次世代スーパーコンピュータの利活用に向けて
京速コンピュータ「京」への期待
国家基幹技術の一つとして、神戸のポートアイランドで整備が進められている京速(けいそく)コンピュータ※「京けい」(次世代スーパーコンピュータ)は、今年3月末から一部が稼働し、平成24年度に共用を開始します。従来では困難とされてきた気象、温暖化、災害などの複雑な事象の解析や、医薬品、半導体材料、自動車などの研究開発期間の大幅な短縮が可能になります。また、SPring-8やX線自由電子レーザー等の県内の先端的研究施設との連携により、ナノ分野での新産業・新技術の創出につながり、生活に関係する多くの分野での飛躍的な進歩が期待されます。
※ 京速コンピュータ...1秒間に1京(10の16乗)回の計算性能をもつ
スパコンの産業利用を推進する「高度計算科学研究支援センター」を開設
「京」の共用開始に先立ち、兵庫県では、神戸市、神戸商工会議所とともに財団法人計算科学振興財団(略称FOCUS)を設立しました。4月には、「京」の施設の隣接地に、FOCUSが運営する高度計算科学研究支援センターを開設し、スパコンの産業利用の促進や高度シミュレーション技術の産業界への普及を図ります。
支援センターでは、企業のシミュレーション技術を高度化するため、独自に汎用性の高い高性能スパコンを整備し、4月から企業や産学共同研究の利用に提供します。また、企業からの技術的な相談に対応するとともに、研究者の紹介などの人的支援や設備面での支援を行います。さらに、神戸大学と連携して、企業におけるシミュレーション技術者の養成のための教育カリキュラムを開発するほか、スパコンを利用した研究成果や産業界での先進事例を紹介するセミナーを開催します。
県立大学にシミュレーション学研究科を設置
兵庫県立大学では、「シミュレーション学研究科」を4月から開設します。
データ処理、アルゴリズム(問題を解くための効率的手順)、プログラミングなど、シミュレーションの基本的技法を学んだ後、実際の課題に応用するため、公共政策(地域医療・福祉など)、産業技術(製品製造、生産システムなど)、自然災害(地震・豪雨災害)の三つの専門分野に分かれて学ぶことにより、シミュレーションの考え方・技法を活用して、社会の諸課題の解決に貢献できる実践能力の高い研究者・技術者を育成します。
「京」を中核とする世界最高水準の研究教育拠点を形成し、産業界や教育研究の場において高度シミュレーション技術を活用することで、世界に通用する競争力をもった産業立県ひょうごを目指します。
お問い合わせ
兵庫県新産業課科学振興室
電話番号 078-362-4232
兵庫県教育課大学室
電話番号 078-891-7415
(施設イメージは、「理化学研究所」からの提供資料)