素朴で、懐かしい...田名部まつり

 「田名部まつり」は、例年8月18日から20日までの三日間で行われる夏祭りです。むつ市田名部は南部藩の代官所が置かれた下北の産業・経済・文化の中心地であり、北前船の往来により水運で栄えたのが田名部の町でした。上方に向けてはヒバ、アワビ、ナマコ、コンブが出荷され、諸国からは物と一緒に文化がもたらされ、その影響を受けたものの一つが「田名部まつり」です。祭りに使われる山車は祇園祭りのそれに近く、「北の雅」などと形容されることが多い祭りです。
 田名部神社の例大祭である「田名部まつり」の主役の一つは「ヤマ」と呼ばれる木製・黒漆塗りの山車。装飾はそれぞれに異なり、昼夜で飾りを替えるのが特徴で、昼は刺繍を施した大小の水引幕・見送り幕で飾られ、夜は地元の描き手によって描かれた「額」と呼ばれる絵灯籠に付け替えられ、明かりが灯されます。昼の重厚な山車と夜の絢爛な山車の対比も見所です。
 「田名部まつり」のクライマックスは20日の深夜に繰り広げられる「五車別れ」。全ての行事を終え、それぞれの町に帰る5台の山車が別れを惜しみ、田名部神社付近の十字路に集まります。地酒で鏡開きを行い、祭りの無事を喜び、来年の再会を期して盃を交わすと、振る舞い酒を求める人でごった返す通りには、五車が打ち鳴らす囃子が共鳴し、祭りの興奮があふれます。深夜零時を過ぎた頃、5台の山車はそれぞれの町に出発します。順番に出発する山車を残った人々が提灯を振りながら見送る様子には北国の祭り独特の哀愁が漂い、とても風情があります。
 観光化していない素朴な祭りですが、見ていると心から懐かしさを感じる祭りです。

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下北観光協議会
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田名部まつり