小惑星探査機「はやぶさ」のカプセル展示とサイエンス教育
昨年6月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」が、60億キロメートルという想像もつかない長い旅を終えて地球に帰還しました。
この「はやぶさ」の模型や、小惑星「イトカワ」の物質を地球に持ち帰ったカプセルの実物などを、1月8日から5日間、福井市内で展示したところ、22,000人を超える方々にご来場いただきました。特に注目を集めたのは、大気圏再突入の際に、高熱からカプセルを守り続けた背面ヒートシールドの実物で、焼け焦げた姿は多くの来場者を感動させていました。
また、「はやぶさ」に搭載されていたアンテナなど、宇宙開発を支える福井の技術も紹介。見学者からは地元福井の高い技術力にも感嘆の声が上がっていました。
子どもの学力・体力ともに全国トップクラスである福井県では、数々の困難を乗り越え地球に戻ってきた「はやぶさ」を県内の子どもたちに紹介することで、何事にも挑戦し、最後まであきらめないことの大切さを学んでほしいと考え、昨年秋、「はやぶさ」の展示をJ AXAに応募し、今回の展示が実現しました。
最近、学生の「理数ばなれ」がよく言われています。県では、福井出身の南部陽一郎博士がノーベル物理学賞を受賞した際に創設した「南部陽一郎記念ふくいサイエンス賞」や、「ふくい理数グランプリ」など、独自の理数系コンテストを行って、優秀な生徒を表彰しています。
さらに、科学に対する児童・生徒の興味を高めてもらおうと、小学校での観察実験を充実させるために「理科支援員」を配置しているほか、放課後や休日などに公民館や児童館などで小・中学生が楽しく科学実験を体験する「ふくいサイエンス寺子屋」なども開催しています。
また、この「はやぶさ」のカプセル展示にあわせ、1月9日には高校生を対象とした「スーパーサイエンスフォーラム」を開催。今回はJAXAの協力の下、地球観測衛星「だいち」が撮影した「福井県周辺の画像データ」を使った画像解析の実習や、はやぶさと福井県のサイエンス教育に関するパネルトークなどが行われました。
参加した高校生からは、「科学の道に進学したい」「宇宙技術に携わる人間になりたい」など、将来の科学者として『有望』な感想を聞くことができました。
福井県では今後も独自のサイエンス教育を通じて、子どもたちの「挑戦力」を育てる教育を進めていきます。