九州オルレ 奥豊後コース

 大分県の豊後大野市・竹田市で、四つのコースが「九州オルレ」に認定されました。

 「オルレ」とは、もともと韓国済州島の方言で、「家に帰る細い道」という意味。韓国で人気の「済州オルレ」というトレッキングコースの九州版です。

 設定されたコースの一つである「奥豊後コース」は、豊後大野市から竹田市に至る約12kmのコースです。東洋のロダンと称された「朝倉文夫」生誕の地、豊後大野市朝地町にあるJR朝地駅をスタートし、昔懐かしい集落を通り、近世の城跡、歴史の道を巡る道です。

 スタートして、初めの見どころは、県内有数の紅葉スポットである「用作公園」。岡藩家老の別宅であった園内には、500本以上のカエデ、モミジが植えられて、紅葉シーズンは多くの観光客でにぎわいます。用作公園を過ぎ、2kmほど歩くと、あじさい寺として有名な「普光寺」に到着です。寺社から見える、不動明王の磨崖仏は高さ20m、幅10mの岩肌に刻まれた巨大なものですが、長く風雨にさらされたその表情は、柔和でややユーモラスな顔立ちに見えます。またそこから眺める里山の風景は、穏やかで懐かしさを感じさせます。

 普光寺を後にし、柱状節理(※)が美しい十川の荒瀬を渡ると、道は岡城阯に向かう上り坂となります。岡城は中世からある堅固な山城であり、江戸時代に近世的な城郭となった歴史があり、また滝廉太郎が「荒城の月」の構想を練った場所とも言われています。

 道沿いには、往時をしのばせる高石垣が多く残されています。城跡まで坂道をのぼりきると、そこはくじゅう連山、祖母山、阿蘇山といった雄大な九州山地を一望できる絶景のパノラマが広がります。また、春は桜、秋は紅葉と四季折々で美しい姿を楽しむことができる観光名所ともなっています。

 コースの終わりは、落ち着いたたたずまいの竹田の城下町です。白壁造りの武家屋敷跡や落ち着いた町屋風情の街並を散策するのもよし、食事や買い物を楽しむもよし、終点の豊後竹田駅近くの竹田温泉「花水月」で、歩いた後の疲れを心地よく癒すのも、またおすすめです。

 九州オルレ「奥豊後コース」の設定によって、素朴な里山の風景や日頃から使い歩く道も観光資源として親しまれ、地域活性化につながることが期待できます。

(※)太古の火山活動により、岩に規則正しい割れ目ができたもの