滋賀県立近代美術館「石山寺縁起絵巻の全貌 -重要文化財七巻一挙大公開-」の御紹介

 滋賀県立近代美術館では秋の企画展として「石山寺縁起絵巻の全貌-重要文化財七巻一挙大公開-」を11月25日まで開催しています。
 西国三十三所の13番札所、滋賀県大津市にある石山寺は紫式部ゆかりの寺としても著名で、江戸時代以降は近江八景の一つ「石山秋月」も広く人々の知るところとなり、今も多くの参詣者が絶えません。

 「石山寺縁起絵巻」全7巻は、やまと絵の美しい絵巻物で、国の重要文化財に指定されています。教科書などにもよく掲載されるので、御存じの方も多いでしょうが、重要文化財7巻を全巻、総長113m広げての展示は、本邦初の試みです。

 7巻の絵巻物は、同時にできたのではありません。絵巻をつくろうと発願したのは、鎌倉時代正中年間(1324~26)、洞院公賢という貴族と、その異母弟の石山座主益守が、洞院家繁栄の祈願を込め制作を企てたとみられます。洞院家は益守をふくめ4人の石山座主を輩出した、石山寺と縁の深い公家です。

 ただちに第1~3巻は描かれ、第5巻は50年ほど遅れて描かれました。さらに第4巻は明応6年(1497)に三条西実隆が詞をしたため、前後して土佐派の絵師が描き、第6・7巻は松平定信が文化2年(1805)に谷文晁に命じて描かせたものです。
 絵の中には、当時の貴族の生活や、琵琶湖や宇治川の漁労、大津の馬借など、社会史の上でも興味深い描写が多く見られ、その意味でもこの絵巻はたいへん貴重な歴史資料と言えましょう。

 

滋賀県立近代美術館HP
http://www.shiga-kinbi.jp/