平成26年04月 東日本大震災からの復興に向けた岩手県の取り組みについて(岩手県)

岩手県復興局総務企画課

岩手県は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波で、沿岸部を中心に甚大な被害を受け、多くの人命が失われました。また、現在も約3万3千人の方々が応急仮設住宅などで不自由な生活を送っています。

 こうした大災害からの一日も早い復興に向けて、岩手県では、平成23年8月11日、「岩手県東日本大震災津波復興計画」を策定しました。計画では、目指す姿である「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」の実現に向け、復興に向けた原則として、「『安全』の確保」、「『暮らし』の再建」、「『なりわい』の再生」の3つを掲げ、迅速な復興の実現に向けた取り組みを進めています。

計画期間は、平成23年度から平成30年度までの8年間であり、平成23年度から平成25年度までの3年間を第1期(基盤復興期間)、平成26年度から平成28年度までの3年間を第2期(本格復興期間)、平成29年度から平成30年度までの2年間を第3期(更なる展開への連結期間)と位置付けています。

第1期(基盤復興期間)における復興の取り組み

 第1期においては、復興の第一歩となる緊急的な取り組みを重点的に進めるとともに、本格的な復興に向けた復興基盤づくりのための取り組みを推進しました。

(1)「安全」の確保

平成26年1月31日現在のがれき処理量は533.2万トンとなり、復興加速のシンボルとして着実に進捗してきたがれき処理は、平成26年3月末完了達成の見込みが立ちました。

また、区画整理事業や住宅地の高台移転などを住民との合意形成を重ねながら進めており、これまでに概ね全ての地域で被災地のまちづくり事業が本格化しつつあります。面的整備事業による宅地供給予定8,513区画のうち、7,453区画(87.5%)が着工、完成は178区画(2.1%)となっています(平成26年2月末現在)。

(2)「暮らし」の再建

被災者が一日でも早く安心して生活ができるよう、県と市町村が建設を予定する災害公営住宅約6千戸のうち約6割の用地を取得し事業を進めています。県・市町村整備分を合わせた災害公営住宅 6,038戸のうち、1,699戸(28.1%)が着工、完成は467戸(7.7%)となっています(平成26年2月末現在)。

また、県では、被災地4か所に「被災者相談支援センター」を開設し、被災者の皆さまの生活の再建に向けて、さまざまな相談・問い合わせにお応えしています。

(3)「なりわい」の再生

 漁業の再建に向けて、漁業協同組合を核とした漁船・養殖施設など生産手段の一括購入・共同利用システムを構築し、漁業と流通・加工業の一体的な再生に取り組んでいます。その結果、産地魚市場の水揚量や養殖ワカメの生産量は震災前の7割程まで回復しています。

また、グループ補助などによる施設整備や、既存債権の買い取りを行う復興支援ファンドによる二重債務への対応などを進めており、「一部再開」を含め、被災した約8割の事業所が再開しています。

復興に関する被災者の実感

 岩手県では、復興に対する地域住民の主観的な実感を把握し、復興施策に反映させるため、沿岸被災地の方153名に、「生活」、「地域経済」、「災害に強い安全なまちづくり」の3分野の回復度などを伺う「いわて復興ウォッチャー調査」を実施しています。

 調査の結果を見ると、「被災者の生活」の回復感は、平成24年11月時点で回復またはやや回復とする方が半数を超えたものの、上昇幅が小さくなっています。また、「地域経済」の回復感も、回復またはやや回復とする方の割合が、平成24年8月時点まで上昇していたものの、以降は概ね横ばい状況となっています。

 一方、防潮堤の復旧や復興まちづくりなど「災害に強い安全なまちづくり」については、達成またはやや達成とする方の割合は、依然として3割程度にとどまっています。

これは、今後、ピークを迎える本格復興の主な取り組みについて、未だ復興を実感できる程度まで事業が進捗していないことや、応急仮設住宅での生活の長期化、復興まちづくりと合わせた商店街の再建が本格的に進んでいないことなどが背景にあると考えられます。

迅速な復興のための課題への対応

迅速な復興のためには、次の3つの共通的な課題への対応が必要となっています。

(1)人材の確保

本格復興を進めていくに当たり、さらにマンパワーが必要であり、県として、再任用職員、任期付職員の採用や一層の職員派遣の要請などに加え、国の支援による民間企業などの人材の受入れなども進めるなど、多様な方策により人材の確保に努め、復興の加速化に向けた体制の強化を図っています。

(2)復興財源の確保

復興財源については、平成27年度までの国の集中復興期間後における復興財源スキームが明らかになっていません。また、復興まちづくりの主要な財源である復興交付金の対象事業が限られており、被災地のニーズに十分に対応できない状況にあります。このため、今後、岩手県における復興に要する費用の全体を明らかにし、被災各県と連携しながら、引き続き、国に対して要望・提言を行っていくこととしています。

