平成26年04月 東日本大震災の発生から3年~宮城県の現状・課題,取組について(宮城県)

宮城県震災復興・企画部 震災復興政策課
 総務部 人事課 

1.はじめに

東日本大震災の直後から,都道府県,全国の自治体には,継続的な職員の派遣をはじめ,多大なるご支援とご協力をいただき,深く感謝申し上げます。

未曾有の災害をもたらした大震災から3年が経過しました。この間,宮城県では震災復興計画を策定し,災害からの復旧復興にとどまらない,現代社会を取り巻く諸課題を解決する先進的な地域づくりを進める「創造的な復興」に向け,被災市町等とともに懸命に取り組んできたところです。

しかし,復興事業のピークはこれからであり,復興は道半ばとなっています。このような中,時間の経過に伴う被災地以外での関心の低下や,震災の記憶が風化しつつあるとの声も聞かれます。

ここでは,本県におけるこれまでの復興の状況と,直面している課題を述べるとともに,復興に向けて日々ご尽力いただいている応援職員の皆様のご活躍を紹介します。 

2.被災から3年,現在の状況と直面している課題

 1.被災者の生活再建と生活環境の確保

(1) 住まいの確保(仮設住宅,災害公営住宅)

平成26年2月末現在,約3万7千戸の応急仮設住宅(民間賃貸借上住宅等を含む)に約8万7千人の方が入居を余儀なくされていることから,災害公営住宅の整備が喫緊の課題となっています。しかし,災害公営住宅の完成は2月末現在で約1万5千戸の計画戸数中,330戸と約2%にとどまっています。住環境の改善が進まないことが,被災者が復興を実感しにくい要因の一つと考えられることから,早期の完成に向けて取り組んでいます。一方,自力で住宅を再建できない方は,仮設住宅等での生活が長期化してしまうといった問題も懸念されています。

(2) 被災者の心身のケア

 仮設住宅等における,不安定で不自由な生活の長期化に伴い,生活不活発病の増加や高齢者の要介護度の悪化等に加えて,うつ病やアルコール依存症の増加といった被災者の心の問題の深刻化がみられます。このため,高齢者等を見守る「サポートセンター」の強化を図るとともに,被災者の心のケアの活動拠点となる「心のケアセンター」を設置し対応しています。また,被災した子どもたちの多くに,つらい震災経験等に起因するストレスによる,精神的変調や問題行動の増加が懸念されており,きめ細かい支援を継続的に行う必要があります。

(3) 県外避難者への対応

 現在,全都道府県に約8千人の被災者を受け入れていただき,様々なご支援をいただいています。宮城県では,県外に避難された方々が一日も早く帰郷できるよう,避難先で開催される交流会等で必要な情報提供を行うなどの支援に取り組んでいます。

2.復興まちづくり

 かつてない規模で展開される市街地や集落の再建を同時並行して進めなければならないものの,復興まちづくり事業に従事する職員の不足をはじめ,資材や人件費の高騰,事業用地の確保や関係者間の合意形成の遅れ等が事業の進捗に影響を及ぼしています。平成26年2月末現在,防災集団移転促進事業により住宅建設可能となった地区は194地区中9地区(約5%),また,被災市街地土地区画整理事業による工事着手地区は34地区中11地区(約32%)の進捗にとどまっており,事業の加速化を図らなければなりません。 

3.保健,医療,福祉

 全県的に見ると,被災した医療機関や社会福祉施設の復旧は進んでいるものの,震災前から医師等が特に不足していた沿岸部における医療機関(無床診療所や歯科診療所を含む)の再開率は,石巻地域で約89%,気仙沼地域で約73%にとどまっています(平成25年9月現在)。このため,引き続き施設の復旧を進め,将来に向けて必要な地域医療を担う医師などの安定的な確保に努めるとともに,高齢者や障がいのある人も地域で安心して暮らしていけるよう,保健・医療・福祉分野の連携による地域包括ケア体制の確立・充実を図る必要があります。

4.雇用の確保

被災者が安定的な生活を営むためには,雇用の確保が喫緊かつ重要な課題です。雇用情勢を見ると,平成26年1月の有効求人倍率は県全体で1.31倍と,復興需要などにより震災直後と比較して大幅に改善していますが,希望する職種や賃金等のミスマッチにより,求人・求職者のバランスに差が見られます。また,復興需要が落ち着いた後の雇用機会の縮小が懸念されています。

 5.地域産業の再生

(1) 第1次産業の早期復興

 本県の基幹産業の一つである水産業の壊滅的被害をはじめ,第1次産業の被害も甚大でした。平成26年2月末現在,農地については除塩などにより約68%の復旧工事が完了していますが,高齢化等による従事者の大幅な減少が見込まれており,農地の面的集約や経営の大規模化による競争力のある経営体の育成等が急務となっています。

 水産業については,漁港の本復旧工事の着手が進み,また,主要魚市場の水揚げ量も回復しつつありますが,冷凍冷蔵施設や水産加工施設等の受入機能の復旧に遅れが見られるほか,震災により失った販路の回復等が課題となっています。

