平成30年11月 中村 法道 長崎県知事

 中村長崎県知事本年発生した平成30年7月豪雨や平成30年北海道胆振東部地震等の自然災害により、犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さまに対し心からお見舞いを申し上げます。

 

 

 

壱岐・筒城浜

 さて、長崎県は、豊かな海に囲まれた美しい
多くの離島を有し、また、古くから海外と盛ん
に交流が行われ、中でも長崎の出島は鎖国時代、
西欧に開かれた我が国唯一の窓口であったこと
から、ヨーロッパや中国などの影響を受けた、
独特の文化や歴史を育んでまいりました。

 

                                                                                                                                                                                                       

 ▲壱 岐 ・ 筒 城 浜                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

登録が決定し、各国からの祝福に応える中村知事(写真中央)  今年7月には、そうした本県が誇る歴史のひ
 とつであり、これまで地域の宝として大切にし
 てきた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連
 遺産」が世界文化遺産に登録されました。バー
 レーンで開催された世界遺産委員会の審議では、
 各国の委員から、「異なる国、異なる宗教を信
 仰するコミュニティ間の友好関係を示す貴重な
 遺産である」など、登録を祝う惜しみない賛辞
 の言葉が贈られ、満場一致で登録が決定したと
 ころです。世界遺産にふさわしいとの価値を認
 ▲登録が決定し、各国からの祝福に    めていただいたことはもちろん、あわせて、こ
 応える中村知事(写真中央)                    れまでの地元関係者の努力についても称賛の言
                                                                 葉をいただき、本当に嬉しく思いました。

 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、キリスト教禁教令下の宣教師不在の中、日本の伝統的宗教や一般社会と関わりながら信仰を続けた潜伏キリシタンの伝統の証しとなる遺産群で、長崎県と熊本県の半島部や島嶼部に点在する12の資産で構成されています。

 構成資産の多くが人口減少や高齢化の進む離小値賀町・野崎島の集落跡(写真/日暮雄一)
島・半島に所在している集落であることから、
地域コミュニティを守り、その営みを継続させ
て資産の保護に結びつけていかなければならな
いと考えています。

 

 

小値賀町・野崎島の集落跡(写真/日暮雄一)▲

長崎市・端島(軍艦島) また、それらの集落は、祈りの場である教会を中心として地域の皆様の生活が現に営まれている場所でもありますので、生活と観光の調和を図れるよう、訪れた方々には、厳粛な雰囲気の中で、信仰を守ってきた歴史に直接触れていただきたいと考えております。そして、このかけがえのない遺産を将来の世代に継承し、さらなる地域の活性化や交流人口の拡大につなげていきたいと思っております。

 

 ▲長崎市・端島(軍艦島)

 また、本県では、平成27年に、端島炭坑(通称「軍艦島」)や旧グラバー住宅などを構成資産とする「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録され、多くの観光客に訪れていただいています。
このたびの「潜伏キリシタン関連遺産」の登録により、長崎市は異なる2つのテーマの世界遺産が共存する街となりました。複数の世界遺産を持つ都道府県はありますが、市町村単位で2つの世界遺産が共存する地域は、全国でも例がありません。 

 どちらの世界遺産も長崎から始まった物語の大村市・日本初のキリシタン大名・大村純忠
1ページであり、その背景には、古代より日本
と大陸の架け橋として栄え、江戸時代には日本
で唯一西洋に開かれた窓口として、異国の文化
を受け入れながら、多くの人と交流してきた長
崎の歴史があります。
 県内各地には、その交流の歴史を物語る文化
財などが、世界遺産以外にも数多く残されてい
ますので、今回の登録をきっかけに、是非、多
くの方に来県していただき、本県の魅力を実感
していただけるよう願っております。

▲大村市・日本初のキリシタン大名・
大村純忠ゆかりの地