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タイトル | 実効性のある少子化対策「ウェルカムベイビープロジェクト」 |
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施策・事業名称 | ウェルカムベイビープロジェクト |
都道府県名 | 埼玉県 |
分野 | 人口減少対策 |
事業実施期間 | 平成29年4月1日~ |
施策のポイント |
晩婚化・晩産化が進展し、子供を望んでも希望どおりに授からない夫婦が増加している。その背景には、高齢に伴う妊よう性の低下や、不妊の原因の半分が男性側にもある事実があまり知られていないという現状がある。 そこで、県では実効性のある少子化対策として、不妊に関する総合的な支援施策「ウェルカムベイビープロジェクト」を展開する。 施策内容は大きく分けて2つあり、一つは子供を望む夫婦に対し助成や支援を行うもの、二つ目は若い世代からの妊娠・不妊に関する正しい知識の普及啓発を徹底するものとなっている。 |
内容 |
【現状】 1 晩婚化・晩産化の進展(人口動態統計:埼玉県) 本県における女性の平均初婚年齢と第一子出生年齢の推移 H 7:平均初婚年齢26.3歳、 第一子出生年齢27.5歳 H17:平均初婚年齢28.0歳、第一子出生年齢29.1歳 H27:平均初婚年齢29.4歳、第一子出生年齢30.7歳 晩婚化が進展し、第一子の出生時年齢も同時に上昇している。 2 理想子供数とのかい離(出生動向基本調査:全国) 「理想子供数(H27)2.32人→完結出生児数(H27)1.94人」 2~3人を理想としている夫婦が多い中、実際に持つ子供の数は2人を割っている。 3 理想子供数を持たない理由(出生動向基本調査:全国) 「欲しいけれどもできないから 23.5%」 およそ4組に1組の夫婦が欲しいけれどできないと回答している。 4 不妊について受診の有無(出生動向基本調査:全国) 「不妊について悩んだことがあるが医療機関にかかったことがない夫婦 16.4%」 およそ6組に1組の夫婦は、医療機関を受診していない。 【課題】 女性は30歳を過ぎると自然に妊娠する確率は減り、35歳を過ぎると著明な低下をきたし、加齢により子宮内膜症などの合併が増え、卵子の質の低下が起こることが妊よう性低下の原因と考えられている。男性は、女性に比べるとゆっくりだが、35歳ごろから徐々に精子の質の低下が起こっている。(日本産科婦人科ホームページより) 日本は先進諸国の中で、妊よう力に関する理解度がかなり低い。教育の現場では避妊については教えても、不妊に関することは教えていないため、知識を得る機会がないことが課題である。 また、男性が不妊検査を受けるタイミングも、半数近くは女性の検査が終わってからとしており、精液検査にためらいや心理的な抵抗を示す男性もいる。(厚生労働省子ども・子育て支援推進調査研究事業より) 【施策概要】 そこで、県では不妊に関する総合的な支援施策「ウェルカムベイビープロジェクト」を展開することとした。 1 子供を望む夫婦に対する支援 (1)経済的支援 <1>こうのとり健診推進事業(早期不妊検査費助成事業) 妻の年齢が43歳未満の夫婦を対象に、夫婦そろって行う不妊検査費に対し2万円まで助成を行う。 <2>早期不妊治療費助成事業 妻の年齢が35歳未満の夫婦を対象に、初回の特定不妊治療費助成に更に10万円を上乗せして助成を行う。 <3>2人目以降特定不妊治療費助成事業(令和3年度から国庫補助事業への移行に伴い廃止) 特定不妊治療費助成については、夫婦1組につき6回(※妻年齢40歳以上43歳未満は3回)までの上限があるが、これを出産ごとに6回(※)まで助成を行う。 <4>不育症検査費助成事業(H30~) 妻の年齢が43歳未満の夫婦を対象に、不育症検査費に対し2万円まで助成を行う。 (2)心理的支援 ・助産師による電話相談「不妊・不育症・妊娠サポートダイヤル」を月・金曜日及び第1・第3土曜日に実施している。 ・専門医による面接相談「埼玉県不妊専門相談センター」を火・金曜日に実施している。 2 妊娠・不妊に関する正しい知識の普及啓発 (1)タレントを活用した情報発信 タレントで男性不妊治療の経験者でもあるダイアモンドユカイ氏を「埼玉県こうのとり大使」に任命し、不妊に関する知識の普及啓発に御協力いただいている。 (2)普及啓発冊子の配布 県内の高校2年生全員に、妊娠・不妊に関する正しい知識を分かりやすくまとめたマンガ形式の冊子を配布する。 併せて、高校・大学や企業で、冊子を活用した助産師による出前講座を開催する。 (3)他団体との連携 民間企業との共催で不妊に関するセミナーを毎年開催している。 【事業効果】 1 子供を望む夫婦に対する支援 「不妊」という言葉はネガティブな印象を受ける人も多い中で、男性は受診をためらう傾向にある。 そのような夫婦にとって「こうのとり健診推進事業」が「念のため」「もしかしたら」と話し合いながら病院に足を運ぶ動機付けになると考える。 また、日本産科婦人科学会において不妊の定義を「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないもの」としており、この一定期間を平成27年に2年から1年に変更している。 このことからも、不妊について悩んだら早期に受診してもらう必要があるため「こうのとり健診推進事業」が妻年齢35歳未満の夫婦に対する、受診へのインセンティブとなる。 また、特定不妊治療費は保険適用外となっており高額な治療でもあるため、不妊治療を行って子供を授かったご夫婦が、理想どおり2人目、3人目、4人目と続けて授かることができるように、「2人目以降特定不妊治療費助成事業」によって支援を行う。 2 妊娠・不妊に関する正しい知識の普及啓発 最近はタレントなど高齢で出産する方も多いため、ぎりぎりまで仕事を頑張る女性が少なくない。しかし、精子や卵子が加齢により質が低下することを知らなかったため、残念ながら高齢で出産を諦める夫婦も存在する。こうした夫婦からは、「中学生・高校生のうちに不妊に関する知識を知っていれば。」という声もある。 若い世代のうちに、妊娠・出産・不妊について正しい知識を身に付けてもらいライフプランを立ててもらうことで、将来不妊について悩む夫婦が少なくなることが期待される。 |
関連 ホームページ |
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0704/boshi/index.html |
本件問合先 | 保健医療部 健康長寿課 |
048-830-3561 | |
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