山梨県立美術館にミレー館がオープン

 「ミレーの美術館」として親しまれきた山梨県立美術館が、昨年11月に開館30周年を迎えました。
? これを記念して本館2階の常設展示室をリニューアルし、ミレーやバルビゾン派の作品を展示する「ミレー館」として、この1月6日にオープンしました。
 県立美術館では、開館当初から農業が盛んな山梨県の風土と調和するミレーやバルビゾン派の作品を収集の柱とし、30年の歩みの中でそのコレクションを充実させてきました。その結果、現在では《種をまく人》《落ち穂拾い、夏》といった世界屈指のミレーの名作を始め、約120点の作品を収蔵するまでに至っています。
 ミレー館では、これらの作品とともに、新たに購入したミレーの《眠れるお針子》、ジュール・ブルトンの《朝》、ジュール・デュプレの《海景》、アンリ=ジョセフ・アルピニーの《陽のあたる道》の4作品を公開しています。
 中でも目玉は、ミレーの油彩画コレクション10点目となる《眠れるお針子》です。この作品は2番目の妻をモデルにしたと言われており、ミレーが晩年まで繰り返し描き続けた「お針子」という画題の中の初期の秀作です。初期作品が充実したことで、油彩画を通してミレーの生涯をより詳しくたどっていただくことができるようになりました。
 また、展示方法でも、時代背景を当時の写真やパネルでわかりやすく解説したり、作品のキャプションを見やすいデザインにするなど、作品への理解をより深めていただけるように工夫を凝らしています。
 さらに、視覚に障害がある方も手で触れて作品を鑑賞できる「手で見るミレー」を常設展示するなど、だれもが芸術を楽しめる美術館を目指しています。
 30周年を機に、より魅力的に生まれ変わった県立美術館で、「ミレーの世界」を堪能してください。

【お問い合わせ】
山梨県立美術館
電話番号 055-228-3322

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ジャン=フランソワ・ミレー《眠れるお針子》油彩・麻布 1844~45年 45.7×38.1センチメートル