(3)事業用地の確保

復興まちづくりが本格化し、短期間に多数の用地を取得しなければならない中、今後見込まれる相続未処理地や多数共有地などを含む事業用地を確保していくためには、国が講じている財産管理人制度の円滑な活用や土地収用手続の迅速化など、現行制度の運用見直しである「住宅再建・復興まちづくりの加速化措置」では効果が限定的です。このため、県では、岩手弁護士会との連携により、膨大な数の相続未処理地や多数共有地などの難航案件について、簡便な手続により迅速に工事着工し、権利取得できる特例制度の創設に関する提言を行い、国における制度化を働きかけています。

本格復興に向けて

岩手県では、平成26年度からの3年間の復興の取り組みを盛り込んだ「復興実施計画(第2期)」を策定し、本格復興の実現に向けた取り組みを推進していきます。

第2期実施計画では、「被災者一人ひとりが安心して生活を営むことができ、将来にわたって持続可能な地域社会の構築を目指す『本格復興』」を取り組みの方向とし、「安全」の確保、「暮らし」の再建、「なりわい」の再生の3つの原則に基づき、復興を推進する332の事業を盛り込んでいます。

また、「本格復興」を目指す第2期では、計画を進めるに当たって重視する視点として、若者・女性などの地域住民の幅広い参画を促進する「参画」、多様な復興主体の連携により復興を加速させる「つながり」、地域資源の発掘・活用などにより地域社会の持続性を目指す「持続性」を掲げています。

さらに、長期的な視点に立ち、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指す「三陸創造プロジェクト」を本格的にスタートさせます。

岩手県の三陸地域では、以前から人口減少や高齢化、地域の社会経済の活力の減退などが課題となってきましたが、大震災後、これらの問題がさらに顕在化しています。一方で、三陸地域は、黒潮と親潮が交錯する世界有数の漁場や、優れた海岸美、海底・海中資源活用の可能性など、「海」の資源に恵まれた地域でもあります。

「三陸創造プロジェクト」は、三陸地域が持つ特性や資源を最大限に生かしながら、そこで展開される暮らしやなりわいが生み出す『三陸ブランド』を確立させることで、より多くの人々をひきつけ、さらに交流・連携を深めることで多様な人材が育まれる将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指すものです。

定住・交流人口の拡大による活力みなぎる地域づくりを目指す「『新たな交流による地域づくり』プロジェクト」や、ILC(国際リニアコライダー)を核とした『国際研究交流拠点形成』プロジェクトなど、5つのプロジェクトを推進していきます。

復興への道のりは長く、被災地では今なお非常時が続いています。

被災者一人ひとりが安心して生活を営むことができ、将来にわたって持続可能な地域社会の構築を目指す『本格復興』」が一日も早く実現できるよう、被災地域の住民をはじめ岩手全体の地元の底力と、全国からの多様なつながりを力に、復興を推進していきます。

全国の皆様の御理解と、引き続きのご支援をよろしくお願いします。

「三陸復興」へ一歩ずつ歩みを

大船渡農林振興センター 農村整備室農地復旧課 主査 杉浦正一(静岡県から派遣)

 

 震災直後、静岡県の先遣隊として被災地へ赴き現地や被災した方々を見たときから、微力ながら何らかの形で力添えできればという想いで、最初の2年間は危機管理部職員として特に山田町・大槌町を断続的に支援し、平成25年度は1年を通じて農業土木職員として派遣され、農地及び農業用施設の復旧事業に携わり、異なる立場で被災地に向き合うという得難い経験をしました。

実は、先遣隊として立ち寄った釜石市のある入り江で、老人が被災した農地の前で『三陸はもう終わりだ…』と茫然と立ち尽くしている姿を、被災地のイメージとして非常に強く心に残していました。しかし、その農地はこの1年間で既に区画整理され作付可能な状態となり、あの老人は今どんな気持ちでこの農地を見ているだとうと思わずにはいられません。奇しくもその農地を守るための防潮堤を担当することになろうとは、あのときは全く思いもしませんでした。また農地復旧を担当する大槌町では、町全体が壊滅的な被害を受けたにも拘らず、復興に向け農業を大槌町の顔にしたいと営農意欲の高い農家がいることで、逆にこちらが勇気づけられ、頭が下がる思いになるとともに大きな励みとなっています。

また、このような機会に岩手県をはじめ他県職員との深い交流や県内各地の美しい自然に触れるなど、大変充実した派遣生活となっています。4月から派遣生活は2年目となり仲間は入れ替わりますが、新しい仲間と一緒に「三陸復興」へ一歩ずつ歩みを続けたいと思います。