「奈良県児童虐待等調査対策委員会」の報告書を受けて ~児童虐待による悲惨な事件が二度と起こらないために~

奈良県の児童虐待の現状

今年3月に奈良市において、両親からの虐待により生後4ヵ月の乳児が、意識不明の重体(4ヵ月後死亡)となる大変痛ましい事件が発生しました。このケースは、行政機関への通告や相談が一切なく、県として改めて児童虐待の早期発見、早期対応の困難さを痛感させられたものでした。
また、県においては、年々児童虐待相談件数が増加し、平成19年度は682件(全国は40,618件)、奈良県のデータは全国の100分の1が一般的な目安と言われており、これの約1.7倍となっています。また、件数の伸びも全国のそれより上回っており、最近5年間の比較で全国の1.7倍に対し県は2.2倍となっています。

奈良県児童虐待等調査対策委員会による調査分析

県は、この2つの現実を深く受け止め、今年4月に「奈良県児童虐待等調査対策委員会」を設置し、県内の虐待事案について詳細な調査分析を行いました。
1.平成19年度に奈良県こども家庭相談センター(児童相談所)と県内市町村が受け付けた児童虐待相談事案のすべて(1,228件)について、22項目にわたる調査を集計するとともに、さまざまな角度でクロス分析を行いました。その結果、若年出産や乳幼児検診の未受診者は虐待の発生リスクが高いことなど、さまざまな課題がデータ上定量的に明らかになりました。
2.児童虐待の個別ケースについて、事案にかかわりのあったさまざまな関係機関の関係者に対し、その時の対応や判断について、延べ30時間にも及ぶ聞き取り調査を行いました。その結果、専門知識を持つ関係機関の職員でさえ通告にためらいがあったことなど、さまざまな課題が浮かび上がってきました。
1,228件にも及ぶ児童虐待事案の全数調査と、児童虐待個別ケースについての延べ30時間近くにも及ぶ聞き取り調査は、全国でも例がなく、先に述べたように貴重な情報が得られました。

奈良県児童虐待等調査対策委員会の提言を受けて

これらの調査結果をもとに、「奈良県における児童虐待の課題と対応策についての提言」がまとめられ知事に答申されました。
提言では、「未然防止」「気づき・発見・通告」「通告の受理・虐待リスクの初期のアセスメント(評価)」「被虐待児や家族等への対応・援助」の4段階に分け、県・市町村を始め、福祉・教育・医療・司法などさまざまな関係機関に対し、課題と対応策が示されています。
県では、この提言を受けて、市町村その他関係機関との連携・協力を強化し、総合的な児童虐待対策を充実させていきたいと考えています。
HP http://www.pref.nara.jp/kodomo/