ワインや煮貝、鳥もつ煮に続く新たな山梨県産加工品の開発始まる

 山梨県特産の果樹や野菜の多くは、主に生食用として出荷されています。このため、日本一の生産量を誇るブドウ、モモ、スモモも夏の数ヵ月間だけで販売している状況です。こうした中、県内農家の経営は、農産物価格の低下や資材価格の上昇などにより、厳しい状況が続いています。経営を安定させるには、年間を通じて、市場での県産農産物の流通量を増やしていくことが必要です。そのために旬の時期以外にも、召し上がっていただける県産農産物加工品の開発に取り組むこととしました。
 そこで、全国各地で加工品開発を成功に導いてきた東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生を山梨県農政アドバイザーに委嘱し、昨年12月は甲府市で、去る2月9日には富士吉田市において、小泉先生を招き、農家や食品加工会社などを対象に「農と食のコラボレーション講座」を開催しました。
 この講座では、小泉先生が県内各地の加工品を試食しました。その上で、ブドウのケチャップ、肉料理に使えるモモのペーストの生産や、長さが80㎝ にもなる市川三郷町(いちかわみさとちょう)特産の大塚(おおつか)ニンジンを乳酸菌で発酵させ、酸味をつけたジュースにすることを助言。ブドウのデラウエア種を原料として製造されたスパークリングワインには、一瞬で名前を覚えてもらえるようにと「ほほえみの滴(しずく)」という名前が提案されました。
 また、小泉先生は「就農人口の減少は農業収入が低いことが原因」「意識改革で、ほかと違うことをやれば、収入は上がる」と指摘。売れる商品の原則として、「『なぜ、この町でこの商品なのか』という理論武装をすること」の必要性を説かれました。
 今後、県では小泉先生の豊富な経験を生かし、ワインや煮貝、鳥もつ煮に続く新たな山梨を代表する農産物加工品の開発に取り組んでいきます。

お問い合わせ
山梨県農政部農業技術課
電話番号 055-223-1616

出品者から説明を受ける小泉先生(右から二人目)左端は横内知事