プログラミング言語「Ruby(るびー)」の国際会議を開催

 島根県では、IT産業の振興に力を入れています。中でも島根県松江市に在住するまつもとゆきひろさんが開発しているプログラミング言語「Ruby」に着眼したさまざまな施策に取り組んでいます。
 今年初めに、まつもとさんが理事長を務める「合同会社Ruby アソシエーション」が、国内初となるRubyの国際会議を県内にて開催することを関係機関に提案しました。協議の結果、Ruby アソシエーションを始め、島根県、松江市、島根大学、松江高専、しまねOSS協議会など県内産学官によって開催実行委員会を設立し、情報処理推進機構(IPA)との共催により、9月7日、8日に「Ruby World Conference」を開催しました。
 この会議では、優れた性能と特長で国際的に高く評価されているRubyに関する最新技術の情報や、言語仕様の国際標準化の動向、先進的な活用事例などを紹介するさまざまなセッションを通じて、Rubyがより普及・発展していくことを目指しました。国内外から28名の講演者を招聘し、来場者数は県外のビジネス関係者、研究者を中心に2日間で延べ1,100名を数え、あらためてRuby 、島根への関心の高さを示しました。
 オープニング・セレモニーで、溝口善兵衛島根県知事は、「松江は自然豊かでIT産業のようなクリエイティブな仕事を行うのに最適な場所です。松江をRubyのメッカにしたいと考えています」と産業振興への意気込みを語りました。
 初日の基調講演では、XMLなどのWeb関連技術の仕様策定に深くかかわったサン・マイクロシステムズ社のティム・ブレイさんが、「Rubyの生産性の高さと今後の応用範囲の拡がり」に言及されました。また、2日目の基調講演では、まつもとゆきひろさんが「未来へのRuby」と題して、「ソフトウェア開発に人間性を取り戻すことが重要で、Rubyがそれを可能にする」と講演しました。
 初日の午後は、IPAの提供により「Ruby国際標準化」に向けた講演、パネルディスカッションが行われ、各講演者からは「国際標準化はビジネス利用を広げる契機になる」との意見が上がりました。そのほか、国内外のRubyの技術者、企業、教育関係者が講演し、Rubyのさらなる普及・発展に向けて活発に議論がなされました。
 2日間の国際会議は、Rubyのビジネス利用の世界的な拡がりを感じさせるのに十分な内容でした。島根県では、この国際会議を契機に、Rubyを島根の強みとして生かせるよう、人材育成、研究開発など県内企業の主体的な活動を支援し、IT産業の人材・技術力・企業の三つの集積を図っていきたいと考えています。

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