります。
 「人口減少」「災害列島」2つの国難に、突如として新たな国難「新型コロナウイルス感染症」が加わり、日本全体が未曾有の国難に陥り、「大都市部への過度な人口集中が感染症をはじめとするリスクにいかに脆弱か」が認識されました。
 このため、令和2年6月に全国知事会議を初の「オンライン」で開催し、「コロナを乗り越える日本再生宣言」を取りまとめました。そして宣言に盛り込んだ理念「新次元の分散型国土の創出」に向け、「中央省庁の地方移転」「大企業の地方分散」「地方大学の魅力向上及び定員増」が、「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略2020」にしっかりと盛り込まれました。
 さらに、教育の分野においては、「子どもの学びの保障・1人1台端末」の整備が具現化するだけでなく、少人数学級への教員配置を、加配から正規採用に変え、教員を志す「若者の職の安定」に繋がる「義務教育標準法・40年ぶりの改正」など、着実な成果を導き出しました。
 3つ目は「存在感(プレゼンス)の向上」です。
 47都道府県知事で構成する「全国知事会・新型コロナウイルス緊急対策本部」はわずか
1年半の間で27回の開催を数え、国に対し、令和2年7月には「感染の急所に絞った対策の必要性」を求め、これが海外先進事例と並ぶ形で民放でも大きく取り上げられるとともに、
「特別措置法」、「感染症法」それぞれの改正及び、知事が急所を絞り対策を打ち込める
「まん延防止等重点措置」の創設を導きました。
 また、新型コロナとの闘いに必要となる財源については、「地方創生臨時交付金(当初1兆円で創設→2度の補正含み「5兆円」へ増額)」、「緊急包括支援交付金(0.15兆円で創設→2度の補正、予備費含む「4.6兆円」へ増額)」の創造と確かな増額を導くとともに、コロナ克服の切り札「ワクチン接種」については、医療従事者への優先接種の前倒し、各種ワクチンの供給量確保と「都道府県調整枠」の創設による、きめ細やかな市区町村調整と接種の加速化を実現しました。
 春のアルファ株、そして現下のデルタ株がもたらす「感染爆発」に対しては、5月10日「全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部」に47全知事が出席。全国の大半が「緊急事態宣言」又は「まん延防止等重点措置」におかれる中、開催した8月20日「対策本部」にも、選挙期間中を除く全知事が出席するなど、全国の知事が危機感を共有、我が国が対峙する国難に対し、47都道府県が一致結束、「国と心を一つ」に対応して参りました。
 まだまだ厳しい局面は続きますが、今後は私も一知事として、平井新会長を、全国の知事と共にお支えし、アフターコロナをしっかりと視野に捉え、明るい未来の創造に全力で取り組んで参ります。
 2年間にわたり、会長職を全うできましたのも、各知事はじめ、都道府県職員、知事会事務局のお支え、そして政府並びに立法府はじめ国民の皆様の御理解の賜物であり、この場をお借りし、改めて感謝申し上げます。本当に有難うございました。
 全国知事会会長 徳島県知事 飯泉嘉門

お問い合わせ先

調査第三部(03-5212-9134)