(2) 被災事業者の事業再開

平成26年1月末現在,中小企業等グループ補助金の交付を受けた事業者のうち,復旧が完了した事業者は約65%にとどまっています。資材の高騰による施設設備の再建工事の遅れや取引先の喪失による受注の減少,更にはスキルを持った従業員の転出など,時間の経過に伴い,地域の産業再生を図っていく上での様々な課題が顕在化していることから,これらの課題の解消に向け,県内企業の生産水準の回復に全力を挙げて取り組んでいます。

 6.インフラの復旧

 道路等のインフラについては概ね復旧が完了し,空港・港湾の利用状況も震災前の水準を回復しつつあります。その一方で鉄道については,一部区間で今なお運休を余儀なくされており,復旧の遅れが人口流出に影響する恐れがあることから,内陸へのルート変更などの津波対策を踏まえ,復興まちづくりと一体となった再整備を迅速に進める必要があります。

 7.災害廃棄物(がれき)の処理

 災害廃棄物の撤去・処理については,多くの自治体や国のご協力をいただき,平成26年1月には県内全ての仮設焼却炉で作業を終えるなど,目標としていた平成25年度末までに完了することができました。あらためて感謝申し上げます。

 8.東京電力福島第一原子力発電所事故の対応

 東京電力福島第一原子力発電所事故により,放射能のモニタリング,県産農林水産物の検査などの様々な対応を求められました。3年が経過した現在も,課題が山積していることから,引き続き農林水産物等の放射能の影響等について安全性の確認と周知に取り組み,健康への不安払拭に努めるとともに,農林水産物等に係る損害賠償請求手続きの支援や風評の払拭に注力していきます。

 3.課題に対する取組 

1.「再生期」の課題

 平成26年度から「宮城県震災復興計画」の「再生期」(平成26年度~29年度)が始まります。この「再生期」は復興計画に掲げた「復旧」にとどまらない抜本的な「再構築」に向けた動きを具体化していく重要な時期です。

 前述のとおり,復興は一歩一歩進んでいますが,災害公営住宅や復興まちづくりの遅れ,さらには雇用の場の喪失といった問題もあって,被災地を取り巻く環境は依然として厳しく,被災地からの人口流出が続いています。こうした流れを食い止め,被災者が安心と希望を持って笑顔で生活できるよう,恒久的な住まいの確保や地域コミュニティの再構築などの生活再建,安定的な雇用の確保,復興まちづくりなど,地域の課題にきめ細かく,そして,迅速に対応していく必要があります。そのためには,必要な財源や人材の確保などをしっかりと行うことが不可欠であると考えています。 

2.必要な財源の確保

 国の復興財源については,集中復興期間(平成23年度~27年度)の5年間で総額25兆円とされていますが,復旧・復興事業がこれまでになく大規模であることに加え,人手不足や資材不足が深刻化しているため,事業の一定程度については,平成28年度以降にずれ込むものと考えています。復旧・復興に向けては,長期に渡る国の支援が不可欠であることから,今後とも,必要な財源の確保を復興庁や関係省庁に働きかけていくこととしています。

 3.被災自治体職員の不足への対応

 被災地の自治体が実施しなければならない復興関連事業は膨大で,さらにこれらの事業は,復興まちづくりや施設の復旧などのハード事業から被災者の生活支援などのソフト事業まで,極めて多岐にわたり,かつ,今までに経験したことのない困難なものです。

復興関連事業を着実に進めていくためには,職員の確保が大きな課題となっていることから,その対策として,再任用職員の活用や任期付職員の採用等に取り組んでいるほか,平成26年2月1日現在,全国の自治体から宮城県,市町を合わせて1,386人もの職員派遣をいただいています。しかし,これだけの職員を派遣していただいてもなお,市町での不足人数が129人に上るなど依然として厳しい状況にあることから,引き続きマンパワーの確保が求められています。

4.復旧・復興事業に携わる応援職員の方々 

平成23年6月から平成26年2月までの間,全国37都道県から延べ1,179人の職員を宮城県に派遣していただき,復旧・復興に向けた取組に大きな力添えを頂戴しています。

派遣職員の方々には,道路や河川,農地・農業用施設,港湾・漁港などの災害復旧事業をはじめ,被災者支援や被災中小企業支援,不動産評価など,宮城県職員だけでは対応しきれない様々な業務に,御尽力いただいています。

 宮城県では,派遣職員の方々が心身の健康を保ちながら業務に従事いただけるよう,日頃から各所属において働きやすい職場づくりなどの配慮に努めています。また,派遣職員の方々を対象にした情報交換・研修会を開催し,復興の現状や職場のメンタルヘルスケアのほか,職種別のグループによる情報交換なども行っています。この情報交換の場においては,貴重なご意見を頂戴するとともに,家族と離れ,不慣れな環境のもとで,組織形態や業務システムが異なることの戸惑いや,住民合意を形成することの困難性を感じながらも,本県の復旧・復興事業に献身的に取り組んでいただいている姿に胸が熱くなる思いがいたしました。派遣職員お一人お一人と,派遣くださった都道県,関係自治体に厚くお礼申し上げます。

 今後,復興事業のピークを迎えますので,引き続き全国の都道府県の皆様のご支援をお願いいたします。