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タイトル | 福岡から全国へ発信する既成概念を打開した情報伝達システムの開発 「ふくおかコミュニティ無線」〜整備費用が1/3以下に!〜 |
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施策・事業名称 | 市町村防災行政無線の整備推進事業 |
都道府県名 | 福岡県 |
分野 | 防災・危機管理 |
内容 |
1.経緯 近年、災害の大規模化・国際関係の緊張、国民保護法の施行などにより、避難情報等を迅速に住民に伝達する市町村防災行政無線の整備は、緊急の課題となっています。 本県においては、これまで市町村に対してその整備を働きかけてきましたが、整備費用が高額であること、過去に大きな災害が少なかったことなどから整備が進まず、平成16年度末の市町村の整備率は34%、全国第46位と低迷していました。 そこで、本県における市町村防災行政無線の急速な整備を図るためには、システムの低価格化が極めて重要であると考え、全国で初めて、高額な市町村防災行政無線システムの代わりに、安価な既存のデジタル移動無線システムを固定して活用するという、既成概念を覆す新たなシステムの開発に着手し、従来の1/3以下の低価格で実用化に成功しました。 (H17.1)「ふくおかコミュニティ無線推進協議会」を設置 (H17.8)「ふくおかコミュニティ無線」を開発 ・「ふくおかコミュニティ無線」のモデル施設を福岡県直方市に建設 ・直方市が「ふくおかコミュニティ無線」システムを活用した防災等を利 用目的とした無線局として、全国で初めて国より免許取得 (H18.8)「ふくおかコミュニティ無線標準仕様書」を発表し、総務省を通じて 全国へ紹介 (H19.3)「ふくおかコミュニティ無線」の戸別受信方式及び全国瞬時警報シ ステム(J-ALERT)との接続試験を実施 ・室内及び不感地帯での受信を可能とする戸別受信方式と、消防庁 からの衛星通信により全国一斉に緊急情報を伝達するJ-ALERTシ ステムとの接続試験を実施し成功 (H21.3)「ふくおかコミュニティ無線」の戸別受信方式を実用化 ・直方市が地域コミュニティ用無線局を活用して「ふくおかコミュニティ 無線」の戸別受信方式の運用を開始 2.ふくおかコミュニティ無線の特徴 (1) 全国初となる従来の1/3以下の費用で整備可能な市町村防災行政無線 ア. 「一斉通報」、「グループ通報」、「個別通報」、「子局停電状況監視」と いった従来システムの機能を完備。 イ. タクシー等で利用されている既存の無線システムを活用し、さらに汎 用品を多用したシステム構成により安価に整備可能。 ウ. 従来は高額な設備を一斉に整備する必要があったが、部分的な整備 が可能なため、財政状況が厳しい市町村でも整備が可能。 【整備費比較例】 市町村規模:約6万人 従来システムでの整備費:約5億円 ふくおかコミュニティ無線システムでの整備費:約1億5千万円 (2) 安価でありながら従来システムには無い特徴 ア. 市町村役場が被災した場合、従来システムは固定されており運用不 能となっていたが、本システムは持ち出してどこでも運用可能。 イ. 災害情報だけでなく、地域イベント情報や防犯情報など、地域から情 報発信が可能なため、地域コミュニティの形成に役立つシステム。 ウ. J-ALERTシステムとの接続機能を独自開発したため、従来システムの ような設備改造を全く必要とせず、接続が可能。 3.システム開発に向けた主な取り組み (1) 職員による制御ソフト及び通信仕様の開発 管理移動局(市町村役場)に設置する制御装置(パソコン)のソフト(500万円程度)及び、無線機を使用した通信仕様を、外部委託なしで県職員が独自に開発。市町村の整備費負担軽減に大きく寄与。 また、従来システムに先駆け、最新仕様である全国瞬時警報システム(J-ALERT)の接続機能も独自に開発。 (2) 僅かな経費による開発の達成 開発に当たっては、学識経験者と電気通信機器メーカー等で構成された「ふくおかコミュニティ無線推進協議会」を設置し、構成企業から資機材の無償貸与を受け、モデルシステムを建設しました。 (3) 法令による規制の壁を乗り越える努力 電波法に基づく無線局の許可を受けるに当たっては、その運用形態や利用の目的に応じて許可されています。 「ふくおかコミュニティ無線」は、既存の移動通信システムを活用したものであり、防災を目的とした無線局として許可された前例がありませんでした。 そのため、既存システムを活用することで整備費の低廉化が図られること、また、防災を目的とした通信の信頼性を証明することにより国の理解も得られ、防災用の無線局として全国で初めて免許を取得することができました。 4.市町村の整備促進に向けた主な取り組み (1) モデル施設の公開 直方市に「ふくおかコミュニティ無線」のモデル施設を建設し、市町村等関係機関を対象に随時公開を行うことにより、新システムの普及啓発を行いました。 (2) システムの説明及びヒアリングの実施 市町村防災担当課長会議等において全市町村を対象に、新システムの概要及び市町村防災行政無線の整備の重要性を説明するとともに、未整備市町村を対象にヒアリングを実施し市町村長等への説明・整備着手依頼を行うことにより、市町村の整備を促進しました。 (3) 整備予定市町村への指導 整備予定市町村に対して、整備内容や整備スケジュール等について協議・指導を行い、市町村の整備着手を促進しました。 5.開発による効果及び評価 (1) 整備促進を実現 従来の市町村防災行政無線は、年に1~2市町村の整備ペースであったが、「ふくお かコミュニティ無線」の開発により、飛躍的な整備促進を実現しました。 ・(参考)総務省電波利用ホームページ 市町村防災無線等整備状況 (2) 全国の市町村防災行政無線の価格を低廉化 本システムの開発により、財政状況の厳しい市町村への導入を可能にしただけでな く、低価格なシステムの出現により、従来システムの見積価格も低下する傾向が見ら れ、全国の市町村防災行政無線の整備促進に貢献。 (3) 全国の安全・安心なまちづくりに貢献 本システムは、マスコミ、国主催の会議等において全国に紹介され、他県の市町村 でも導入が開始されるなど、その反響は大きく対外的にも高い評価を受けています。 ・ 総務省九州総合通信局長より、電波の日「記念表彰」を受賞。 ・ 防災まちづくり大賞 防災情報部門 総務大臣賞を受賞。 ・ 地方自治法施行60周年記念総務大臣賞を受賞。 ![]() |
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本件問合先 | 総務部防災危機管理局防災企画課 |
092-643-3114 | |
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