平成28年08月 達増拓也岩手県知事

「復興」と「ふるさと振興」で希望郷いわての実現を

   この度の熊本地震で犠牲になられた方に対し、心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての皆様に心からお見舞い申し上げます。

   東日本大震災津波の発生から5年が経ちました。これまでの国内外の皆様からいただいた心温まる御支援や励ましに、改めて御礼を申し上げます。

  岩手県では、多くの方々の協力を得ながら、防潮堤の整備、災害公営住宅の建設、水産加工業の再建など、多岐にわたる復興事業を推進しています。各都道府県には、復興の中核を担う多くの職員を派遣して頂いており重ねて御礼申し上げます。

 

   震災から6年目になる今年度は、県が本格復興期間と位置付けた最終年度として、漁港災害復旧施設、災害公営住宅、県立病院などの社会資本の整備を加速し、平成29年度から始まる第3期復興実施計画に円滑に橋渡しすることとしています。

   一方で、本県では、約1万8千人の方々が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされています。ハードの整備とあわせ、体と心の健康や将来への不安などの被災者一人ひとりが抱える課題に寄り添っていかなければなりません。復興から更なる展開に向けた道のりは続きますが、「地元の底力」と「様々なつながりの力」を復興の力に変えることにより、復興を必ず成し遂げるべく全力を尽くしていきます。

 

   今年は復興のシンボルとなる「希望郷いわて国体」と全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」を開催します。「広げよう、感動。伝えよう、感謝。」をスローガンに、復興支援への感謝の想いを込め、全国から集まる方々を130万人県民全員で盛大にお迎えします。また、およそ半世紀ぶりとなる2巡目国体では、スポーツの枠を越えた文化・芸術などの新機軸を加えた新たな国体として展開することにより、地方が主役の2020オリンピック・パラリンピック競技大会の新たなモデルとなる人的・文化的な相互交流を目指していきます。

   さらに今年度は、地方創生に向け、昨年度策定した地方版総合戦略を実行に移す年でもあります。岩手県では、地方創生を「ふるさと振興」と名付け、人口減少を引き起こす様々な「生きにくさ」を「生きやすさ」に転換し、「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」の3本柱で新たな人の流れを生み出す取組を積極的に展開していきます。

 

   これらの取組には、若者・女性の活躍が重要です。若者の生活を支える仕事の創出や子育てのステージに応じた施策の展開のほか、若者はもとより、幅広い世代を結びつける「いわて若者文化祭」の開催などを進めていきます。

    こうした取組のほか、東北地域に大きな波及効果をもたらす世界最先端の素粒子実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」の実現については、オール東北で連携しながら取り組み、東北の再生と持続的発展につなげていきます。

 

   今後も、新しい岩手の創生に向け、県民と一体となった取組を進め、「希望郷いわて」を実現して参ります。