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タイトル 学校を核とした官民協働による地方創生プロジェクト
施策・事業名称 教育魅力化人づくり推進事業
都道府県名 島根県
分野 教育・文化
施策のポイント ◆学校(教育)をテコにした地方創生
・全国の自治体等と連携を図りながら、公教育の場への地域住民や民間団体等の参入を積極的に促し、官民協働による学校を核とした次代の地方創生モデルを創出する。
・この革新的な取組を、人口減少や少子高齢化、財政難といった日本の課題の超先進地である島根から全国・海外へスケールアウト(拡散・増殖)させる。

◆県レベルでの取組として展開
・学校(教育)をテコにした地方創生は、島根県海士町のように全国の意志ある市町村において散発的に行われてきた。
・日本の公教育は教員の人事権等を含め県の責任と権限によるところが大きく、本プロジェクトの政策効果が高まり、広がりあるものとなっていくためには、県として一歩踏み込んだ対応が求められる。
・こうしたことを踏まえ、県がリーダーシップを発揮しながら、県レベルでの取組としてプロジェクトを展開。
内容 ◆事業目的
隠岐島前高校や中山間地域・離島の県立高校での「高校魅力化」の取組や成果をベースにしながら、「教育の魅力化」を全県、全校種に広げ、県内全域で「地域を担う人づくり」「稼ぐ力の強化」や「移住・定住の推進」を進めることで、「しまねに定着、回帰・流入する人の流れづくり」(島根県総合戦略の基本目標)を目指す。こうした取組は住民主体による地域づくりとの相乗効果をもたらし「小さな拠点づくり」など地域の持続性を高める実践活動へもつながる。
1.地域を担う人づくり
自分の暮らす地域や地方の魅力を発見する機会を通じて、様々な選択肢の中からどう生きるかを自ら主体的に選択する状態を創出することで、地域の未来を切り拓くリーダーとなる人材を育成する
2.稼ぐ力の強化
高校と大学・産業機関の連携を促進し、イノベーションを起こせる人材の育成を進め、農林業の6次化やプログラミング言語「Ruby」の活用など地域のポテンシャルを活かした新産業の創出を図る。これを通じて若者に魅力ある仕事づくり、雇用創出を推進
3.移住・定住の推進
子ども達個々の個性が伸長されるような教育環境づくりを進めることで地域の魅力を高め、移住・定住の推進に向けた地域づくりを推進
4.小さな拠点づくりの促進
地域社会に開かれた学校を核とした様々な取組が、住民主体による地域づくりとの相乗効果をもたらし「小さな拠点づくり」を促進

島根県が目指す「教育の魅力化」
島根の子供たち一人一人に、自らの人生と地域や社会の未来を切り拓くために必要となる「生きる力」を育むため、学校と地域社会がその目標を共有し、協働を図りながら、島根の教育をよりよいものに高めていくこと

◆事業内容
1.高校と地域による協働体制の構築(高校魅力化コンソーシアム)
地域と高校が一体となって子どもたちを育てる環境を整えるため、高校を基軸とし、地域住民、自治体、企業等多様な主体が参画する協働体制「高校魅力化コンソーシアム」をすべての県立高校で設置し、運営費、コンソーシアム運営マネージャー配置費を支援

2.魅力ある教育環境づくり
○学校・地域創生推進費
高校と地域が一体となって実施する高校魅力化の取組を推進
○ふるさと教育推進事業
県内全ての公立小中学校の全学年学級で、地域の教育資源を活用し、9年間を通したふるさとを題材にした系統的・発展的な学習活動を行うことで、子どもたちの地域への愛着や地域貢献意欲を高めるための市町村の取組に対し支援

3.活力を生む人の流れづくり
○しまね留学関係経費
県外生徒募集に係る以下の取組
・県外生徒募集:合同説明会、研修費
・県外生徒バスツアー:県内高校への見学ツアー
・単年留学:単年留学に取り組む高校の支援体制を構築(国補助事業10/10)
○卒業生ネットワーク経費
県内魅力化校卒業生など島根県出身の大学生等を対象に、島根とのつながりを維持・確保するためのネットワークを構築

4.持続可能な基盤づくり〔拡充〕
地域と高校をつなぐ人材を養成・確保・育成するための研修等を実施
また、地域との連携・協働に取り組む企画・調整等を専属で行う主幹教諭や、探究的な学習において地域調整等ができる実習助手の配置が可能となるよう教職員定数の加配を国へ要望
・課題解決型学習推進事業:生徒の探究活動合宿や発表の機会を提供
・魅力化コーディネーター等研修事業:コーディネート人材研修

5.PDCAサイクルの確立
成果の見えにくい「教育の魅力化」について、生徒、教職員、地域住民等に対して「地域の学習環境」「生徒の成長」などを検証するアンケートを行い、結果を詳細分析し、施策のPDCAに活用していく

