和歌山県薬物の濫用防止に関する条例を制定~脱法ハーブの濫用の根絶を目指して~
はじめに
昨今、脱法ハーブを吸引し救急搬送される事例や車を暴走させ交通事故を起こす事例などが全国各地で相次いで発生し、深刻な社会問題となっています。当県でも同様に健康被害の事例が確認されています。
脱法ハーブは、主に薬事法の指定薬物として規制されますが、その指定には相当の期間が必要となり、この間、脱法ハーブは合法な物として堂々と販売されている実態があります。そこで、当県としては、県民の健康を害し、安穏な県民の社会生活を著しく阻害する恐れのある脱法ハーブをこのまま放置できないと考え、「和歌山県薬物の濫用防止に関する条例」を制定し、独自の規制を行うことにしました。
当県独自の規制―知事監視製品制度―
脱法ハーブは、身体に使うものとしてではなく、「お香」などと称して販売されるのが特徴です。反面、インターネットの使用体験談などには、興奮や陶酔など身体への作用が紹介されているため、脱法ハーブを購入しようとする人は、このような間接的な情報を基に購入していることが考えられます。よって、このような製品を、知事監視製品として指定し、規制することを考えました。つまり、「お香」と称するのであれば、お香として販売し、使用することを販売者と購入者の両者に徹底しようというものです。まず、販売者には、お香としての使用説明書を作り、購入者に交付し、身体に使うものではないことをきちんと説明してもらいます。しかし、それを購入した人が、身体に使ってしまった、となると困りますので、購入者には、身体に使用しないという誓約書を販売者に提出し、その誓約内容を遵守してもらうことにしました。また、脱法ハーブは県内の店舗だけでなく、インターネットなどでも販売されています。さらに県外の店舗で購入する人もいるはずです。このような場合、購入者は県に誓約書を提出していただく仕組みにしました。このような規制と共に、違反者への罰則を設定し、知事監視製品の身体使用を防止しようというものです。
知事指定薬物制度
さらに、身体に有害であることが確認されたものを知事指定薬物として指定し、その製造や販売などを禁止する制度を設けました。薬事法の指定薬物とほぼ同じスキームで規制するものですが、より迅速な規制を目的とするものです。また、知事指定薬物や薬事法の指定薬物を正当な理由なく所持する場合には、その薬物を廃棄していただく義務を課すことにしました。また、知事監視製品の場合と同様、違反者への罰則を設定しています。
おわりに
脱法ハーブの乱用による健康被害が発生することなく、ましてや何ら関係のない第三者にまで危害が及ぶことがない安全安心な社会を実現することが県の責務であると強く認識し、今般制定した条例や国の法令を最大限に活用し、脱法ハーブによる被害の根絶に向けて徹底した取組に努めていきたいと考えています。