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タイトル | 全国初!短期の応援も可能とした「くまもと復興応援ナース制度」の創設 |
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施策・事業名称 | くまもと復興応援ナース制度 |
都道府県名 | 熊本県 |
分野 | 健康福祉 |
事業実施期間 | 平成29年5月15日~ |
施策のポイント |
平成28年熊本地震による被災地域の病院の看護職員確保を目的に、熊本県県看護協会や被災病院、関係自治体等と連携して、全国の看護職員に支援を呼びかけ、熊本の魅力を発信する「くまもと復興応援ナース」制度を創設 1 被災した阿蘇地域の病院へ、効果的かつ即効性のある看護職員の仕組みの構築 2 地域振興も視野に入れた、全国から応援ナースを阿蘇地域へ呼び込むための方策 3 「くまもと復興応援ナース」に関する覚書の締結(平成29年5月15日) |
内容 |
【背景】 熊本県看護協会(以下「看護協会」という。)の調査によると、熊本地震の影響で離職した看護職員は216名に上り、特に、阿蘇地域においては基幹道路の寸断等から離職者62名と、最も看護職員の確保が深刻な状況にあり、医療提供体制の回復に向け、看護職員の確保や離職防止の取組みは喫緊の課題であった。 そのため、熊本地震後の阿蘇地域等の医療提供体制の回復を目的に、ナースセンター事業(看護職員無料職業紹介所)を活用した新たな仕組みを創設し、全国から20名以上の看護職員(以下、「応援ナース」という。)の確保を目指した。 【取組みの内容】 (1)効果的かつ即効性のある看護職員確保の仕組みの構築 全国から応援ナースを募るため、ネットワークを有する熊本県ナースセンターの既存の仕組みを活用し、新たに専用登録フォームの開設や、マッチングを行うアドバイザーを配置するとともに、次の就労までの「つなぎの就労」や、県外からの長期の就労に躊躇している方に配慮し、1か月からの短期就労も可能とした。 (2)地域振興も視野に入れた、全国から応援ナースを阿蘇地域に呼込むための方策 受入病院が住居や家電等を提供したり、本田技研工業株式会社の協力を得て、移動用車両4台を準備するなど、受入れの環境を整えるとともに、阿蘇の魅力を体感してもらうため、温泉や特産品の優待等、阿蘇地域の市町村が負担し、看護に従事しながら「阿蘇のファン」になり、SMS等で復興の状況や地域の魅力を全国に発信してもらう「地域振興」もこの取組みの狙いの一つとした。 (3)「くまもと復興応援ナース」に関する覚書の締結・全国に募集開始 平成29年5月15日、熊本県と看護協会の相互の連携等に関する覚書を、知事と看護協会長間で公開で締結し、全国に向け募集開始をアピールした。 なお、被災地におけるこの一連の取組みは、全国初であり、既存の仕組みを活用することにより県に新たな財政負担は生じなかった。 平成31年3月末までに74名が登録し、マッチングの結果、累計で28都道府県から57名が就労し、阿蘇地域の看護職員確保と医療提供体制の回復に大きく貢献した。 また、阿蘇地域での生活に魅力を感じた応援ナース(看護師)4名が、応援先の病院に就職し、定住も実現した。 応援ナースの中には、高度急性期や海外での看護活動の経験のある者、1,000床を超える病院の看護管理者や大学講師の経験がある者など、多様な経験を有する応援ナースが支援に携わり、ある病院では、看護提供体制の見直しや、災害看護を学ぶ他県の大学院生を定期的に研修受入れを行うなど、阿蘇地域の看護提供体制の充実に大きく貢献した。 被災地域の医療の崩壊に繋がりかねない看護職員の確保困難という緊急性の高い課題に対し、既存の仕組みを活用し、看護協会や関係医療機関、地元市町村と連携しながら、即効性と効果的な「くまもと復興応援ナース」制度を構築したことによって、目標を大きく上回る看護職員の確保や、高度な専門性を有する応援ナースの支援を通じて在来職員の研修機会につながった。 本事業により災害後の医療提供体制の回復・充実に大いに貢献しただけではなく、阿蘇地域の魅力も発信することができた。 |
本件問合先 | 熊本県健康福祉部健康局医療政策課 |
096-333-2206 | |
iryoseisaku@pref.kumamoto.lg.jp |