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タイトル 環境にも優しいくまもと型伝統構法を用いた木造建築物の普及
施策・事業名称 くまもと型伝統構法を用いた木造建築物の普及
都道府県名 熊本県
分野 環境
農林水産
地域振興・まちづくり
その他
事業実施期間 令和2年2月1日~
施策のポイント ・くまもと型伝統構法を用いた木造建築物設計指針策定【全国初】
・熊本県版「気候風土適応住宅」の適用
・指針解説講習会、作業工程見学会、住宅見学会の実施
・くまもと型伝統構法による住宅再建プランの策定
内容 【背景】

全国有数の林産県である熊本県は、県立球磨工業高校伝統建築コースに代表されるように伝統木造建築物の教育環境が整い、伝統構法の専門家も多数活躍されている。
また、熊本県は、令和元年12月に国に先駆け「2050年県内CO2排出実質ゼロ」を目指すことを宣言しており、住宅・建築物においても、更なる省エネルギー化や脱炭素化に向けた取組の一層の充実・強化が不可欠となっている。
このため、伝統木造建築物の普及推進は重要な施策と考えている。

建築基準法では、一定の性能を満たした場合、多様な構造方法が選択できるため、伝統構法による木造建築物の設計も可能であるが、伝統木造建築物の設計には高度な構造計算を要し、普及しにくい状況となっていることから、熊本県では「くまもと型伝統構法を用いた木造建築物設計指針・同解説」を策定し、「くまもと型伝統構法」の普及に向けた取組みを推進している。



【取組内容】

1.「くまもと型伝統構法を用いた木造建築物設計指針・同解説」策定【全国初】

県内の伝統木造建築物の専門家から簡易な構造計算の手法が欲しいとの意見を受け、県内の産学官で連携し、平成28年度から4年間をかけて検討を重ね、令和2年2月に「くまもと型伝統構法を用いた木造建築物設計指針」を全国に先駆けて策定。
この指針により、計画の自由度を高めながらも、簡易な構造計算で設計できることから、県内において伝統木造建築物の普及が期待される。

◎ポイント
・ 当設計指針では、構造計算を簡略化し、実務者が使いやすいよう配慮した。
・ 建築確認申請の際、限界耐力計算を行った場合は、構造計算適合性判定((一財)熊本建築構造評価センター)が必要となるが、当指針に基づき設計した場合は、従来の約半額の手数料(42,000円)で審査を受けることができる。


2.熊本県版「気候風土適応住宅」の適用について

気候・風土の特殊性を踏まえ、自治体が独自に省エネ基準を強化できる仕組み「気候風土適応住宅」が導入されることとなり、令和2年12月に独自基準を全国に先駆けて策定。
伝統構法を推進する場合、建築物省エネ法の外皮基準に適合させることが課題となるが、「気候風土適応住宅」は、外皮基準が適用除外となり、かつ、一次エネルギー基準が合理化されることから、熊本県版気候風土適応住宅に該当する要件を満たせば、くまもと型伝統構法を用いた木造建築物にも適用が可能となっている。


3.指針解説講習会、作業工程見学会、住宅見学会の実施
令和2年度から、講習会や現場見学会等を開催し、県内外から多くの方が参加された。令和3年度にはくまもと型設計法を用いたた第1号の建築物が完成。

(1)「くまもと型伝統構法を用いた木造建築物設計指針・同解説」講習会【導入編】
開催実績:3回 、参加者数:236人

(2)「くまもと型伝統構法を用いた木造建築物設計指針・同解説」講習会【実践編】
開催実績:3回 、参加者数:41人

(3)「くまもと型伝統構法を用いた木造建築物設計指針・同解説」講習会【くまもと型伝統構法構造設計入門】
開催実績:5回(うちDVD講習4回) 、参加者数:43人

(4)くまもと型伝統構法を用いた木造建築物作業工程見学会
開催実績:3回 、参加者数:30人
(内容)
手刻み(伝統的な継手仕口)の作業状況の見学、くまもと型伝統構法の紹介、
伝統的な継手仕口で施工している現場の見学、土壁の施工状況の見学

(5)伝統木造構法の住宅見学会
施工中の現場見学会(参加者:報道関係者5社)
完成見学会(参加者:報道関係者5社、設計者16組24名、一般131組400名)

(6)県内高校生を対象にしたくまもと型伝統構法等に関する現場研修
開催実績:3回 、参加者:県立球磨工業高校建築科1年生38名・2年生39名、県立小川工業高校建築科1年生27名

(7)「くまもと型伝統構法を用いた木造建築物」第1号完成見学会
参加者:建築関係者・一般47組100名


4.くまもと型伝統構法による住宅再建プランの策定
令和2年7月豪雨の被災者の住宅再建を支援するため、被災地の建築士や工務店と連携し、「くまもと型伝統構法による住宅再建プラン」を令和3年3月に策定。



【期待される効果】

1.技術の継承
・木材をふんだんに使用するため、伝統木造技術の継承が見込まれる。

2.地域産業の活性化
・県産材の利用を原則とするため、地産地消による地域産業の活性化が見込まれる。

3.脱炭素社会の実現
・県産材の利用を原則とするため、県内調達が可能である。また、木材の加工は手刻みで行うため、輸送時や製造時のCO2排出量削減につながる。
・木材を使用するため、生長時に吸収したCO2を蓄えて、大気中に戻さない炭素貯蔵効果がある。
・自然素材を利用するため、建て替えを行う際に再利用が可能であり、産業廃棄物の発生が少なくなる。
・床下を開放した石場立て基礎の造りにより、床下の通風が良いため、シロアリが付きにくく、建物の長寿命化につながる。
関連
ホームページ
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/115/51276.html
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/115/97320.html
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/115/89430.html
本件問合先 建築課
096-333-2534
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