平成30年10月 川勝 平太 静岡県知事
富国有徳の『美しい“ふじのくに”』に向けて
本年は、明治維新から150年の節目の年です。明年には、平成の
世も改まります。人口減少や高齢化など、立ちはだかる大きな課
題の克服はもとより、中央集権の「東京時代」を総括し、新たに
地域自立の「ポスト東京時代」を拓く時を迎えています。
本県では、平成25年6月の富士山の世界遺産登録を皮切りに、
南アルプス(ユネスコエコパーク)、静岡の茶草場農法・静岡水
わさびの伝統栽培(2つの世界農業遺産)、韮山反射炉(世界文
化遺産)、駿河湾(世界で最も美しい湾クラブ)、伊豆半島(ユ
ネスコ世界ジオパーク)などの地域資源が、次々と世界的評価を得ています。
また、ラグビーワールドカップ2019(エコパスタジアム(袋井市))、東京2020オリンピック・パラリンピックの自転車競技(日本サイクルスポーツセンター(伊豆市)、富士スピードウェイ(小山町))と、世界的なスポーツイベントが立て続けに本県で開催されるなど、本県はまさに世界の檜舞台に立ちつつあります。
本年3月、静岡県では、こうした課題・潮流をしっかりと踏まえ、新しい10年に向け、「世界から見た“ふじのくに”」という視点に立って、さらに魅力ある地域づくりを進めるため、「静岡県の新ビジョン 富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくり」を策定しました。
新ビジョンが目指しているのは、居心地がよく、誰もが努力すれば人生の夢を実現し、幸せを実感できる地域社会の実現です。新ビジョンの初年度である本年度は、「安全・安心な地域づくり」「未来を担う有徳の人づくり」「豊かな暮らしの実現」「魅力の発信と交流の拡大」に向けて、スタートダッシュの姿勢で、県政運営に取り組んでいます。
こうした中、昨年12月、世界の宝である富士山を後世に守り伝える拠点として「静岡県富士山世界遺産センター」(富士宮市)が開館しました。「逆さ富士」とも形容される独創的な建物や富士登山を疑似体験しながら富士山について学べる魅力ある展示など、多くの皆様の注目を集め、開館から6か月を経過した時点で30万人を超える方々にお越しいただいています。
また、本年3月には、日本一の大茶園である牧之原台地に、「茶の都しずおか」の拠点施設「ふじのくに茶の都ミュージアム」(島田市)もオープンし、多くの来場者で賑わっています。
世界的評価を受けている地域資源、美しい自然、豊かな食材に恵まれている“ふじのくに”静岡県は、「日本の歴史の縮図」「文化の宝庫」「海と山の風景の画廊」で、県全体が「回遊式庭園」に見立てられます。「美しい“ふじのくに”」に是非お越しください。
<静岡県富士山世界遺産センター>
撮影「平井広行」
<エコパスタジアム>