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タイトル IoP(Internet of Plants)が導く「Next次世代型施設園芸」への進化プロジェクト
施策・事業名称 IoP推進事業
都道府県名 高知県
分野 農林水産
内容 1.現状・課題
本県施設園芸農業は、これまで高知の生産者が培ってきた高い技術力と、オランダに学び進化させてきた「次世代型施設園芸農業」の取り組みにより、全国一の生産性を誇っています。しかし近年、生産者の高齢化や就農者の減少に伴う労働力不足など、農業を取り巻く状況は一層厳しさを増しており、担い手の確保や更なる生産性の向上・省力化が喫緊の課題となっています。そのため、これまでの「次世代型施設園芸農業」にAIやIoT等の最先端の技術を融合させた「Next次世代型施設園芸農業」への進化に向け、平成30年度からIoP(Internet of Plants)のコンセンプトのもと、さらに高収量や高品質化、省力化等を可能にする進化型のシステムの確立(以下、「IoPプロジェクト」という)に取り組んでいます。

2.取組内容
IoPプロジェクトは、「施設園芸農業の飛躍的発展」と「施設園芸関連産業群の創出・集積」を目的とした産学官連携を推進する取り組みです。また、アウトプットが県内の6,000戸の施設園芸農家という、農業分野では全国的に類を見ない規模の取り組みとなっています。主な取り組み内容は以下のとおりです。
1)データ連携基盤「IoPクラウド」の構築
生産現場におけるハウス内環境データや気象データ、集出荷場で日々得られる収量や品質等の出荷データ、画像解析で得られる作物の生育状況データ等の様々な関連情報を収集・蓄積するデータ連携基盤「IoPクラウド」が構築され、令和4年9月より本格運用が開始されました。
2)最先端のIoP研究
IoPクラウドには、クラウドに収集されるデータを活用し栽培技術や経営の最適化のための解析・分析を行う様々なAIエンジンを搭載します。なかでも、IoPの提唱者である高知大学の北野特任教授を中心とした産学官による研究グループにおいて、画像認識による作物の光合成や生育データの取得および機械学習による予測アルゴリズム、いわゆるAIエンジンの開発研究に取り組んでいます。
3)IoPを支える人材の育成・機器等の開発
県内3大学(高知大学、高知工科大学、高知県立大学)連携によりIoP入門講座を開講しています。農業者はもとより一般の社会人や企業の方も参加自由なIoPに関する学びの場としてIoP塾(オンライン併用)を開講し、幅広い人材を育成しています。
また、IoPクラウドの普及に向けては、生産現場における様々な情報を収集するためのデバイスやシステムなどが増えることに加え、メンテナンスやアフターサービスの充実が必要となります。現状では、インターネットへの接続機能を持たない機器や、接続できてもクラウドに安全にデータを送信することができない機器が多く、早急な対応が必要となっており、機器の開発を進めています。
4)データ駆動型農業の推進
IoPクラウドに集積された様々なデータを分析し、栽培状況の簡易診断(通信簿)の配信や、JAと連携して行う時系列/属性データの多角分析の実施等により、生産者が有益情報としてデータに基づく栽培技術や経営を最適化する取り組みを推進します。これらの取組みにより、全国に先駆けて農業分野のデジタルトランスフォーメーションを推進しています。

3.効果
1)データ連携基盤「IoPクラウド」の構築
県内の施設園芸ハウスをインターネットで接続し、これまで個々のハウス内でのみ活用されていた様々なデータをIoPクラウドに収集・蓄積し、ビッグデータとして分析活用することで栽培技術の向上や経営の適正化に向けた営農支援を効率化でき、農業分野でのデジタルトランスフォーメーションに寄与できる取り組みになっています。本年3月末で生産者860戸がIoPクラウドを利用し、うち417戸は自分自身のハウスに設置したモニターやカメラから得た環境データ、画像データを閲覧しています。
2)最先端のIoP研究
作物生理生態AIエンジンは、株当たりの光合成と蒸散速度を連続的にリアルタイムで可視化する世界初のAIモデルを開発されました。現在、「IoPクラウド」のメインエンジンとして搭載されています。
3)IoPを支える人材の育成・機器等の開発
IoP入門講座には県・教育委員会の協力を得て、県内高校生も受講しています。また、IoP塾は、令和4年度、32講座開講されのべ960人が受講しています。
また、県内6業者がデバイス・システムの開発に取り組み、インターネットに接続でき安全にデータを送信できる機器を開発しました。
4)データ駆動型農業の推進
産学官で構成する県域の「高知県データ駆動型農業推進協議会」を設立し、協議会を中心として、(1)データ分析・指導ができる指導人材の育成、(2)現地実証等による農家への普及、(3)農業のデジタル化に関する情報共有に取り組んでいます。
本件問合先 高知県農業振興部農業イノベーション推進課
088-821-4570
160601@ken.pref.kochi.lg.jp