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タイトル | めざせ!ナンバーワン防災ヘリ119M |
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施策・事業名称 | 防災ヘリコプター更新事業 |
都道府県名 | 三重県 |
分野 |
行財政改革 防災・危機管理 |
事業実施期間 | 平成27年4月1日~平成29年3月31日 |
施策のポイント |
県民の命と財産を空から守る防災ヘリコプターの更新は、多額の予算を要することと併せて特殊性が高い事から専門知識を有しない行政職員には非常に負担が多い事業とされていた。 そこで、三重県では担当する職員が航空隊員や機長、整備長等派遣職員等から広く意見を募り、機体整備に必要な知識やノウハウを反映し、より安全で機能的な機体となるよう整備を進めた。この結果、新たな機体に直接・間接に関係する県、市町、民間等の関係者が一体となって整備に取り組んだ結果、商社が中心となり整備を行うことが常道とされるヘリコプター市場の常識を破る機体を整備することができた。 三重が手に入れた機体は (1)更新費用の節減(機体関連物品の調達方法の見直し) (2)安全性の向上(随所に取り入れた日本初、世界初の安全装備) (3)維持費の節減と修理に要する運休時間短縮(故障時に備える保証制度の採用) 等、いままで自治体ヘリコプターにはない新たな仕組みや取り組みにより、安全でランニングコストが安い機体を整備した。 |
内容 |
<現状や課題、設定した目標> 自治体が調達するヘリコプターは、国内商社への一括発注で機体、部品、工具をセット購入する事が常態化していた。本県もほぼその方式で調達する準備を進めていたが、更新の機体入札を行う3月前、まさかの担当者退職の事態となる。 後任の担当者はヘリコプターの知識もない素人。サポートする防災総務の担当者も高額な物品の購入には縁がない。素人ゆえに商社主導のこの業界で調達の常識を破り、その結果は、他の自治体ヘリとは全く異なる安全性とメンテナンスコストの削減を手に入れる事ができた。 目標にした合言葉は、「日本一の機体」「日本一の安全性」。商社に任せない素人の視点こそ、日本一の防災ヘリ調達を叶える絶好の契機となった。 <取組の検討プロセス、改善点等> 担当者の異動から機体の調達まで3か月、WTOの公告まで2週間。仕様書の内容や調達方法を検討する時間が無い。さらに、参考にしてきた他県は、入札の公告後に商社からの不服申し立てにより、入札公告の取り下げ・仕様の見直しが必要となった。 引継で受けた内容で公告すれば、ほぼ確実に同じ状況となる、まさに「背水の陣」の状況であった。 この事態に対し、3人が相談して思いついた方策は、工程を5つに分け、時間を稼ぎながら可能な限り基本に返り、調達することだった。 1 まずは機体を決める。コンセプトはシンプル。 オプションには目を向けない。機体本来の能力が三重県の地形や救助想定に合うかに着眼し、入札仕様とする。 2 機体が決定したら、既に運航している府県をベンチマーク。 特に運航期間中に壊れた部品やその時の状況を機長や整備士から徹底したヒアリングを実施。 3 サービスマニュアルは、早期入手が必須。 機体契約時に入手したマニュアルは、その内容は徹底して分析した。ヘリ専用の特殊工具類については使用方法やトラブルFAQを参考に、代替品の有無を確認。運用時間の制限がある予備部品は優先的にチェックし、メーカー以外でサポートされている商品を徹底サーチし、製造元企業に対し入念にその機能、操作性、能力等を確認した。 4 2、3の項目で得た情報で、部品や工具類を次の4分野に分類 (1)機体メーカーでなければ調達できないもの (2)関連企業が提供しているもの (3)国内で複数の会社が取り扱っている可能性があるもの (4)国内の業者で製造することが可能なもの この4分類のうち、(2)~(4)については片っ端から一般競争入札による調達を試みた。 5 2、3の項目を基に、既に運用している機体の弱点を確認。 中長期的なサポートの方法を再検討する。 この5項目による検討が、思わぬ効果を生み出した。 <効果、成果> ヘリの部品や工具類の大半は、海外から調達する。英語が苦手というだけで担当者は調達しやすい商社等を経由し調達する事が一般的だった。この意識を改め、片言の英語で一般競争入札を活用し、新たな調達先を求めた。その成果は、20社に余る企業との新たな出会い。小さな町工場も加わり、ヘリのメンテナンスからトラブル対処まで、幅広い業者により支えるシステムを構築した。 その結果、商社の中間マージンを一部削除し、調達までの時間は飛躍的にアップ。しかもJA119Mを中心に、顔の見える関係から関係者の機体維持に対する参画意識が高揚した。 企業連携の中に入ると、民間の知恵も見えてきた。官公庁等が起債を利用するゆえに形のあるものを求めるのに対し、民間は形のない品質保証の契約で対処していることを知る。防災機よりはるかにフライト時間の多い報道各社が導入する主要部品の保証契約だ。本県も導入の予定に切り替えるこいとで、迅速かつ維持コストの削減をめざす。 これらの取組による成果は一つ。三重県が現行機を運航してきた23年間の実績から、ヘリに関係する業者との付き合いを洗い直し、加えて他県のベンチマークにより深めた連携の中で、機体を構成する部品の一つ一つまで見えてきた事だった。 <工夫した点や苦労した点> 調達の作業が一段落した時、商社の担当者は「まさか、三重県さんがここまで研究されるとは。」と一言。 当初、ヘリを機体だけの仕様で入札を行い、契約時に商社の担当者は私たちにこう言った。「ヘリは、機体だけ購入しても自家用車の様には動かないものです。これから必要なものについて、私のアドバイスがきっと必要になる。いつでも声をかけてください。」優しい一言の様にも聞こえるが、あとは予算を確保して私のアドバイスに従いなさい、と聞こえた私たちの闘志に火が点いた。しかし商社の持つ力、情報量、その内容は圧倒的で計り知れない。しかも、関連業者は商社の目を気にして情報をなかなか提供しない。ヘリというオールインワンのパッケージで販売される商品の中間マージン削減には、とてつもない努力が必要だった。 |
本件問合先 | 災害対策課 |
059-235-2555 | |
ja6703@pref.mie.jp |