『水辺のアルカディア-ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界-』

宍道湖畔に立つ島根県立美術館は、2014年3月で開館15周年を迎えます。この開館15周年を記念し、3月20日から6月16日まで、企画展「水辺のアルカディア―ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界」を開催いたします。
 ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)は、19世紀フランスを代表する壁画家として知られ、フランスの主要建造物の壁画装飾を次々と手がけていきました。その一連の壁画装飾の中で、ギリシア・ローマの古代神話を範としながら、独自の解釈を展開し、画家自身の創意になる、自然と人間の調和するアルカディア(理想郷)を現出していったのです。この展覧会は、「壁画家」としての側面と「アルカディアの画家」としての側面を核として、フランス、アメリカ、イギリス、日本の所蔵作品により、日本で初めてこの画家の全体像を提示する機会となります。
 日本近代洋画の礎を築いた黒田清輝は、1893年この巨匠に会い、その後、本格的な「構想画」を日本にもたらそうとしました。日本の近代洋画の確立にも多大な影響力をもった重要な画家です。
 夕暮れ時の静かな水辺に、美術の化身とミューズたちの憩う≪諸芸術とミューズの集う聖なる森≫は、シャヴァンヌの代表作であり、日本初公開となる作品です。夕陽の景勝地として知られる湖畔の島根県立美術館が、この作品のように自然と人間が調和し、人々が集い憩う場になることを願い企画したこの展覧会。海に囲まれた国・日本が、水辺のアルカディアとなるように、願いは一層深くなります。普仏戦争、パリ・コミューンによりパリの街が壊滅状態になったのを目の当たりにして、シャヴァンヌはより切実に豊かなアルカディアを現出させていきました。
 島根県立美術館でシャヴァンヌの夢のようなアルカディアに、ひととき包まれてみませんか。
 全国の皆様のお越しをお待ちしております。

水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界