6.各種計画への位置付け
○島根創生計画
オール島根で島根創生を進めるうえでの理想を共有するため、概ね10年後の島根の目指す将来像を描くもので、「教育の魅力化」についても県全体での方針として位置づけた
○しまね教育魅力化ビジョン
令和2年度から5年間の県教育の基本理念や施策の方向性を示すもの
○県立高校魅力化ビジョン
島根県が取り組んできた「教育の魅力化」や、新学習指導要領が示す「社会に開かれた教育課程」による「主体的・対話的で深い学び」を目指し、2020年代の県立高校における教育の基本的な方向性と具体的な取組を示すもの

7.教育の魅力化を推進する庁内体制の確立
○県立高校魅力化ビジョン推進本部会議
・県立高校魅力化ビジョンの着実な推進に向け、各課題をテーマにしたプロジェクトチームを編成し、本部会議が意思決定や助言を行うなど、チームが円滑に動けるようサポート

8.主幹教諭の配置
○主幹教諭を全普通科高校に定数外で配置し、以下のミッションに取り組む
・「総合的な探究の時間」における課題解決型学習等の探究的な学びを中心にマネジメント
・各教科における「主体的・対話的で深い学び」が実現されるよう、各教科の授業改善への取組に参画し、指導・助言を実施
・県内大学等との高大連携や入試改革に適応した学力の底上げなどの取組を推進

9.高大連携推進員の配置
○総合型・学校推薦型選抜による県内大学への入学を希望する生徒の進路実現を図るため、県内大学のある、松江、出雲、石見エリアに高大連携推進員を各1名配置
 令和5年度からは高大連携推進員を1名増員し、理系学部との連携を強化

10.民間や大学等との協働
○県内大学との連携
社会に開かれた教育課程を実現するため、コンソーシアムへの参加や地域課題解決型学習の構築など様々な場面で大学との協働が必要であるため協定を締結
○埼玉県教育委員会との連携
両県の特色ある取組の知見共有や研修、人材交流等を通じ、更なる相乗効果を生み出すため協定を締結
○民間団体(一般社団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム)との連携
(1)経営理念
「生きる力」を育む、魅力ある教育環境を創造し、未来を創る「意志ある若者」に溢れる持続可能な地域・社会をつくる
(2)活動の方向性
・教育魅力化におけるコーディネート機能の充実
・地域で課題解決に挑み、地域・社会に開かれた教育環境を実現
・越境学習(しまね留学など)の促進・支援
・県レベルでのシステムチェンジ(国、県への政策提言)
・共学共創のコンソーシアム・コミュニティの構築支援
・価値や知見の見える化
・社会資源の接合
(3)島根県との関わり
財団の経営理念と島根が進める「地方創生」、「教育の魅力化」の取組みにおける考え方が近いことから、引き続き連携・協働を図る

◆得られた成果
1.一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム及び民間コンサルティング会社と共同した効果検証結果
○高校魅力化による島根県の社会・経済効果を分析(2019年)
魅力ある高校づくりを行ってきた島根県の高等学校を事例として、高校魅力化の社会経済的効果の推計を実施
・高校魅力化により地域の総人口は5%超え増加
・高校魅力化により地域の消費額は、3億円程度増加し、歳入も1.5億円程度の増加
・高校魅力化に伴う町村の財政負担を加味しても、30~40百万円程度のプラス効果
○高校魅力化を通じた生徒の変容(2019年)
高校魅力化による高校生の成長や学習環境を以下の視点により評価
(1)これからの社会に求められる資質・能力要素を把握
(2)学校・地域の学習環境(学びの土壌)を把握
主だった数値を全国の生徒と比較すると、
・「先生、保護者以外に、地域に気軽に話せる大人がいる」+29.3%
・「将来、自分の住んでいる地域のために役に立ちたいという気持ちがある」+28.6%
・「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦している」+27.2%
○高校存続が人口減少の緩和に寄与
○高校と地域の協働生徒の資質・能力の向上をもたらす
・高校魅力化によって、生徒の資質・能力が向上
・「学びの土壌」の改善が生徒の資質・能力の向上に寄与
・学びの土壌を豊かにするためには、体制構築とコーディネーターの配置が有効

2.県外中学からの入学者
・令和4年度の県外からの入学者数は184名
・平成22年度の54名から3倍以上に増加し、現在高水準を維持

◆今後の方向性
今後も「教育の魅力化」を推進し、地域の多様な主体が参画した協働体制により生徒の学力育成を支援
また、教育委員会に設置された「県立高校魅力化ビジョン推進本部会議」や「プロジェクトチーム」を中心に議論を深め、以下の方策に取り組む
・魅力ある教育環境を作るための協働体制「高校魅力化コンソーシアム」について、高校、市町村等の理解をさらに深め、各高校が策定したグランドデザインの実現に向けた取組を推進
本件問合先 県教育委員会 教育指導課 地域教育推進室
0852-22-6428
shidou@pref.shimane.lg.jp