和歌山県庁本館が登録文化財に

 この度、和歌山県庁本館が国登録有形文化財として登録されることになりました。この県庁本館は昭和13年に建築され、以降和歌山大空襲や戦後の復興発展を見守り続け、75年の長きにわたり県民に親しまれた和歌山県を代表する近代洋風建築です。
 庁舎は平成22年度末に耐震補強を中心とする改修工事が完成し、巨大地震にも耐える建築となりましたが、淡黄色タイル張りのモダンな外観を始め、正面玄関・階段室、正庁、知事室、県議会議場などは完成時の姿をよく遺し、歴史的建造物としても高く評価されています。
 特に知事室は、チーク材の腰壁と大きな暖炉を備え、風格ある空間となっており、戦後まもなく昭和天皇が和歌山県を訪問された際には、この部屋に宿泊されたこともありました。当然のことながら、知事室は面談や協議の場として、今も現役で使われています。
 鉄筋コンクリート造4階建て、議場部分のみは鉄骨鉄筋コンクリート造のこの庁舎の設計は、県技師となった増田八郎が担当しました。富山県庁舎と外観がよく似ていることが指摘されていますが、当時和歌山県では設計に当たって堅牢であることを第一とし、外観は新奇を求めず、設計者増田の前作品である富山と類似の形式でもよいとしたためです。
 現役の都道府県庁舎で登録されているのは、神奈川県、静岡県、愛知県の各庁舎があり、本県庁舎の登録は4番目に当たります。
 和歌山県は海山の自然が豊かであるばかりではなく、多くの歴史的文化的拠点を擁し文化遺産に恵まれた県です。文化遺産は地域の魅力を高めるために不可欠なものであり、今後も文化財指定や登録を一層進め、癒しと感動を与える、誇れる郷土和歌山を目指してまいります。

和歌山県庁本館が登録文化財