石川の「里山里海」を世界へ発信!

 石川県は、県土の約6割が里山にあたるほか、住民の暮らしと密接につながり、支えてくれる里海にも恵まれています。これら身近な自然である里山里海を未来に継承するために、生物多様性を保全する独自の取組みを進めています。

「APFED」で石川の里山里海をアピール

 今年8月、アジア太平洋地域の有識者が集い、生物多様性などについて議論する環境省主催の国際会議「アジア太平洋環境開発フォーラム(通称APFED)」が七尾市で開催されました。APFEDの本会合では、谷本知事が特別講演を行い、本県の里山里海の素晴らしさや、その保全、再生に向けた取組みを世界に発信しました。また、この機会を生かして、県民向けに環境国際シンポジウムを開催し、APFED議長の川口順子さんらを招いたトーク・セッションなどを通じて、生物多様性を保全することの重要性について、県民に理解を深めていただきました。

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右から国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長
あん・まくどなるどさん、女優 若村麻由美さん、APFED議長 川口順子元環境大臣

「先駆的里山保全地区」を選定

 里山里海は、人が適度に手を入れること自体がその保全につながることから、地域で暮らす住民の取組みが何より重要です。このため、地域住民が里山里海の利用・保全に意欲的に取り組んでいる地域のうち、7地区を「先駆的里山保全地区」として選定し、住民による検討会や専門家を招いた勉強会などの自発的な取組みを支援することにしています。

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珠洲市若山町上黒丸地区

「いしかわ自然学校」で多彩なプログラム提供

 県民が自然体験を通じて、里山里海について学ぶ「いしかわ自然学校」は、発足9年目を迎えました。同校は行政とNPOや民間事業者が協働し、県内各地の施設を活用して多彩なプログラムを提供するネットワーク型の自然学校であり、遊歩道の整備といった里山保全の体験、森や海辺の生き物調査など、年間400を超えるプログラムに、25,000人以上の方々が参加し、楽しみながら自然の大切さを学んでいます。
 また、10月を「里山里海活動月間」として、県民参加型の「いしかわ里山里海フェア」を開催し、里山の魅力や保全再生の大切さを広く県民に呼びかけていくこととしています。

「いしかわ森林環境税」を活用

 森林整備については、2007年に創設した「いしかわ森林環境税」を活用し、手入れ不足で荒廃している人工林について、間伐する本数を倍増させることにより、林の中に光を入れて下草や広葉樹の育成を促し、本来、森林が持つ公益的機能を回復させるとともに、多様な生態系の確保にも努めています。
 また農業では、農地の区画整理や農道、水路の整備に当たり、生物多様性に配慮しているほか、生き物の生息地として、農地の周辺に、住民の手づくりによって、ビオトープを整備するなどの取組みも行っています。
 来年2010年は、国連において「生物多様性年」と位置付けられており、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されます。
 本県では、この2010年を当面の目標とし、部局横断のプロジェクトチームを結成し、里山里海を中心とした「生物多様性戦略ビジョン」の策定を始め、各種調査やモデル事業、里山の資源を活用した産業創出など幅広い取組みを積み重ね、COP10の場において、世界へ発信したいと考えています。